ブラジル政府がXを禁止したことにより、移行先としてBlueskyのユーザー数が激増しています。この記事では、Blueskyの特徴と、基本的な使い方について、わかりやすく解説しています。
Bluesky Web版とは
Blueskyの特徴と、他のSNSとの違いをご紹介します。
Blueskyとは
「Bluesky(ブルースカイ)」とは、X(旧Twitter)の共同創業者であるジャック・ドーシー(Jack Patrick Dorsey)氏が、Twitter社に在籍中に社内プロジェクトとして立ち上げた、分散型SNSです。
2019年にプロジェクトが発案され、2021年にTwitter社から独立しました。
当初は招待制でしたが、2024年2月からは誰でも利用できるようになっています。
Blueskyの特徴
Blueskyの特徴をご紹介します。
分散型ネットワーク
Blueskyでは、独自開発したATプロトコル(Authenticated Transfer Protocol)を用いた、分散型ネットワークが基盤となっています。
中央集権的な管理サーバーが存在せず、ユーザーが自由にサーバーを立ち上げ、かつ相互に接続することができます。
各サーバーが独自運営
各サーバーは、それぞれ独自のポリシーやルールを定めることができます。
ユーザーは、自分にあったサーバーを選択することができます。
ユーザーが自分でカスタマイズ
ユーザーは、自分のタイムラインやフィードを、細かくカスタマイすることができます。
見たくない内容をブロックしたり、自分の興味にあった情報を自動収集したりと、興味にあった使い方をすることができます。
Twitterに似た操作性
基本的には、旧TwitterのUIや操作性とよく似ており、Twitterユーザーであれば戸惑うことはありません。
オープンソース
Blueskyはオープンソースとして開発されており、第三者製のクライアントやツールの開発も推奨されています。
非営利?
現在のところ、Blueskyは完全無料で使用できます。
有料プランは存在しません。広告も表示されません。
ただ、いつまでもこのままということにはいかないので、ユーザー数の増加に伴い、何かしらの課金手段が用意されるものと思われます。
X代替サービスとBluesky
X(Twitter)の代替サービスとしては、Bluesky以外に、以下のようなものがあります。
- Mastdon:Blueskyと同じく、オープンソースで分散型
- Thread:Meta社が提供しており、Instagramのアカウントで登録
- Cohost:クリエイターやアーティスト向けで、自由度が高く、シンプル
- Spill:多様なカルチャーやコミュニティを尊重し、ビジュアル重視
X(Twitter)では、今まで2回、大きくユーザー離れが起きています。2022年10月にイーロン・マスク氏がTwitter社を買収したタイミングと、2024年8月にブラジル政府がX社にサービス停止を命じたタイミングです。
MastdonとBlueskyの違い
2022年のタイミングで、大きくユーザー数を伸ばしたのはMastdonです。
MastdonとBlueskyの違いは、Mastdonは各サーバーが独自ポリシーで運営するのに対し、Blueskyは独自ポリシーを持ちながらも相互接続できたり、ユーザーが自分でカスタマイズできたりする点です。
Mastdonは現在でも一定のユーザー数を持っていますが、それぞれのサーバーが独立しているため、大きな動きとはなっていません。
それに対しBlueskyは、Twitterに似た一体感をもたらす可能性を秘めています。
ブラジル市民が選んだのはBluesky
2024年8月に、ブラジル裁判所がXにアクセスしたユーザーに罰金を科すと発表しました。(後に撤回したようですが)
ブラジル裁判所がVPN経由でX(Twitter)にアクセスしたユーザーに罰金? 本当に可能なのか
2024/9/2 X(Twitter), ブラジル, 検閲
ブラジルの最高裁判所は、VPNを利用してX(Twitter)にアクセスしたユーザーに対し、最高1日8,874ドル(約130万円)の罰金を科すと発表しました。 現時点では、正式な決定かどうかは不明です。 ...
それに危機感を覚えたユーザーが移行先として選んだのはBlueskyでした。
わずか3日で100万人以上の登録者があったとされています。
ちなみにThreadsは、今回の件とは関係なく着実にユーザー数を増やしており、推定アクティブユーザーは1.5億人とされています。
なぜWeb版なのか
Blueskyは現在、アプリ版とWeb(ブラウザ)版が利用できます。
- iOS
- Android
- Web
X(Twitter)の退避先ということで考えれば、おすすめはWeb版です。
アプリ版は、政府の圧力によって、AppleやGoogleがストアから削除することがあるためです。ストアから削除されてしまうと、新規にインストールすることが難しくなります。
Web版であれば、例え政府がアクセスをブロックしたとしても、VPNで回避することができます。
見るだけはできる?
Blueskyは、アカウント登録をせずに、見るだけの利用も可能です。(昔はできなかったようです)
ブラウザで「https://bsky.app/」にアクセスし、「キーワード」「ユーザー」「フィード」の検索をします。
フィードとは、誰かがカスタマイズしたタイムラインのことです。気に入ったフィードがあれば、それを追うのもよいでしょう。
フィードによっては、ログインしないと内容が表示されないものもあるようです。
Bluesky Web版の使い方
Blueskyの登録方法と、基本設定、使ってみた感想をご紹介します。
登録方法
Blueskyを始めるのに、以前は招待コードが必要でしたが、現在はメールアドレスがあれば誰でも登録することができます。
ブラウザで「https://bsky.app/」を開き、「サインアップ」をタップします。
「メールアドレス」「パスワード」「生年月日」を入力して登録します。
ここで、Blueskyならではとして、ホスティングプロバイダーを選択できます。つまり、サーバー選択です。
なのですが、現在のところ稼働しているサーバーはほとんどなく、実質的に公式の「Bluesky」サーバー一択となっているようです。
ハンドルネームを決め、「次へ」をクリックします。
あまり見たことがない感じのCaptchaが表示されます。
パズルなどをやらされました。
プロフィール画像の登録画面ですが、「代わりにアバターを作成」というボタンがあったので、押してみます。
生成AI的な何かでアバター作成されるのかと思ったのですが、何だコレ……
とりあえず、「続行」をクリックします。
これもよくある、興味があるものを選択してください、というやつです。
選択しないと進めません。
ただし、Blueskyに広告はありませんので、ターゲティング広告に使われるということはないです。
登録が完了しましたが、ここに重要なことが書かれています。
設定方法
BlueskyはTwitterと似ているので、あまり戸惑うことはないと思いますが、最初に確認した方がよい設定をご紹介します。
2要素認証
ログイン時の2要素認証はオンにした方がいいでしょう。
認証アプリとかじゃないんだ……というところではありますが。
モデレーション
こちらはBlueskyの特徴の一つで、モデレーションにより、表示内容を細かく制御できます。
よくあるフィルタの他に、「Bluesky Moderation Service」をクリックすると、より細かな設定ができます。
例えば「自傷」「過激」「乱暴」など、内容によって「表示」「警告」「非表示」を選ぶことができます。
ただし、何によって判定しているのかは、はっきりしません。
最初は「警告」にして様子を見たほうがいいかもしれません。
ハンドル名とドメイン登録
登録時のハンドル名は変更することができます。
「ハンドルを変更」をクリックします。
独自ドメインを持っている人は、ハンドル名をドメイン名にすることができます。
「自分のドメインを持っています」をクリックします。
DNSレコードを設定するか、サーバーにファイルをアップします。
これで、「@vpn-taizen.bsky.social」から「@vpn-taizen.com」に変更できました。
Xの認証を、自分でできる感じです。
フィードとは?
XにはないBluesky独自の機能として、フィードがあります。
フィードとは、誰かがカスタマイズしたタイムラインのことで、自動まとめ機能のような感じです。
フィードを追うことで効率的に情報収集することができます。
フィードの登録
例えば、フィードで「japan」と検索すると、公開されているフィードがヒットします。
ここでは、「猫がいる生活」というフィードを見てみましょう。
これは、以下の条件に当てはまるポストが自動収集されるフィードです。
- テキスト、または画像の説明に「猫」「ねこ」「ネコ」「cat」が含まれている
- かつ、日本語
フィードが気に入った場合は、「ホームにピン留め」か「マイフィードに保存」を選択します。
「ホームにピン留め」をすると、タブに表示され、すぐにアクセスできるようになります。
「マイフィードに保存」をすると、フィードリストからアクセスできるようになります。
フィードを作るには?
「自分もフィードを作ってみたい!」と思った方に、残念なお知らせです。
現在のところ、フィードを公開するには、第三者ツールを使ったり、プログラミングをしたりする必要があり、少しハードルが高いです。
将来的には公式機能として使えるようになるようですが、Blueskyを象徴する機能だと思うので、早くなんとかして欲しいところです。
Xの代わりに使える?
Blueskyを実際に使ってみた感想をご紹介します。
コンセプトはいいけれども、人が少ない
登録サーバーの選択や、上記のフィード機能などはとてもいいと思うのですが、ユーザー数とポスト数が少ないので、あまり有意義に機能していないようです。
ざっと見たところ、使えそうなフィードは「犬」「猫」「ゲーム」くらいでした。
企業アカウントがほぼない
驚いたのが、企業の公式アカウントが、ほとんど存在しないことです。
もっと注目されているサービスかと思ったのですが。
やはり信頼できる情報源として、ニュースサイトや企業アカウントの投稿がないと、なかなか盛り上がらないのではないかと思います。
開発者が少ない?
さらに意外だったのが、もっと最先端の機能がバリバリに使われているのかと思ったのですが、むしろ逆で、一昔前の機能に留まっていることです。
また、「投稿のピン留め」「予約投稿」「鍵アカウント」など、当然あっても良さそうな機能が実装されていません。
これは単純に、開発リソースが足りていないのではないかと思いました。
現在のところ、マネタイズ手段が何もないので、どのような開発体制となっているのかは分かりませんが、もっと開発者を集めないと、次期Xとなるのは難しいのではないかと思いました。
コンセプトは面白いので、がんばって欲しいところです。