ESETは、高い評価を持つセキュリティソフトですが、プランが複数あり、提供終了となっている機能も多いので、どれを選べば良いか分かりにくいです。またそもそも、セキュリティソフトが必要かという問題があります。この記事では、ESETのプラント機能の違いと、それが本当に必要か、別の機能で置き換えできないかについて解説します。結論として、ESETは良い製品ではあるものの、個人で導入するメリットは少ないと言えます。
ESETは安全?
- ESETとは
- スロバキアは安全?
ESETとは
「ESET」とは、スロバキアに拠点を置くサイバーセキュリティ企業です。
個人向け製品としては、アンチウイルスソフトを中心に、ファイアウォール、データ暗号化、VPN等の総合的なセキュリティパッケージを提供しています。
他のセキュリティソフトに比べ、動作が軽量で、誤検知が少ないという声が多いです。
MS-DOS時代の1987年からセキュリティツールを提供している歴史ある企業です。
日本では、キャノンITソリューションズとの合併会社「イーセットジャパン株式会社」が販売・サポートを担当しており、企業・学校・政府機関への導入実績も多くあります。
スロバキアは安全?
セキュリティソフトを選ぶ際、本社がどこにあるかは重要な問題となります。
例えばカスペルスキー社は高い技術力が評価されていますが、ロシア系企業ということから、近年導入を見送られる傾向にあります。
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カスペルスキーの危険性とは? 使っても大丈夫?
2025/11/4
カスペルスキーは、かつては定番のセキュリティソフトとして人気でしたが、ロシア企業であることから、安全性が疑問視されることがあります。またそれ以前に、そもそもセキュリティソフトは不要という声もあります。 ...
スロバキアは、西欧(EU)と東欧(旧ソ連圏)の中間に位置し、冷戦時代から暗号やセキュリティの技術が発達していました。
2004年にEUとNATOに加盟し、現在は西側陣営の一部となっていますが、ロシアに対しては中立的な立場を取っています。
しかし最近発表されたセキュリティレポートでも、中国・イラン・北朝鮮・ロシア系ハッカーグループの活動に注意を促しており、日本から見れば、地政学的なリスクはほとんどないと思われます。
ESETのプランの違い
- ESET HOMEセキュリティ
- ESET Mobile Security
- ESET ペアレンタルコントロール
ESET HOMEセキュリティ
個人向けプランの中心プランである「ESET HOME セキュリティ」には、次の3つのプランが用意されています。
- ESET HOME セキュリティ エッセンシャル
- ESET HOME セキュリティ プレミアム
- ESET HOME セキュリティ アルティメット
料金は、利用台数と契約期間によって異なります。
特にアルティメットは、5台1年からしか購入できないのでご注意ください。
| 台数 | 期間 | エッセンシャル | プレミアム | アルティメット |
|---|---|---|---|---|
| 1台 | 1月 | 475円 | 594円 | ー |
| 1年 | 4,750円 | 5,940円 | ー | |
| 3年 | 8.070円 | 10.100円 | ー | |
| 3台 | 1月 | 605円 | 724円 | ー |
| 1年 | 6,050円 | 7,240円 | ー | |
| 3年 | 10,291円 | 12,310円 | ー | |
| 5台 | 1月 | 735円 | 854円 | ー |
| 1年 | 7,350円 | 8,540円 | 14,260円 | |
| 3年 | 12,500円 | 14,520円 | 24,240円 |
なお、公式サイトより、Amazonで購入した方が安くなるようです。
機能は以下のような違いがあります。
| 機能 | エッセンシャル | プレミアム | アルティメット |
|---|---|---|---|
| Windows | ◯ | ◯ | ◯ |
| Mac | ◯ | ◯ | ◯ |
| Android | ◯ | ◯ | ◯ |
| iOS | ー | ◯ | ◯ |
| ウイルス スパイウェア ランサムウェア対策 | ◯ | ◯ | ◯ |
| ネットバンキング保護 | ◯ | ◯ | ◯ |
| フィッシング対策 | ◯ | ◯ | ◯ |
| 未知の脅威へのクラウド検知 | ー | ◯ | ◯ |
| データ暗号化 | ー | ◯ | ◯ |
| フォルダーガード | ー | ◯ | ◯ |
| VPN | ー | ◯ (3台まで) (40カ国) | ◯ (10台まで) (70カ国) |
| 画像に記載された個人情報削除 | ー | ー | ◯ |
| 個人情報漏洩監視 | ー | ー | ◯ |
| ランサムウェア修復 | ー | ー | ◯ |
それぞれの機能が必要かどうか、個人的な意見を述べてみたいと思います。
アンチウイルス
前提として、近年はサードパーティ製のアンチウイルスソフトはむしろ危険であり、標準のWindows Defenderで十分という意見が多いです。
機能的にほとんど差がないだけでなく、セキュリティソフトに高い権限を与えると、逆に侵入の糸口となるためです。
それを考えると、ESETをインストールすべきかどうかというのは、かなり微妙な話となります。
ネットバンキング保護
専用ブラウザを起動し、キーロガー等から入力を保護するというものです。
確かにブラウザの拡張機能には怪しいものも多いので、専用ブラウザというのは良い考えかもしれませんが、標準のブラウザでも注意して運用すれば、十分に対応可能なものとなります。
お金を払ってまで導入する必要があるかというのは、かなり疑問となります。
フィッシング対策
ドメイン(URL)で怪しいサイトを判定しブロックするという機能ですが、ほとんどのブラウザの標準機能として備わっています。
未知の脅威へのクラウド検知
怪しいファイルをクラウドにアップロードして調査するというものですが、勝手にアップされるのもプライバシーが懸念されるので、個人的にはオフにしたいところです。
データ暗号化
暗号化をするならば、用途に合わせてBitLocker、VeraCrypt、Cryptomator等、別のツールを利用することもできます。
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フォルダーガード
指定されたフォルダのアクセスコントロールを設定し、ランサムウェア等の不審なアプリに勝手に操作させないというものです。
Windowsの標準機能よりも柔軟な設定が可能となっていますが、企業ならともかく、個人でそこまで詳細な管理ができるのかという疑問は残ります。
画像に記載された個人情報削除
画像のメタデータを削除するならば、コマンドラインからExifToolを実行した方が確実です。
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個人情報漏洩監視
ダークウェブに名前や住所等の個人情報が漏洩していないかチェックする機能ですが、Googleも「ダークウェブレポート」という同様の機能を提供しています。
VPN
ノーログポリシーで、キルスイッチ等も備えており、スペックとしては悪くないと思います。
ただし、VPNコミュニティの中で、ESET VPNが話題に上がったことを一度も見たことがありません。
VPNを利用したいならば、VPNを中心に据えたサービスの方が良いのではないかと思われます。
VPNとして最高品質を求めるならば、NordVPNをおすすめします。![]()
ESETと同じようなセキュリティ機能を求めるならば、SurfSharkをおすすめします。価格帯もほぼ同じです。![]()
ランサムウェア修復
ランサムウェアにより、ファイルが破壊・暗号化された時に、バックアップから復元するという機能です。
これはWindowsの標準機能だけでは代替が難しいので、導入の意味はありそうです。
ただし、同一ドライブにバックアップが取られるようで、ファイルサイズ等の制限が色々あるため、信頼性については若干心配です。
PCが完全破壊されたとしても大丈夫なようなバックアッププランを別途作成する方が大切かと思います。
ESET Mobile Security
「ESET Mobile Security」は、Android用のセキュリティアプリです。
「ESET HOME セキュリティ」にもAndroidの保護機能がありますが、それとは別に、以下のような機能を持っています。
- アプリのリアルタイムスキャン
- 決済保護
- 不要な着信をブロック
- 盗難デバイスのロック、追跡
- フィッシングサイトからの保護
しかしこれらの機能は、Googleの標準機能でも十分対応可能です。
ESET Mobile Securityの価格は3,000円/年で、ESET HOME セキュリティが4,750円/年からということを考えると、わざわざ購入する必要はないのではなかと思われます。
ESET ペアレンタルコントロール
「ESET ペアレンタルコントロール」は、Android向けのペアレンタルコントロールアプリで、アプリのり用制限、位置情報共有、アラート機能などを持っています。
しかし、2026年6月30日に提供終了となっています。
また、同様の機能はGoogleファミリーリンクでも対応可能です。
まとめ ESETのプランはどれがいいか
ESETのセキュリティ製品は、値段も良心的で、機能も全体的に悪くないです。
個々の機能は別アプリで置き換え可能とは言え、まとめて導入できるのは便利かもしれません。
ただし、そもそもアンチウイルスソフトは導入しないほうが良いという風潮を考えると、少し微妙ということになります。
組織として利用するのであれば良いと思うのですが、個人で利用するのであれば、Windows Defenderを中心として、必要な機能を別途用意した方が良いのではないかと思われます。


