今まで有料ユーザーしか利用できなかったダークウェブレポート機能が、無料化され、誰でも利用できるようになります。この記事では、そもそもダークウェブとは何かから、わかりやすく解説します。
Googleダークウェブレポートの概要
ダークウェブとは何か、Googleダークウェブレポートとはどのような機能か、今までと何が変わったのかについて解説します。
Googleダークウェブレポートが無料解放
今まで「Google One」ユーザー向けの有料サービスとして提供されていた「Googleダークウェブレポート」が、2024年7月下旬より「あなたに関する検索結果」機能と統合され、Googleアカウントを持つユーザーであれば、誰でも無料で利用できるようになるとのことです。
「Googleダークウェブレポート」とは、自分の「名前」「住所」「メールアドレス」といった個人情報が、ダークウェブに流出していないかモニタリングをし、その結果を知らせてくれる機能です。
最近日本では、KADOKAWAグループがランサムウェアの被害にあい、大量の個人情報がダークウェブに流出したという事件が話題となり、興味本位でダークウェブにアクセスする人が増えました。
KADOKAWA、ダークウェブ上への機密情報流出で注意喚起 警察も捜査を開始
ダークウェブは、国際的な犯罪組織が情報をやり取りしているような場所なので、なんの知識や技術もないユーザーがアクセスすると、犯罪に巻き込まれる危険性があります。自分が被害者になるだけでなく、加害者になる可能性もあります。
「Googleダークウェブレポート」を利用すれば、自分でダークウェブにアクセスしなくても、Googleがダークウェブ全体をスキャンし、モニタリングをしてくれます。
ダークウェブとは
ダークウェブとは、インターネットの一部でありながら、意図的に匿名化され、特定のソフトウェアを使用しないとアクセスできないサイトのことです。
狭義には、Torを使用した「.onion」サイトのことを指しますが、ダークウェブ=Torではありません。
ダークウェブとディープウェブの違い
「ダークウェブ(Dark Web)」とよく似た言葉に「ディープウェブ(Deep Web」があり、しばしば混同して使われています。
ディープウェブとは、検索エンジンにはインデックスされず、パスワード等の認証で保護されたページのことです。ごく一般的な日常活動の一部です。
ダークウェブは、特定のソフトウェアを使用しないとアクセスできない、という点が異なります。匿名性が高く、特殊な用途に用いられています。犯罪行為に使用されることも多いです。
特徴 | ディープウェブ | ダークウェブ |
---|---|---|
アクセス方法 | 通常のウェブブラウザ | 専用のソフトウェア |
検索エンジン | インデックスされない | インデックスされない |
目的 | セキュリティとプライバシーの保護 データ保存 | 高い匿名性 検閲の回避 |
合法性 | 基本的に合法 | 合法・違法が混在 |
用途 | オンラインバンキング 企業の内部ネットワーク 有料コンテンツ | 匿名フォーラム マーケットプレイス メッセージングサービス ジャーナリズム |
ダークウェブの種類
ダークウェブと言った場合、「Torネットワーク」のことを指すことが多いのですが、他にも種類はあります。
Tor
「Tor(The Onion Router)」は、最も有名なダークウェブで、複数のノードを経由することで通信を暗号化し、匿名性を保護します。
フォーラム、マーケットプレイス、メールサービスなど幅広いコンテンツがあり、違法なものも多いです。
ドメインは「.onion」です。
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I2P
「I2P(Invisible Internet Project)」は、トンネリング技術を用いて通信を暗号化しています。
ファイル共有やメッセージングなど、内部コミュニケーションに用いられています。
ドメインは「.i2p」です
Hyphanet(旧Freenet)
「Hyphanet」は、分散データストアによるP2Pプラットフォームで、高い匿名性と検閲耐性を備えています。
フォーラムやファイル共有に用いられています。
特定のドメインはありません。
ZeroNet
「ZeroNet」は、ビットコインなどで用いられるブロックチェーン技術を利用した、分散型ウェブサイトです。
検閲回避を目的としたブログの運営などに用いられています。
ドメインは「.bit」です。
Google Oneとは
何の機能だか分かりにくいGoogle Oneについて解説します。
Google Oneの概要
「Google One」とは、「Googleドライブなどで使える追加ストレージ」+「いろんな便利サービス」、というGoogleのサブスクリプションサービスです。
「Googleドライブ」は基本無料で、15GBまで使用できます。
それに対して、「Google One」を契約すれば、「2TB」「5TB」「10TB」まで利用できるようになります。
分かりにくいのは、「Google Workspace」を契約しても、「30GB」や「5TB」の容量が追加されるということです。
この辺りのプラン内容は、Googleも頻繁に変更するので、分かりにくいのも当然と言えます。
Google Oneの便利サービス
Google Oneの契約ユーザーが利用できる便利サービスとしては、以下のようなものがあります。
- 追加ストレージ
- AI:Gemini Advanced
- Googleフォトでの編集マジックの保存回数を無制限に
- Google Workspaceのプレミアム機能(カレンダーでの予約受付や長時間のMeetなど)
- VPN(2024年6月に廃止)
- ダークウェブモニタリング(2024年7月に無料開放)
今回、Google Oneの会員特典だったダークウェブモニタリングが、無料で誰でも利用できるようになるとのことです。
Google Oneの管理画面に、「7月下旬から利用できなくなります」というメッセージが表示されているのですが、利用できなくなるのではなく、別の機能である「あなたに関する検索結果」と統合され、誰でも利用できるようになるということです。
あなたに関する検索結果とは
「あなたに関する検索結果(Results about you)」とは、Googleの検索結果に自分の連絡先情報が含まれていないか調べることができ、さらに削除申請をすることができる機能です。
この機能は、現在アメリカでのみ提供されており、日本ではまだ利用できません。
2024年7月下旬より、「ダークウェブレポート」と「あなたに関する検索結果」機能が統合されるということなのですが、日本でも利用できるようになるのかというのは、現時点では不明です。
Googleダークウェブレポートの使い方
Googleダークウェブレポートの使い方と注意点について解説します。
ダークウェブレポートの設定方法
「ダークウェブレポート」の方は、日本でもGoogle Oneの契約ユーザーであれば利用できますので、使い方を簡単にご紹介いたします。
「Google One」アプリを起動するか、ブラウザで「https://one.google.com/」を開きます。
「ダークウェブレポート」の「設定」をタップします。
「モニタリングを開始」をタップします。
「名前」「生年月日」「電話番号」の必要な箇所にチェックを入れ、「許可」をタップします。
必要に応じて情報を追加できます。
内容がよければ「完了」をタップします。
結果はすぐに表示されます。
今回、流出は確認できませんでしたが、流出されていることが検知されると通知が来るものと思われます。
注意点
「あなたに関する検索結果」は、Google自身の検索結果なので削除申請ができますが、「ダークウェブレポート」は流出していることが確認できるだけで、Googleでも削除することはできません。
また、上記で説明したようにダークウェブにはTorだけでなくいろいろあるのですが、Googleがどこまで調べてくれるのかは不明です。