VPN対応のルーターを自宅に導入すれば、PC・スマホはもちろん、ゲーム機・スマートTV・IoT家電まで、すべての通信を一括でVPN保護できます。
各デバイスそれぞれにVPNアプリを入れる必要がなく、設定は1度だけです。通常はVPN設定ができないゲーム機やスマート家電の通信も、VPNを経由させることができます。
この記事では、2026年最新のおすすめVPNルーターと、選び方のポイント、そして一緒に契約すべきVPNサービスについて、わかりやすく解説します。
VPNルーターとは?まず2つの機能を整理
VPNルーターには大きく分けて、VPNクライアントとVPNサーバーという2つの機能があります。製品によってどちらか一方、あるいは両方が搭載されています。
- VPNクライアント:ルーター自体が外部のVPNサービスに接続。家中のすべてのデバイスがVPN経由になる
- VPNサーバー:外出先から自宅のネットワークに安全に接続できる
自宅の全デバイス(PC、スマホ、ゲーム機、スマート家電など)をVPN接続したいならVPNクライアント機能、外出先から自宅のNASやPCにアクセスしたいならVPNサーバー機能が必要です。
VPNクライアントを使うメリット
個人でVPNを利用する場合、有料のVPNサービスを契約することが一般的です。
PCやスマホであれば個別にVPNアプリで設定できますが、Nintendo Switch・PlayStation・Apple TV・スマート家電など、VPNアプリが入れられない機器も多くあります。
ルーター側でVPN接続を設定すれば、そのルーターに繋がるすべてのデバイスが自動的にVPN経由となるため、設定の手間も激減します。
VPNサーバーを使うメリット
VPNサーバー機能があれば、外出先から自宅のパソコンやNAS、IoT機器に安全にアクセスできます。
スマホからPC内のファイルを見たり、リモートで家電を操作したりすることが可能です。
この場合、後述する固定IPアドレスまたはDDNSサービスと組み合わせて使うのが一般的です。
法人での利用は?
法人用途としては、拠点間を仮想的な専用線でつなぐ「拠点間VPN(Site-to-Site)」や、社員が自宅から社内システムにアクセスする「リモートアクセスVPN」などがあります。
ただし個人ユーザーのVPN契約とは関係がないため、本記事では割愛します。
VPNルーター導入前に確認すること
既存のネットワーク環境
すでに自宅にインターネット環境がある場合、新しい機器を追加するなら、既存の機器との兼ね合いを考慮する必要があります。
場合によっては新しい機器は不要で、既存の機器の設定変更だけで済むこともあります。
逆に、既存環境によっては、どうしてもVPNルーターを導入できないこともあります。特にIPv6接続している場合は注意が必要です。IPv6環境でVPNを使うには、設定の工夫や対応機種の選定が必要となります。詳しくは関連記事をご覧ください。
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固定IPアドレス・DDNSサービス(VPNサーバーを使う場合のみ)
VPNサーバー機能を使って外出先から自宅に接続する場合、自宅ルーターのIPアドレスを指定して接続します。しかしISPから割り振られるIPアドレスは、再接続のタイミングで変わることがあります。
これを解決するのが以下の2つのサービスです。
- 固定IPアドレスサービス:ISPが割り振るIPアドレスを1つに固定するサービス
- DDNSサービス:変動するIPアドレスをドメイン名に紐づけるサービス(IPアドレスが変わっても自動で追従)
VPNクライアント機能のみを使うのであれば、これらは不要です。
VPNルーターの選び方
1. VPNクライアント / VPNサーバーのどちらが必要か
まず、自分の用途を明確にすることが大事です。
- 家中のデバイスをVPN接続したい:VPNクライアント機能が必要
- 外出先から自宅のPCやNASに接続したい:VPNサーバー機能が必要
- 両方やりたい:両機能に対応した機種が必要
2. プロトコル:WireGuardが現在の推奨
VPNルーターが対応しているプロトコル(通信方式)の確認も重要です。
2026年現在、WireGuardが事実上の推奨プロトコルとなっています。OpenVPNと比べて圧倒的に高速で、CPU負荷も低く、セキュリティも最新です。
| プロトコル | 評価 | 用途 |
|---|---|---|
| WireGuard | ☆ | 速度・セキュリティ・省電力すべて優秀。今選ぶならこれ |
| OpenVPN | ◎ | 信頼性が高く、対応サービスが多い。互換性重視なら |
| IKEv2/IPsec | ◯ | モバイル環境での再接続に強い |
| L2TP/IPsec | △ | 古い規格。Android 12以降では使用不可 |
| PPTP | ✕ | セキュリティが弱く、現在は非推奨 |
VPNサービス(NordVPN等)を契約してVPNクライアントとして使う場合は、契約予定のVPNサービスがどのプロトコルに対応しているかを確認してください。ほとんどの主要VPNサービスはWireGuardに対応しています。
3. Wi-Fi規格(2026年最新)
VPN機能が付いていても、ルーターとしての基本性能を無視はできません。特にWi-Fi規格は重要です。
| 名称 | 規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
|---|---|---|---|
| Wi-Fi 7 | IEEE802.11be | 46Gbps | 2.4 / 5 / 6GHz |
| Wi-Fi 6E | IEEE802.11ax | 9.6Gbps | 2.4 / 5 / 6GHz |
| Wi-Fi 6 | IEEE802.11ax | 9.6Gbps | 2.4 / 5GHz |
| Wi-Fi 5 | IEEE802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz |
| Wi-Fi 4 | IEEE802.11n | 660Mbps | 2.4 / 5GHz |
2026年現在、新規購入ならWi-Fi 7またはWi-Fi 6の機種が選択肢となります。Wi-Fi 7対応のスマホ・PCも一般化してきており、長く使うならWi-Fi 7対応機がおすすめです。
2026年版・おすすめVPNルーター4選
個人向けに販売されており、Amazonでも購入可能なVPN対応ルーターの中から、ASUS・GL.iNet・Buffaloの計4機種を厳選しました。

4機種の比較表
| 機種 | Wi-Fi | VPNクライアント | VPNサーバー | WireGuard | 参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| ASUS RT-BE92U | Wi-Fi 7 | ◯ | ◯ | ◯ | 約37,000円 |
| GL.iNet Flint 3 (GL-BE9300) | Wi-Fi 7 | ◯ | ◯ | ◯ | 約30,000円 |
| GL.iNet Flint 2 (GL-MT6000) | Wi-Fi 6 | ◯ | ◯ | ◯ | 約24,000円 |
| Buffalo WXR18000BE10P | Wi-Fi 7 | ✕ | ◯(L2TPのみ) | ✕ | 約50,000円 |
ASUS RT-BE92U(推薦)
「ASUS(エイスース)」は、台湾のPC・周辺機器メーカーです。VPN機能搭載ルーターのバリエーションが豊富で、機能と性能のバランスが優れています。
RT-BE92Uは、ASUSのWi-Fi 7対応トライバンドのフラッグシップモデルです。VPNクライアント・VPNサーバー両方に対応し、最新のWireGuardプロトコルにも対応しています。
ASUSの独自機能「VPNフュージョン」を搭載しているのも大きなメリットです。これはVPNクライアントの拡張機能で、複数のVPNサービスに同時接続し、デバイスごとに使い分けできます。
例えば、PCは会社のVPN、スマホは自分で契約したVPNサービス、ゲーム機はVPN接続しない、といった柔軟な運用が可能です。
対応プロトコル
- WireGuard
- OpenVPN
- IPsec
- PPTP
- L2TP/IPsec
こんな人におすすめ
- 家中のデバイスをVPNサービス経由にしたい
- 外出先から自宅のPCやNASにもアクセスしたい
- Wi-Fi 7対応で長く使える機種が欲しい
- 複数VPNを使い分けたい
前世代機のRT-AX5400(Wi-Fi 6・約2万円)も同様の機能を持ちますが、現在Amazon.co.jpでは在庫が安定しません。現行機のRT-BE92Uがおすすめです。
GL.iNet Flint 3 GL-BE9300(コスパ重視・上級者向け)
「GL.iNet(ジーエルアイネット)」は、香港のネットワーク機器メーカーです。OpenWRTベースの自由度の高いルーターを得意としています。
Flint 3(GL-BE9300)は、Wi-Fi 7トライバンド対応のホームルーターです。5つの2.5GbEポートを搭載しながら3万円という価格設定で、コスパに優れています。
WireGuard・OpenVPN両対応で、VPNサービスとの連携も得意です。AdGuard Home、Tailscale、Tor接続といった、他社にはない機能が満載なのも魅力です。
ただし、設定画面はやや上級者向け。ガジェットが好きで、自分で調べて設定できる方におすすめです。
対応プロトコル
- WireGuard
- OpenVPN(OpenVPN DCO対応で高速化)
- 主要なVPNプロバイダーとの連携機能あり
こんな人におすすめ
- Wi-Fi 7対応をできるだけ安く導入したい
- 2.5GbE対応の高速有線接続が欲しい
- AdGuard HomeやTailscale等の追加機能を使いたい
- 自分で設定するのが苦にならない
GL.iNet Flint 2 GL-MT6000(低価格重視)
GL.iNetのもう一つの定番、Flint 2(GL-MT6000)は、Wi-Fi 6対応のホームルーターです。約2万4千円と低価格でありながら、WireGuardで最大900Mbpsという高速VPN性能を誇ります。
Wi-Fi 7は不要で、まずは安価にVPNルーターを試してみたいという方にぴったりです。
対応プロトコル
- WireGuard
- OpenVPN
- 主要なVPNプロバイダーとの連携機能あり
こんな人におすすめ
- Wi-Fi 7はまだ必要ない
- できるだけ安価にVPNルーター環境を構築したい
- 高速WireGuard性能を重視したい
Buffalo WXR18000BE10P(日本メーカー重視)
「Buffalo(バッファロー)」は、名古屋に本社がある日本のコンピューター周辺機器メーカーです。日本語サポートを重視する方には安心感があります。
WXR18000BE10Pは、Wi-Fi 7対応フラッグシップモデルです。VPNサーバー機能を搭載しており、外出先から自宅のネットワークに接続できます。
ただし、以下のような制約があります。
台湾や香港ではなく、日本メーカーであることを最重視する場合に向いています。
VPNクライアント機能を使いたい場合は、上記のASUSやGL.iNet、この記事ではご紹介していない法人向け機器が選択肢となります。
TP-Linkに関する注意
VPNルーターと言えば、TP-Link(中国)のArcherシリーズが頻繁にランキング上位に出てきます。価格と機能のバランスが優れているのは事実です。
しかし、2024〜2026年にかけて、TP-Link製品に対するセキュリティ懸念が国際的に高まっています。
- 米国:商務省・国防総省・FBIなどがTP-Link製ルーターのセキュリティ脆弱性と中国政府との関連を調査し、政府機関での調達を制限
- 日本:経済安全保障の観点から、政府機関での通信機器調達を見直し
VPNルーターは「プライバシーとセキュリティを高める」目的で導入するものです。価格や性能から見ると、確かにTP-Linkの製品は魅力的ですが、現状では推奨リストから外しています。
VPNルーターと組み合わせるVPNサービス
VPNルーターを導入しても、それだけではVPNは利用できません。「VPNサービス」の契約が必須です。
VPNルーターの「VPNクライアント機能」を使って外部のVPNサービスに接続することで、家中のデバイスがそのVPNサービス経由となります。
VPNサービスには様々な選択肢がありますが、ここでは定番サービスを3つご紹介します。
NordVPN【業界最高速・多機能】
「NordVPN」は、世界111ヶ国に6,000台以上のサーバーを展開する最大手のVPNサービスです。![]()
- 業界最速クラスの通信速度(独自プロトコル「NordLynx」= WireGuard派生)
- 二重VPN・難読化サーバーなどの先進機能
- 複数回のノーログ監査クリア実績(Deloitte、PwC等)
- 主要なVPNルーター(ASUS含む)と連携可能
ルーター用のセットアップガイドも公式サイトで丁寧に提供されており、初めてVPNルーターを使う方にもおすすめです。
ExpressVPN【速度と使いやすさのバランス】
「ExpressVPN」は、イギリス領ヴァージン諸島(BVI)に拠点を置くVPNサービスです。![]()
- 独自プロトコル「Lightway」で高速・安定
- TrustedServer技術でログが物理的に残らない仕組み
- 105ヶ国以上にサーバーを展開
- ASUSルーターを含む各種ルーターに対応
セットアップの簡単さと、安定した通信速度に定評があります。
SurfShark【コスパ重視】
「SurfShark」は、オランダに拠点を置くVPNサービスで、コストパフォーマンスに優れています。![]()
- デバイス数の制限なしで接続可能
- 100ヶ国以上にサーバー展開
- 広告・マルウェアブロック機能「CleanWeb」内蔵
- 2年プランで月額約300円〜と低価格
家族全員のデバイス+家中のIoT機器をまとめてVPN保護したいなら、Surfsharkが最もコスパに優れています。
よくある質問(FAQ)
Q. VPNルーターだけで使える?VPNサービスは必須?
VPNクライアント機能を使う場合、VPNサービスの契約は必須です。VPNルーターはあくまで「接続の窓口」であり、接続先となるVPNサーバーを提供するのがVPNサービスです。
ただし、「外出先から自宅にアクセスするだけ」が目的なら、VPNサーバー機能のみでよく、外部のVPNサービスは不要です。
Q. Wi-Fi 7のルーターは今買うべき?
スマホやPCがWi-Fi 7対応であれば、買う価値は十分にあります。iPhone 16 ProやGalaxy S24 UltraなどはWi-Fi 7対応で、対応機種は急速に増えています。
長く使うことを考えれば、新規購入時はWi-Fi 7対応モデル(ASUS RT-BE92U、GL.iNet Flint 3など)を選ぶことをおすすめします。
Q. TP-Linkのルーターは絶対に避けるべき?
「絶対に避けるべき」とまでは言えませんが、プライバシー・セキュリティ目的でVPNを導入する人にとっては合理的な選択ではないと考えます。
価格・機能の優位性はありますが、信頼性に懸念が残るルーターでVPNを動かすのは、目的と矛盾します。本記事では推薦から外しています。
Q. VPNルーターを導入すると通信速度は遅くなる?
VPN通信は暗号化処理が必要なため、理論上は速度低下が起こります。ただし、WireGuard対応の最新ルーター(ASUS RT-BE92U、GL.iNet Flint 3等)であれば、Gbps級の高速通信にも対応できます。
L2TP/IPsec等の古いプロトコルでは速度低下が顕著なため、WireGuard対応ルーター + WireGuard対応VPNサービスの組み合わせがベストです。
まとめ
VPNルーターは初期設定こそ少し手間がかかりますが、一度導入してしまえば、家中のすべてのデバイスを自動的にVPNで保護できます。
特にスマートTV、ゲーム機、IoT家電が増えた現代の家庭においては、個別にVPNを設定する手間を考えると、VPNルーター + VPNサービスの組み合わせは最も合理的な選択です。
まずは、ご自身の用途(クライアント or サーバー)と、対応プロトコル、Wi-Fi規格を整理した上で、最適な1台を選んでください。

