クラウドストレージサービスはサブスクリプションばかりですが、pCloudでは買い切りプランが利用できます。しかし買い切りプランは、サービス終了してしまったら、データが消えるだけでなく、お金も無駄になるというリスクがあります。この記事では、pCloudのサービス運営の安定性と、どのくらい使えば元が取れるのか、実際に使う価値はあるのかについて、率直な感想を述べています。
pCloudにサービス終了リスクはある?
pCloudの機能と料金、倒産リスクについて解説します。
pCloudとは
「pCloud」とは、スイスのpCloud AG社が提供するクラウドストレージサービスです。
Windows、macOS、Linux、iOS、Androidといった主要なOSに対応しています。
月額や年額のサブスクリプションに加え、一度の支払いで生涯使える買い切りプランが用意されていることが特徴です。
pCloudの料金
pCloudの料金をご紹介します。
料金は時期やプラットフォームにより微妙に異なりますが、ここでは分かりやすいiOS版でご紹介します。
月払い | 年払い | 買い切り | |
---|---|---|---|
500GB | 700円 | 7,000円 | 30,000円 |
2TB | 1,500円 | 15,000円 | 60,000円 |
暗号化オプション | 550円 | 5,500円 | 22,000円 |
暗号化オプションや、買い切りプランを除けば、標準的な価格かと思います。
暗号化とは?
pCloudを含め、多くのクラウドストレージでは、サーバーに保存されたデータをシステム管理者が閲覧することができます。
主に、違法なファイルが共有されることを防ぐための措置ですが、プライバシーの侵害や不正利用の恐れもあります。
暗号化オプションを使用すると、専用の暗号化フォルダが作成され、そのフォルダ内のファイルは暗号化されてサーバーに保存されるので、管理者であっても内容を確認できなくなります。
無料版はある?
pCloudには無料版もあり、以下のロックを解除するごとに使用できる容量が増えていきます。
自分ひとりだけであればば7GBまでで、友達を一人招待するごとに1GB増え、最大で10GBということだと思います。
- 2GB アカウント登録
- 1GB メールアドレス確認
- 1GB ファイルのアップロード
- 1GB pCloud Drive(PC)のダウンロード
- 1GB pCludアプリ(スマホ)のダウンロード
- 1GB 自動アップロードをONにする
- 1GB 友たちを招待する(3人まで?)
pCloudは信頼できる? 黒字なの?
世の中には多くのクラウドストレージがありますので、その中からあえてpCloudを選択するのは、買い切りプランがあるからということが大きいでしょう。
買い切りプランは、長く使えば使うほどお得になりますが、会社が倒産してしまえば高くつくことになります。計画倒産をする前提の、詐欺も考えられます。
ここでは、pCloudが信頼できる会社かどうかについて解説します。
経営状態
pCloudは2013年にサービスを開始しました。
ユーザー数は、2024年現在で約2,000万人と言われています。そのうち日本人は約6万人とされています。
財務状況や決算書類は公開されていませんが、2020年以降は黒字であり、経営は安定しているとのことです。
安全性
pCloudはサービス開始以降、情報漏洩等のセキュリティ事故は確認されていません。
2015年に賞金10万ドルを賭けたハッキングチャレンジを行いましたが、成功者はいませんでした。
ISO 9001(品質マネジメント)や、ISO 27001(情報セキュリティマネジメント)の認定を受けています。
また使用しているデータセンターも、SSAE 16 SOC 2, Type II(クラウドサービスのセキュリティマネジメント)の認定を受けています。
勝手にデータを消される?
pCloudを無料プランで使用している場合は、12ヶ月間アクセスがないと、アカウントとデータが自動的に削除されます。
有料サブスクリプションや、買い切りプランを契約しているアカウントのデータが、勝手に消されるということはありません。
倒産したらどうなるの?
pCloudは、倒産する場合に備えて、1年はサービス運営をする余力を確保しており、その間にユーザーの移行をサポートするとしています。
現在のところ、pCloudが倒産するリスクは低いと思われますが、世の中何があるかは分かりません。最後は自己責任となります。
ただし、データ喪失のリスクがあるのは、他のストレージサービスも同じです。買い切りのお金が無駄になるかどうかという違いだけです。
pCloudはサービス終了まで何年使えばお得?
pCloudの買い切りプランは、何年使えばお得になるのか、それだけ使うことはあるのかについて、個人的な意見を述べます。
買い切りプランがお得になるのは何年から?
代表的なクラウドストレージと、pCloudの料金の比較をします。
2TBのプランを軸に、pCloudの買い切り(60,000円)の方が安くなる期間を表にしました。
料金(円/1年) | 期間(年) | |
---|---|---|
iCloud+ | 18,000 | 3.3 |
MEGA | 16,356 | 3.7 |
pCloud(年払い) | 15,000 | 4 |
Dropbox | 14,400 | 4.2 |
Google Drive | 13,000 | 4.6 |
概ね5年以上使えれば、元が取れたと言えるのではないでしょうか。
5年は結構微妙
5年で元が取れるというのは、なかなか絶妙な価格設定だと思います。
HDDの容量あたりの価格は、3~5年で半額になるようです。つまり、2TBの外付けHDDの価格は現在15,000円程度ですが、3~5年後には、同じ容量を7,500円で購入できるということです。
クラウドストレージも同じように価格が下る傾向にあります。5年で元が取れるといっても、その時には他社はもっと値下げしているかもしれません。
値下げしたとしても、そのまま使い続ければ追加料金は発生しないので、お得にはなるのですが、世の中の変化を考えると、5年後も使い続けるかどうかというのは、結構微妙なのではないかと思います。
方向性が微妙
pCloudを実際に使ってみた感想としては、方向性がブレているように感じました。
余計なことしがち
第一印象は、OneDriveと同じような、勝手にファイルを同期するお節介なクラウドストレージです。
例えばこれは、スクリーンショットを撮ると、自動的にアップロードされる機能です。
こちらは、スマホ内の写真や動画を自動的にアップロードする機能です。
「思い出」が、何なのかよく分からないのですが、過去のファイルを勝手に表示してくれる(?)機能のようです
ストレージサービスが余計なことをするのは止めてほしいのですが、幸いにも、設定で簡単にオフにできる素直さはありました。
全部暗号化で良くない?
また気になる点として、エンドツーエンドの暗号化が、特定のフォルダでのみ有効になるということです。
セキュリティのことを考えるならば、全部暗号化で良くない?分ける必要ある?と思うのですが⋯⋯
別料金になっているところも微妙です。
簡単に使えるのか、セキュリティを重視するのか、ターゲットを絞ったほうがいいのではないかと思いました。
まとめ pCloudとサービス終了リスク
私の個人的な意見としては、買い切りプランはそんなに魅力的ではないかな、というところです。
買い切りプランを別に考えると、クラウドストレージとしては平凡なので、あえて選ぶ必要がないということになります。
MEGAのようにセキュリティに特化する、NordVPNのようにVPNとストレージをセットにする、等の特徴があるといいのではないかなと思いました。