simplewallは、Windows向けの、軽量かつ強力なファイアウォールです。リソースをほとんど消費しないことが魅力ですが、アンインストールしてもブロック設定が残るという問題点があります。simplewallの使い方と注意点をまとめました。
simplewallとは
- 概要
- WFPとは
- 注意点
- Portmasterとの違い
- Windowsファイアウォールと併用できる?
概要
「simplewall」は、オープンソースで開発されている、Windows用のファイアウォールツールです。
とても軽量で、リソースをほとんど使用しないことが特徴です。
2018年のWindows Vistaの頃から開発されている歴史あるアプリで、現在でも活発にアップデートが続けられています。
GPL 3.0ライセンスで公開されており、無料で使用できます。
GPL 3.0とは、商用利用・改変・再配布は自由だが、再配布する時はソースコードを公開し、同じGPL 3.0ライセンスにする必要があるというものです。(コピーレフト)
WFPとは
simplewallは、「WFP(Windows Filtering Platform)」のフロントエンドとして機能します。
WFPとは、Windowsに内蔵された、ネットワークトラフィックを制御するためのフレームワークです。
WFPを利用することで、通信をブロックしたり、ログを取得したりすることが可能となります。
つまりsimplewallは、Windowsの設定を変更しているだけで、simplewall本体が通信をブロックしている訳ではありません。
注意点
ここで、simplewallを利用する上で、重要な注意点があります。
simplewallは、WFPで設定変更しているだけなので、アプリを終了させても元に戻りません。
設定を消すには、再度simplewallを起動してブロック解除する必要があります。
Portmasterとの違い
Portmasterも、無料で利用できる、人気のファイアウォールアプリです。
-
無料で使えるオープンソースのファイアウォールPortmasterの使い方
2025/9/7 ファイアウォール
Portmasterは、ネットワーク監視+ファイアウォールツールです。どのアプリがどこにアクセスしているかを確認でき、そのままブロックすることもできます。特にWindowsの場合、Windows本体を ...
Portmasterは、WFP + 独自エンジンで通信をブロックします。
Portmasterアプリ(サービス)が起動している間だけ有効なので、アプリを終了させればブロックは解除されます。
この点がsimplewallと大きく異なります。
Portmasterは、CPUはほとんど使用しませんが、50~200MB程度のメモリを消費します。
リソースが気になる方は、simplewallを検討すると良いでしょう。
Windowsファイアウォールと併用できる?
Windows標準の「Windows Defender ファイアウォール」も、内部的にはWFPを使用しています。
Windowsファイアウォールとsimplewallで、設定内容を共有している訳ではなく、独立して動作します。
壁が二枚できるイメージです。
併用することも可能ですが、二重に管理することになるのでご注意ください。
simplewallの使い方
- インストール
- アプリ単位でブロックする
- ルールベースでブロックする
- Windows Updateを許可する
- ブロックの解除 / アンインストール
インストール
「https://github.com/henrypp/simplewall」を開き、「Releases」をクリックします。
「setup.exe」をダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを実行します。
Windows Defenderの警告が表示された場合は、「詳細情報」をクリックします。
「実行」をクリックします。
simplewallは、最初から日本語に対応しています。
「OK」をクリックします。
「次へ」をクリックします。
使用許諾を確認し、「次へ」をクリックします。
インストール先フォルダを確認し、「次へ」をクリックします。
デフォルトは「C:\Program Files\simplewall」です。
ここでは変更していますが、深い意味はありません。
構成要素の選択で「Store settings in application directory (portable mode)」にチェックを入れると、設定ファイルがインストールフォルダに保存されます。
個人的には、チェックを入れることをおすすめします。
「次へ」をクリックします。
「完了」をクリックします。
アプリ単位でブロックする
初回起動時は、以下のような画面となります。
初期設定で、「simplewall.exe」以外が全てブロック対象となっていますが、まだブロックされていません。
サービスも全ブロックとなっています。
ブロックを開始するには、「フィルターを有効化」をクリックします。
ここで、次の2つのモードから選択します。
- 恒久的運用: フィルターは手動で無効にするまで有効
- 一時的運用: フィルターは次回PC起動時に無効化
一時的運用は、PCを再起動すれば設定が解除されるということです。
初めてであれば、一時的運用から試してみることをおすすめします。
また、「Windows Firewallを無効化」するかどうかを選択できます。
個人的には、有効のままにしておいた方が良いのではないかと思います。
全ての通信をブロックしたので、確認のポップアップが次々に表示されてきます。
それぞれ「許可/ブロック」を選択していきます。
ルールベースでブロックする
IPアドレスやポート番号でブロックすることもできます。
「+」をクリックします。
ルールを設定し、「ルール有効」にチェックを入れ、「保存」します。
Windows Updateを許可する
デフォルトでは全ての通信をブロックするので、Windows Updateもブロックされてしまいます。
許可するには、「設定」-「ルール」-「Windows updateを許可」にチェックを入れます。
ブロックの解除 / アンインストール
simplewallアプリを終了させても、ブロック設定は残ったままとなります。
このままアプリをアンインストールすると、設定を解除することができず、大変なことになります。
アンインストール前に、必ず「フィルターを無効化」としましょう。
「フィルターを無効化」をクリックします。
この後、simplewallアプリをアンインストールすれば大丈夫です。
まとめ simplewallアプリとは
simplewallは、無料で利用できる、Windows向けのファイアウォールアプリです。
軽量かつ強力ですが、仕様を理解せずにインストールすると、ブロック設定を解除できなくなるという注意点があります。
個人的には、恒久的運用ではなく、必要な時のみ一時的運用(PC再起動で解除)するのが良いのではないかと思います。