異なるデバイス間で無制限にファイル同期できるSyncthingの使い方

ストレージ

異なるデバイス間で無制限にファイル同期できるSyncthingの使い方

2024年11月5日

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PCとスマホでファイルを同期するのに、クラウドストレージを使用しているという方も多いと思います。しかしほとんどのクラウドストレージは、サーバー管理者が中身を確認することができるので、プライバシーが心配です。そんな時に便利なのが、P2Pでファイル同期できるSyncthingです。誰にも内容を見られることもないし、クラウドストレージの容量を気にする必要もありません。この記事では、Syncthingの仕組みと使い方について、分かりやすく解説しています。

ポイント

  • Syncthingの仕組み
  • Syncthingのインストールと、同期の方法
  • 使い方のヒント

Syncthingの安全性と使い方

Syncthingの安全性の仕組みと、危険性について解説します。

Syncthing公式サイト

Syncthingとは

Syncthing」は、P2Pのファイル同期ツールです。

クラウドサーバーを経由せずに、デバイス間でデータが送受信され、フォルダの内容が即座に反映されます。

一般的なクラウドストレージとは異なり、サーバーにデータが保存されないので、検閲されたり、不正利用されたりする心配がありません。

また、オープンソースで開発されているので、透明性が保たれています。

Windows、macOS、Linux、Android等は無料で利用できます。iOSでは、一部の有料アプリが対応しています。

Syncthingの仕組み

Syncthingの基本的な仕組みをご紹介します。

P2P

Syncthingには中央管理サーバーがなく、各デバイスが「ピア」として直接通信をします。

各デバイスは対等な関係で、どちらがホスト・クライアントということもありません。

基本的に、各デバイスがインターネット上のどこにあっても同期することができます。

暗号化

通信データはTLS(Transport Layer Security)によって暗号化されるので、第三者が盗聴することは困難です。

デバイスID

Syncingをインストールすると、デバイスIDが自動生成されます。

同期をする際は、各デバイスが相互にデバイスIDを承認する必要があるので、第三者が不正に傍受することは困難です。

ディスカバリーサーバー(グローバル探索)

Syncthingは、まずローカルネットワークでマルチキャストをして、デバイスの検出を試みます。

ローカルネットワーク内で見つからない場合は、ディスカバリーサーバーに、自身のデバイスIDとIPアドレスを登録します。

両方の接続情報がディスカバリーサーバーに登録されることで、通信相手のIPアドレスを知ることができ、同期が開始されます。

ディスカバリーサーバーには一時的に接続情報が登録されるだけであり、通信内容は保存されません。

リレーサーバー(中継サーバー)

NATやファイアウォールによって通信が遮られ、P2Pで接続できない場合は、リレーサーバーが中継を行います。

つまり「A ↔ B」ではなく、「A ↔ リレーサーバー ↔ B」となります。

通信内容はエンドツーエンドで暗号化されているので、リレーサーバーはその内容を解読することはできません。

Syncthingの危険性

Syncthingを使う上での注意点をご紹介します。

データ漏洩

Syncthingは誰でも簡単に使える一方で、複雑なネットワーク設定も可能となっています。

誤った設定をすると、データ漏洩につながるリスクがあります。

また企業のネットワーク管理者からすると、従業員が勝手にSyncthingを使用して、内部データを流出させるリスクもあります。

データ消失

SyncthingのUIは洗練されているとはいい難く、特にフォルダの同期設定はかなり分かりにくくなっています。

誤った設定をして、データを消失してしまうリスクがあります。

匿名ではない

Syncthingは通信内容を暗号化しますが、匿名性を担保している訳ではありません。

特に、ディスカバリーサーバーやリレーサーバにはIPアドレスが登録されることに注意しましょう。これらのサーバーの使用をオフにすることもできますが、通信できなくなる恐れもあります。

VPNと併用することで、匿名性を高めることができます。

NordVPNでは、メッシュネットワーク機能により、簡単に仮想LANを構築することができます。(Syncthingを使う必要もなくなりそうですが)

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Syncthingの設定と使い方

Windows・Android・iOSでの、Syncthingのインストールと、同期の方法について解説します。

Syncthingのメイン画面

Windows

ダウンロード

ブラウザで「https://syncthing.net/」を開き、「Downloads」をクリックします。

Syncthing Windows ダウンロード 1

「Syncthing Windows Setup」をクリックします。

Syncthing Windows ダウンロード 2

GitHubのリリースページで、「syncthing-windows-setup.exe」をダウンロードします。

Syncthing Windows ダウンロード 3

インストール

ダウンロードしたファイルを実行します。

ログインしているユーザーだけで使用するか、全ユーザーが使用するかを選択します。

Syncthing Windows インストール 1

内容を確認し、「Next」をクリックします。

Syncthing Windows インストール 2

内容を確認し、「Next」をクリックします。

Syncthing Windows インストール 3

インストールフォルダのパスを確認し、「Next」をクリックします。

Syncthing Windows インストール 4

スタートメニューに登録するか確認し、「Next」をクリックします。

Syncthing Windows インストール 5

ネットワーク設定を確認し、「Next」をクリックします。

後から変更もできます。

Syncthing Windows インストール 6

自動起動の設定、デスクトップにショートカットを作成するかを確認し、「Next」をクリックします。

Syncthing Windows インストール 7

設定内容を確認し、「Install」をクリックします。

Syncthing Windows インストール 8

Windowsファイアウォールに除外設定をするかの確認です。

「はい」でいいでしょう。

Syncthing Windows インストール 9

「Finish」をクリックして、完了です。

Syncthing Windows インストール 10

初期設定

Syncthingsの設定をするには、ブラウザで「http://127.0.0.1:8384」にアクセスします。

「https」ではないというセキュリティの警告が出ますが、無視して進みます。

「詳細情報」をクリックして「127.0.0.1にアクセスする」をクリックします。(エラーの表示の仕方はブラウザによって異なります)

Syncthing Windows 設定 1

使用状況をレポートするかを選択します。

どちらでもいいですが、私は「いいえ」にしました。

集計した情報は「https://data.syncthing.net/」で確認できるとのことです。

Syncthing Windows 設定 2

「ユーザー名」と「パスワード」を設定するように薦められます。

今回は自分しか使わないので、「OK」で無視しました。

Syncthing Windows 設定 3

初期設定では、「C:\Users\【ユーザー名】\Sync」が同期フォルダとなります。

このフォルダは変更できませんが、削除することはできます。

削除するには「編集」をクリックします。

Syncthing Windows 設定 4

「除去」をクリックします。

Syncthing Windows 設定 5

改めて、「フォルダーを追加」をクリックします。

Syncthing Windows 設定 7

「フォルダー名」と「フォルダーパス」を入力し、「保存」をクリックします。

フォルダーパスは、手入力する必要があります。

Syncthing Windows 設定 8

注意

ここミスです。

「フォルダーID」は、自動生成されるユニークキーだと思っていたのですが、普通に編集できました。

フォルダー名と同じにしておいた方がいいです。(通りで分かりにくいと思った)

Android

Androidでは「Syncthing-Fork」が利用できます。

もともと公式の「Syncthing」アプリがありましたが、あまりメンテナンスされていなかったため(?)、Google Playストアから削除されました。

「Syncthing-Fork」は、その後継です。

Syncthing-Fork

「続行」をクリックします。

Syncthing Android インストール 2

ファイル同期をするためには、ストレージアクセスの許可が必要となります。

「許可を与える」をタップします。

Syncthing Android インストール 3

「全ファイルの管理権を付与」をオンにします。

Syncthing Android インストール 4

バッテリー最適化と書かれていますが、要はバックグランド同期です。

「許可を与える」をタップします。

Syncthing Android インストール 5

「許可」をタップします。

Syncthing Android インストール 6

ロケーションアクセスの許可は、特定のWi-Fiアクセスポイントに接続した時のみ同期する、などの設定に必要となります。

今回は不要なので、無視して「続行」としました。

Syncthing Android インストール 7

インストールが完了しましたが、まだ何もありません。

デバイスとフォルダーの同期設定が必要となります。

Syncthing Android インストール 8

iOS

iOSでは公式のSyncthingアプリがありませんが、「Möbius Sync」で同期をすることができます。

Möbius Sync

ただし無料版は、全体で20MBまでしか同期できません。テスト用と割り切ったほうがよいでしょう。

有料版の「Möbius Sync Pro」は、700円の買い切りです。

使い方は、ブラウザ画面と大差ないので割愛させていただきます。

同期設定

注意

フォルダーの同期設定が、とても分かりにくいです。

私も3回くらいやり直しました。

最悪、ファイルを消失する可能性があるので、十分にご注意ください。

WindowsとAndroidデバイスで、フォルダーを同期する方法をご紹介します。

どちら側からも設定できるので、この通りにやる必要はありません。

参考程度にしていただければと思います。

1. Android

「デバイス」タブを選択し、右上の「+」アイコンをタップします。

Syncthingのペアリング 1

デバイスIDは長いので、QRコードアイコンをタップし、カメラを起動します。

Syncthingのペアリング 2

2. Windows

右上の「メニュー」から、「IDを表示」をクリックします。

Syncthingのペアリング 3

QRコードが表示されます。

Syncthingのペアリング 4

3. Android

QRコードをカメラで読み取ります。

「デバイス名」を手入力し、右上の「✓」をタップします。

Syncthingのペアリング 6

4. Windows

Windowsの方に通知が表示されるので、「デバイスを追加」をクリックします。

Syncthingのペアリング 9

「デバイス名」を手入力し、「保存」をクリックします。

Syncthingのペアリング 10

デバイスを登録しただけでは、まだ同期されません。

各フォルダーごとに、同期するデバイスを設定する必要があります。

共有したいフォルダーの「編集」をクリックします。

Syncthingのペアリング 11

「共有」タブを選択し、同期したいデバイスにチェックを入れ、「保存」をクリックします。

Syncthingのペアリング 12

5. Android

今度はAndroid側に接続を求める通知が来るので、「受付」をタップします。

Syncthingのペアリング 13

保存するフォルダーを作成し、同期するデバイスをオンにし、右上の「✓」をタップします。

これで完了で、すぐに同期が始まります。

Syncthingのペアリング 14

まとめ

分かりましたでしょうか。

デバイスの登録と、フォルダーごとにどのデバイスと同期をするのかが別れています。それぞれに承認が必要です。

また、「デバイスID / デバイス名」「フォルダーID / フォルダー名 / フォルダーパス」で、別々の名前を設定できるようになっています。

これにより、より柔軟な設定ができるようになっているのか、またはいろいろなOSで同期するために必要な処理なのかは分かりませんが、初見ではなかなか戸惑うところです。

Syncthingの終了

Syncthingは一度起動すると、バックグラウンドでも同期し続けます。(そうでないと困りますよね)

Windows版の場合、終了するには右上の「メニュー」から「シャットダウン」をクリックします。

Syncthing Windows 終了

Android版の場合、左上の「≡」から「終了」をタップします。

Syncthing Android 終了

iOS版のMöbius Syncには、終了という概念がないようです。

Synctingの使い方のポイントまとめ

ポイント

  • Synctingは、オープンソースで開発されている、P2Pの同期ツール
  • WindowsやAndroidは無料で利用できる
  • iOSは、700円の買い切りアプリがある
  • クラウドストレージと異なり、サーバーに保存されないので、検閲される心配がない
  • クラウドの容量を気にする必要もない(もちろんローカルに限界はある)
  • NAT超えをして、世界中どこにいても同期をすることができる
  • 使い方がやや難しい
    • デバイスを登録して、フォルダーごとに同期するデバイスを選択する
    • フォルダーID(共通の名前)、フォルダー名(各デバイス上の名前)、フォルダーパス(実際のフォルダー名)を別々に設定できるが、揃えたほうが無難
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