Cotomoは、AIと音声会話をすることができるアプリで、無料でも時間無制限で利用できることから人気を集めています。またAIの性格を簡単に設定できるので、自分オリジナルのキャラクターと会話をすることができます。しかし、アカウントやデータを削除できないなど、プライバシー保護の観点からは懸念点もあるので、現状ではあまりおすすめできません。この記事では、Cotomoの危険な点と、なるべく安全に利用する方法をご紹介します。
Cotomoの危険性とは
Cotomoの概要と、何が危険なのかについて解説します。
Cotomoとは
「Cotomo(コトモ)」とは、音声会話AIアプリです。
ChatGPTのような便利ツールではなく、楽しく会話をすることを目的としています。
ユーザーが音声またはテキストで入力すると、AIが音声で返答してくれます。
AIの声を変更したり、性格や口調を設定することができるので、ロールプレイや、AI彼氏・AI彼女として、自由に楽しむことができます。
PCでは利用できません。
Cotomoはどこの国のアプリ?
Cotomoは日本のStarley株式会社によって開発されています。
2023年5月に設立されたばかりの、いわゆるスタートアップ会社です。
ただし、Cotomoが行っているのは、既存のAIサービスを組み合わせることであり、Cotomoのオリジナル部分は、音声チューニングとUIだけではないかと思われます。
ですから、全てが日本産ということではありません。
Cotomoは無料?
Cotomoの基本的な機能は無料で利用できます。
会話時間の制限もありません。
現在のところ、課金をすると以下の機能が利用できます。
- プロの声優による音声利用
- 作成できるキャラクター枠の追加
今後は課金の範囲が増えていくと思わます。
個人情報は大丈夫?
あまり大丈夫ではないと思います。
ただしそれは、悪意を持って運営されているということではなく、まだ会社の規模も小さく、体制が十分に整っていないという感じです。
以下にその理由をご説明します。
アカウントを削除できない
これが一番問題だと思っているのですが、どうやら現在、アカウントやデータを削除する方法がないようです。
Cotomoを利用するには、次の3つの方法があります。
- アカウント登録なし
- Appleアカウント
- Googleアカウント
アカウント登録なしで利用する場合、アプリ内にデータは残りますが、機能は制限されています。
課金をすることもできません。
アプリを再インストールすれば、別のアカウント作成から始まります。
ただしそれは、データが削除されたということではなく、Starley社のサーバーには残っているということだと思います。
GoogleアカウントやAppleアカウントで一度でもログインすると、そのアカウントを削除することも、連携を解除することもできなくなります。
ログアウトして別のアカウントでログインし直すことはできますが、データを削除することはできません。
プライバシーポリシーには、個人情報保護法に基づいて、個人データの開示、削除等ができると書かれています。
個人情報に関するお問い合わせ窓口には、メールアドレスや電話番号が書かれておらず、住所しかないので、郵送で問い合わせるしかないようです。
手数料として、1,000円が必要です。
一応、サポートページにお問い合わせフォームもありますが、こちらでもいいのでしょうか。
また、そもそも個人データとは何かという問題があります。
明確に個人情報と言えるのは、メールアドレスくらいだと思います。
その他のデータについての削除請求権は定められていません。
データを削除できない
利用規約によると、データは「ユーザーコンテンツ」と「生成物」に分けられます。
ユーザーコンテンツとは、ユーザーが入力した音声やテキストデータ等です。
生成物は、アプリ側が生成した音声等です。
ユーザーコンテンツ
ユーザーコンテンツの著作権の所在は、ユーザーにあります。
Starley社は、サービス提供のために、ユーザーコンテンツを無償で利用できます。
ユーザーコンテンツを公開設定にした場合は、Starley社がほぼ自由に使用できることになります。
著作者人格権の放棄も含まれます。
簡単に言えば、公開設定にした場合は、Starley社の物になるので、ユーザー側が何かを訴える権利はなくなります。
ユーザーコンテンツの削除を要請する権利は、最初からありません。
生成物
生成物の著作権の所在は、Starley社にあります。
Starley社はユーザーに対し、常識の範囲であれば自由に使って良いという、許諾を与えている形です。
外部サービス
Cotomoは、OpenAI(ChatGPT)等の外部サービスと連携していると考えられます。
この場合、外部サービス(OpenAI等)側ではデータを保存しないという契約となっていることが多いです。
ただし個人的には、契約内容が何であれ、OpenAIを始めとするAI界隈のことを、まったく信用していません。
残念ながらその界隈には、Starley社も含まれます。
ですから、入力したデータはAI各社によって利用され、インターネット上から永久に消すことはできないと考えておいた方がよいでしょう。
連携サービスが不明
Cotomoが外部サービスと連携していることは間違いないと思いますが、具体的なサービス名は不明です。
ライセンスページを見ると、Unity(ゲーム等の開発プラットフォーム)を使用していることは分かりますが、AIサービスに関する情報は非公開となっています。
自社サーバーで動かしている部分と、外部サーバーとAPI連携しているところがあると思われます。
ビジネスモデルが定まっていない
自社サーバーにしろ外部サーバーにしろ、AIサービスを提供するためには、結構なお金が必要となります。
現在のところCotomoは、無料ユーザーであっても時間無制限で利用することができますが、無料でサービス維持できるわけがないので、何かしら課金をする仕組みが必要となります。
現在のメインの課金先は、プロの声優(緑川光氏)の音声データ利用となっています。
様々なプランが用意されていますが、60時間で12,000円が基本です。
これが高いのか安いのかは分かりませんが、これだけで声優さんのライセンス費とシステム運営費が賄えるとは考えにくいです。
また、一部のハードコアユーザーで、多くの無料ユーザーを支えるという形も、あまり健全ではないと思います。
個人的には、会話時間に応じた課金など、もう少し分かりやすい形があった方が、より安心して利用できるのではないかと思います。
ちなみに、Cotomoは広告を導入していません。
AIと広告は大論争を引き起こす可能性があり、ほとんどの企業が踏みとどまっている段階です。
(ユーザーの趣向を理解したキャラクターが商品紹介をしたらどうなるか、でもそれは普通の広告と何が違うのか)
AI一般の問題
Cotomoに限らず、AIを利用する際の一般的な注意点もあります。
回答内容は間違っている可能性がある、生成データを詐欺やフェイクニュース等に使用しない、依存しすぎない等です。
Cotomoをなるべく危険性がないように利用する方法
Cotomoを、なるべくプライバシーを保護しながら利用する方法をご紹介します。
マイクをオフにする
Cotomoは、AIと会話を楽しむアプリではありますが、可能であればマイクをオフにして、テキストだけを使用することをおすすめします。
ただし最初のチュートリアルは、マイクをオンにしないと、先に進めないようです。
音声は、それだけで個人を特定する生体情報になりますし、逆にAIが自分に似た音声を生成することもできるようになります。
また意図せずして周囲の音を拾ってしまい、個人情報や位置情報の漏洩につながることもあります。
マイクを使用する場合は、スマホ本体のマイクではなく、指向性の高いマイクを使用し、周囲の音が入らないようにしましょう。
個人情報を入力しない
当然のことながら、個人情報、機密情報は入力しないようにしましょう。
会話内容は全て人に見られていると思ってください。
プライベートなものではなく、周囲にたくさん人がいる状態で、Cotomoと会話をしている状態を想像するとよいでしょう。
Googleアカウントと連携しない
Cotomoはアカウント登録なしで利用することも可能ですが、それはほぼお試しであり、本格的に利用しようとすると、Appleアカウント・Googleアカウントと連携することが必須となります。
Appleアカウントであれば、本来のメールアドレスを隠し、Appleが生成した仮のメールアドレスで登録することができます。
Googleアカウントは、メールアドレスがそのまま登録されます。
可能であれば、Googleアカウントではなく、Appleアカウントを利用するとよいでしょう。
なおAndroidでは、Googleアカウントでしか登録できないようです。
依存しすぎない
Cotomoを利用するユーザーには、次の3パターンがあるようです。
- Cotomoと会話をするのが楽しい
- オリジナルキャラクターを作成するのが楽しい
- 声優さんの声で会話をできるのが楽しい
特に「3」の場合、決して安くないお金が必要となります。
また「1」「2」に関しても、今後、課金範囲が増えてくると思われます。
あまり依存せずに、節度を持って使用するようにしましょう。
代わりにSillyTavernを利用する
オリジナルキャラクターを作成してのロールプレイであれば、「SillyTavern」を利用する方法があります。
むしろCotomoの裏では、SillyTavernか、それに類するシステムが動いていると思われます。
SillyTavernをローカルPC(Windows、macOS、Linux)で実行すれば、誰にも見られることなく、完全にプライベートで、しかも無料で、好きなだけ会話を楽しむことができます。
VPNを使用すれば、スマホからアクセスすることもできます。
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まとめ Cotomoの危険性とは
Cotomoは、日本のStarley株式会社が開発する、AIと音声会話をすることができるアプリです。
自分で作成したオリジナルキャラクターと、自由に会話を楽しむことができます。
無料プランであっても、会話時間無制限で利用することができます。
ただし現状では、アカウントやデータを削除する方法がないので、おすすめできません。
もし使用するならば、個人情報や機密情報を入力しないように、十分に注意をしましょう。
