フィンガープリントの意味と対策方法

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フィンガープリントの意味と対策方法

2024年7月2日

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近年、フィンガープリントによる高精度な個人識別が問題となっています。フィンガープリントという言葉自体は様々な意味を持ちますが、インターネット上のブラウザから取得できる、クッキーレスフィンガープリントのことを指すことが多くなっています。この記事では、フィンガープリントの一般的な使われ方と、クッキーレスフィンガープリントの詳細、フィンガープリントによる個人特定を防ぐ方法について、わかりやすく解説しています。

ポイント

  • いろいろなフィンガープリント
  • クッキーレスフィンガープリント
  • クッキーレスフィンガープリントによる特定を防ぐ方法

フィンガープリントの意味

フィンガープリントという言葉は、様々な意味で使われています。ここでは、IT業界を中心とした使われ方の違いについて解説します。

指紋の採取

フィンガープリントとは

「フィンガープリント(fingerprint)」とは「指紋」のことですが、様々な分野で「個人や物を識別するための特徴」という意味で使われています。

これはその例です。

  • 化学フィンガープリント
  • DNAフィンガープリント
  • 音響フィンガープリント
  • ICフィンガープリント
  • 画像フィンガープリント
  • 環境フィンガープリント
  • 薬物フィンガープリント
  • 古物フィンガープリント

以下では、IT分野に限定した、フィンガープリントの意味について解説します。

生体認証・指紋認証

「指紋認証(Fingerprint Authentication)」は、フィンガープリントの本来の使い方と言えます。

指紋は、生体認証の中で最初に実用化されたので、他の生体認証の方式も「◯◯指紋」などと言われることがあります。

実用化されている生体認証としては、下記のようなものがあります。

  • 指紋認証
  • 顔認証
  • 音声認証
  • 虹彩認証
  • 網膜認証
  • 静脈認証
  • 手のひら認証

その他、研究レベルも含めると、たくさんの方式があります。

  • 署名
  • キーストローク
  • 歩容
  • 耳の形
  • 頭蓋骨
  • 体臭
  • DNA
  • 心拍
  • 脳波
  • 顔熱
  • 皮膚パターン
  • 指関節
  • 咀嚼音

メディアフィンガープリント

メディアフィンガープリントとは、音声、画像・動画などのコンテンツから特徴を抽出し、識別する技術です。

主に、著作権保護やコンテンツ管理に使用されます。

以下のような情報が抽出されます。

  • 音声:周波数スペクトル、リズム、ピッチ、など
  • 画像:エッジ、テクスチャ、色ヒストグラム、など
  • 動画:エッジ、テクスチャ、色ヒストグラム、など

デバイスフィンガープリント

デバイスフィンガープリントは、PC・スマホ・タブレットなどの固有の特徴を収集して、特定のデバイスを一意に識別する技術です。

下記の、ソフトウェアフィンガープリントやネットワークフィンガープリントも、デバイスフィンガープリントに含められることがありますが、ここでは分けてご紹介します。

  • CPUの種類
  • GPUの種類
  • 画面の解像度
  • 画面の色深度
  • 画面のリフレッシュレート
  • 画面の向き
  • カメラの有無
  • マイクの有無
  • タッチパネルの有無
  • オーディオデバイスの情報
  • ハードディスクの空き容量

ソフトウェアフィンガープリント

一般的にソフトウェアフィンガープリントと言った場合、以下のような情報があります。

  • アプリの種類、バージョン
  • ライブラリ
  • 設定ファイル
  • ハッシュ値
  • メタデータ

ブラウザフィンガープリント

インターネット接続した際に、ブラウザから取得できる情報を、特にブラウザフィンガープリントと言って区別することがあります。

  • OSの種類、バージョン
  • ブラウザの種類、バージョン
  • インストールされているプラグイン
  • インストールされているフォント
  • 言語設定
  • タイムゾーン
  • クッキーの設定
  • Do Not Trackの設定
  • 画面情報
  • Canvas情報
  • WebGL情報

ネットワークフィンガープリント

ネットワークフィンガープリントとは、デバイスが通信した時に正規にやり取りされる情報や、そのパターンから推測される情報などを組み合わせて、通信デバイスを一意に識別する技術です。

以下のような情報があります。

  • IPアドレス
  • MACアドレス
  • ポート番号
  • プロトコル
  • パケットサイズ
  • 接続時間
  • 接続頻度

クッキーレスフィンガープリントの意味と対策

近年、フィンガープリントを用いて個人を識別する手法が問題となっています。ここでは従来のクッキーを用いた方法と、クッキーレスの方法の違い、特定されることを防ぐ方法について解説します。

プライバシー保護

クッキーとは

クッキーとは、ユーザーがウェブサイトにアクセスした時に、ブラウザによって保存される小さなデータファイルのことです。このデータファイルには、ユーザーを識別するID、訪問履歴、設定情報などが書き込まれています。

クッキーには、主に次のような利用目的があります。

  • ログイン状態の維持
  • 設定情報の保持
  • ショッピングカートの内容保持
  • アクセス解析
  • ターゲッティング広告

クッキーの規制

クッキーはユーザー体験を向上させますが、プライバシーの侵害や、仕組みを悪用されることによるセキュリティ上の懸念、ユーザーがトラッキングされることを不快に感じるなどの理由から、法規制がすすみました。

以下は、代表的な規制です。

GDPR(General Data Protection Regulation)

  • 地域:EU
  • 施行:2018年

ウェブサイトの運営者は、ユーザーにクッキーの種類や目的について説明し、同意を得る必要があります。

また、ユーザーが簡単に同意を撤回できるようにする必要があります。

CCPA(California Consumer Privacy Act)

  • 地域:カリフォルニア州
  • 施行:2020年

ウェブサイトの運営者は、ユーザーにデータ収集の目的、収集されるデータの種類、データの共有先を通知する必要があります。

またユーザーは、自分のデータ第三者にが販売されることを拒否する権利があり、サイト運営者はその要求に対応する必要があります。

LGPD(Lei Geral de Proteção de Dados)

  • 地域:ブラジル
  • 施行:2020年

ウェブサイトの運営者は、ユーザーにクッキーの使用目的、収集されるデータの種類、データの共有先を通知する必要があり、クッキーの取得には明示的な同意が必要となります。

クッキーレスフィンガープリントとは

クッキーが法規制されたり、ブラウザが標準でブロックしたりする一方で、クッキー無しで個人を識別する手法の研究が進みました。

これは、上記で紹介したようなデバイス、ブラウザ、ネットワークフィンガープリントを組み合わせる手法で、クッキーレスフィンガープリントとも言われます。

具体的には、下記のような情報があります。

  • USER AGENTヘッダー
  • HTTP ACCEPTヘッダー
  • インストールされているプラグイン
  • タイムゾーン
  • 画面サイズ、色深度
  • システムフォント
  • クッキーを許可するか
  • DoNotTruckを許可するか
  • CANVASハッシュ
  • WebGLハッシュ
  • 広告ブロックを使用しているか
  • 言語設定
  • OS
  • タッチパネルがあるか
  • CPU
  • メモリ
  • オーディオカードの特性

これらは、ブラウザでページを表示するために必要な項目ですが、組み合わさることで、個人をかなり高い精度で識別することができます。

どの程度の精度かというのは研究によって異なりますが、一説によると、完全一致するのは数百万人に一人しかいないとされています。

皮肉にも、「クッキーを拒否します」という設定自体が、識別の精度を高める要素となっています。

クッキーレスフィンガープリントは、法の抜け穴のようになっており、プライバシーの侵害を懸念する声が高まっています。

自分のフィンガープリントを確認する方法

自分のフィンガープリントを調べるには、EFF(Electronic Frontier Foundation)が提供する、「Cover Your Tracks」が便利です。

ブラウザで上記サイトを開き、「TEST YOUR BROWSER」をクリックしてください。しばらく待つと結果が表示されます。

ちなみにChromeでテストしたところ、過去45日間でテストした17万人の中で唯一のフィンガープリントという結果となりました。

Chromeのフィンガープリント

Braveのシークレットモードでテストしたところ、高度な手法を使ったら別だけど、基本的には分からないという結果となりました。

Braveのフィンガープリント

フィンガープリントで特定されることを回避する方法

フィンガープリントによる個人識別を、なるべく防ぐ方法をご紹介します。

プライバシー重視のブラウザ

近年、プライバシー保護を重視したブラウザが多数発表されています。

代表的なブラウザとして、Torや上記でも使用したBraveがあります。

ブラウザの設定

ChromeやEdgeのような定番ブラウザにも、サードパーティクッキーやトラッキングを拒否する機能がありますので、設定から確認してみましょう。

ブラウザののプライベートモード・シークレットモード

またブラウザには、プライベートモードやシークレットモードと呼ばれる、プライバシー保護を重視した機能があります。

セッション情報を破棄するという意味合いが強いので、フィンガープリントに対してはそこまで有効な対策とはなりませんが、使用しないよりはマシとなります。

ブラウザの拡張機能

トラッキングをブロックしたり、フィンガープリントをランダム化したりする拡張機能も存在します。

ただし、怪しげな拡張機能も多いので、注意が必要です。

ここでは上記のEFFが提供する「Privacy Badger」だけご紹介させていただきます。

クッキーとキャッシュクリア

クッキーレスフィンガープリントが問題なっている一方で、クッキーは依然として使用されています。

定期的にクッキーとキャッシュを削除することをおすすめします。

複数デバイス・仮想デバイス

1台だけでなく、複数のデバイスを使い分けることで、フィンガープリントによる特定を防ぎます。

さらに、仮想環境を使用してブラウジングがおこなうことができれば、より特定を困難にできます。

VPN

上記は主にデバイスとソフトウェアのフィンガープリントで、ネットワークについては含まれていません。

IPアドレスを隠すことができる、VPNと組み合わせて使用することが効果的です。

NordVPNであれば、二重VPNやプライベートモードDNSによって、プライバシーをより強固に保護することができます。

まとめ フィンガープリントの意味と対策について

ポイント

  • フィンガープリントとは「指紋」という意味で、様々な分野で「識別するための特徴」として使われている
  • 特にウェブブラウジングにおいて、クッキーを使用せずに個人を識別する、「クッキーレスフィンガープリント」が問題となっている
  • クッキーレスフィンガープリントは、通常操作で取得できるデバイスやアプリの設定情報を元にしており、その精度はかなり高い
  • クッキーレスフィンガープリントによる特定を防ぐには、以下のような方法が有効
    • プライバシー重視のブラウザを使用
    • ブラウザの設定変更
    • プライベートモード、シークレットモードの使用
    • プライバシー保護する拡張機能の使用
    • クッキーとキャッシュのクリア
    • 複数デバイス、仮想デバイス
    • VPN

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