LibreWolfは、プライバシー保護性能が最も優れているブラウザとも言われています。この記事では、LibreWolfの特徴と、他のブラウザとの違い、使用する上でのヒントをご紹介します。
LibreWolfと他のブラウザの比較
LibreWolfの概要と、Firefox、Tor Browser、Braveとの違いをご紹介します。
LibreWolfとは
「LibreWolf」とは、プライバシー保護とセキュリティを重視したウェブブラウザです。
Mozilla Firefoxをベースに、オープンソースで開発されています。
2019年頃に、Firefoxのビジネスモデルやパートナーシップに懸念を持つ開発ユーザーが、商業的に依存せずプライバシー保護に特化したブラウザを作ることを目的にプロジェクトを立ち上げました。
標準で広告ブロック、トラッキングブロック、テレメトリ(利用者データの収集)無効などの機能が有効になっており、2024年現在、プライバシー保護という観点では、最も安全なブラウザとも評されています。
ただし、Windows、macOS、Linuxのみで利用でき、iPhoneやAndroidなどのスマホ・タブレットには対応していません。
「LibreWolf」という名称は、「自由な狼」という意味で、「Firefox」の「狐」にかけたものと思われます。
Firefoxとの違い
LibreWolfがFirefoxの主な違いをご紹介します。
テレメトリ
Firefoxでは、ユーザーの利用データを収集し、パフォーマンス向上やバグ修正に活用しています。
設定で無効にすることもできますが、LibreWolfではその機能自体が無効化されています。
トラッキング
Firefoxでも、設定や拡張機能によって広告やトラッキングをブロックすることができますが、LibreWolfは最初から厳格にブロックされています。
サービス連携
Firefoxは、他のMozillaサービス、Pocket、デバイス間同期など、様々な連携機能を持っています。
これらは便利ではありますが、データ漏洩や、プライバシー侵害の恐れがあります。
LibreWolfは、連携機能を無効にすることで、プライバシーを保護していますが、その分機能は限られています。
Tor Browser、Braveとの比較
LibreWolfと同じ用に、プライバシー保護とセキュリティ機能を高めたブラウザとして、Tor Browser、Braveが知られています。
違いを表にまとめると、以下のようになります。
機能 | LibreWolf | Tor Browser | Brave |
---|---|---|---|
ベースエンジン | Gecho(Firefox) | Gecho(Firefox) | Blink(Chromium) |
オープンソース | ○ | ○ | ○ |
ビジネスモデル | 非営利 | 非営利 | 独自広告 |
広告ブロック | uBlock Origin | ー | 内蔵 |
プライバシー保護 | ○ | ◎ | ○ |
トラッキング防止 | ○ | ◎ | ○ |
テレメトリの無効化 | ○ | ○ | △ |
速度 | ○ | ✕ | ◎ |
Windows | ○ | ○ | ○ |
macOS | ○ | ○ | ○ |
Linux | ○ | ○ | ○ |
Android | ー | ○ | ○ |
iOS | ー | ー | ○ |
ベースエンジン
LibreWolfとTor BrowserはFirefoxのGeckoエンジンを使用しています。
Braveは、Google Chromeと同じ、ChromiumのBlinkエンジンを使用しています。
広告ブロック
LibreWolfは、拡張機能としてuBlock Originがあらかじめ搭載されています。
Tor Browserは広告ブロック機能を持っていません。
Braveは、広告ブロック機能を内蔵していますが、独自の広告を配信し、その収益をユーザーと分配する仕組みを持っています。
ビジネスモデル
LibreWolfとTor Browserは収益化の手段を持っておらず、寄付や助成金に頼っています。
Braveは、独自の広告モデルの他、有料でVPNを提供しています。
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速度
Tor Browserは、通信の匿名性を確保するために3段階のノードを経由するので、とても遅くなります。
LibreWolfとBraveを比較すると、一般的に、Braveの方が高速となります。
これは、GeckoとBlinkの性能の違いと、Brevaが広告ブロックを内蔵しているのに対し、LibreWolfは拡張機能として搭載しているので、その処理の分遅くなるためのようです。
まとめ
匿名性を最大限に高めるのであれば、Tor Browserを使用するべきですが、とても遅く、正常に表示できないサイトも多いので、使う場面が限られます。
日常使いとしては、LibreWolfかBraveかということになり、プライバシー保護という観点ではLibreWolfの方が多少上回ります。
LibreWolfはスマホに対応していないので、iPhoneやAndroidで使用するならば、Braveということになります。
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LibreWolfの使い方
LibreWolfを使う上でのヒントと、使ってみた感想をご紹介します。
ダウンロード
LibreWolfは公式サイトからダウンロードできます。
Windowsは、「インストーラー版」「ポータブル版」「Microsoft Store版」から選ぶことができます。
インストーラー版には自動アップデート機能があるため推奨されています。
ポータブル版は、インストールの必要がなく、ダウンロードしたZIPファイルを展開するだけで使用できます。インストールする権限がない場合はこちらを選びましょう。
Microsoft Store版は、テスト的に配布しているとのことです。
日本語化
初期設定では、英語表記になっていると思います。
「General」-「Language」から表記を日本語に変更することができます。
ただし、匿名性を考えるならば、Englishのまま使用することが推奨されています。
検索エンジン
初期設定では、検索エンジンは「DuckDuckGo」になっています。
以下から選ぶことができます。
- DuckDuckGo:Bingをベースにしつつ、プライバシーを保護
- DuckDuckGo Lite:低帯域や古いデバイスでも使用できる軽量バージョン
- MetaGer:ドイツ発祥のメタ検索エンジン
- Mojeek:独自のクローラーを持ち、プライバシーを重視
- SearXNG - searx.be:オープンソースのメタ検索エンジン
- StartPage:Googleをベースにしつつ、プライバシーを保護
その他、言語設定に応じて、Wikipediaやヤフオクなどが入ってきます。
それuBlock Originの問題かも
実際に使用していたところ、ページを正常に表示できないことが度々あったのですが、LibreWolfというより、uBlock Originの問題であることが多いようです。
一時的に無効にしたり、別の広告ブロッカーを使用することで、回避することができます。
使ってみた感想
私は普段、Chromeをメインに、目的に応じて様々なブラウザを使い分けています。
LibreWolfは、その中の一つには加わるけれども、メインになることはないかなというところです。
使い勝手はFirefoxと同じなので、特に言うことはないですが、uBlock Originの方にクセがあるように感じました。
プライバシー保護を第一に考えるのであれば、Tor Browserを使います。
Firefox系の拡張機能が必要となりつつ、Tor Browserで正常に表示できない場合、という限定された状況での使用になりそうです。