タグVLANとは何? VPNとの違いは?

VPNの知識

タグVLANとは何? VPNとの違いは?

2024年6月11日

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VPNと同じような仮想化の技術として、VLANがあります。またVLANの中にも、タグVLAN、ポートベースVLANなど、多数の方式があります。この記事では、VLANの概要と、方式の違い、他の仮想化ネットワーク技術との違いを、目的や機能の違いを明確にしながら、わかりやすく解説します。

ポイント

  • VLANの概要と目的
  • 様々なVLAN方式
  • タグVLANのメリット
  • VLAN、VPN、MPLS、サブネット、VXLANとの比較

タグVLANとは

VLANの概要と、方式の違いについて、わかりやすく解説します。

タグ

VLANとは

「VLAN(Virtual Local Area Network)」とは、物理的に接続されたネットワーク構成とは別に、論理的なネットワーク構成を作成する技術です。

VLANは、OSI参照モデルの第2層・データリンク層で動作し、一般的にレイヤ2スイッチによって構築されます。

通常のLANであれば、ネットワークを分割しようと思ったら、物理的に異なるスイッチに接続する必要があります。

VLAN機能を持つスイッチであれば、同じスイッチに接続されていたとしても、ソフトウェアの制御で、仮想的に分割することができます。

逆に、異なるスイッチに接続されている機器を、一つにまとめることもできます。

VLANのメリット・目的

VLANがなぜ必要となるのか、その目的とメリットについて解説します。

機器の台数が少なくて済む

通常であれば多数のネットワーク機器が必要となるところ、VLAN機能を持つ機器であれば、少数で済ますことができます。

単純な初期費用だけでなく、管理コストも軽減できます。

再配線しなくてよい

VLANがなければ、組織に変更があった場合、ネットワークの配線もやり直す必要があります。

VLAN機能があれば、機器の設定を変更するだけで済みます。

移動できる

逆に、ユーザーが移動する場合も、接続する箇所に依らず同じ設定で利用することができます。

拡張が容易

ネットワークを拡張する際も、物理的な制約を考慮する必要がないので、より柔軟に対応することができます。

トラブルシューティングが容易

VLANがあれば、ネットワークに何か問題が発生した際に、原因を特定するのが容易になります。

また、パケットキャプチャも容易にできます。

セキュリティを強化

物理的な分割では難しかった柔軟な組織管理が実現できるため、適切な部門ごとに通信を分離し、セキュリティを強化できます。

ブロードキャストを最小化

レイヤー2のネットワークでは、ARPやDHCPによって、ブロードキャストというグループ(ドメイン)全体通信が行なわれています。

ドメインを細かく分割することで、ブロードキャスト通信の影響を抑え、ネットワーク全体の効率を向上させることができます。

帯域保証

電話やビデオ通話システムなどに、優先的に帯域を割り当てることで、QoS管理をすることができます。

VLANの方式の違い

VLANには様々な方式があります。下記は、その代表的なものです。

ポート

「ポート」とは、ケーブルの差込口のことです。

「1~5番をAグループ」「6~10番をBグループ」など、比較的簡単で分かりやすい設定ができるため、広く使われています。

タグ

イーサネットフレーム(通信データのまとまり)に、VLANタグを追加することで、管理を行う方式です。

一つのポートに複数のタグを割り当てたり、複数の機器をまたいだ設定ができることが特徴です。

MACアドレス

スイッチ配下の機器のMACアドレスに基づいてVLANを割り当てる方式です。

機器を接続する場所が変わる場合に便利です。

プロトコル

プロトコル(通信方式)に基づいてVLANを割り当てる方式です。

IPv4、IPv6、AppleTalkなどの異なるプロトコルが混在している環境で用いられます。

サブネット

IPアドレスのサブネットに基づいてVLANを割り当てる方式です。

IPアドレスベースの、一貫した組織管理ができます。

ユーザー

認証サーバーと連携し、ログインユーザーごとにVLANを割り当てる方式です。

アカウントベースの組織管理ができます。

タグVLANがよく使われる理由

一般的にVLANと言った場合、タグVLANを指すことが多いです。

タグVLANがよく使われる理由をご説明します。

柔軟な設計が可能

タグベースのVLANでは、一つの物理ポートに、複数の論理ネットワークを割り当てるなど、柔軟なネットワーク設計をすることができます。

また他の方式に比べると、設定が簡単になっています。

高い互換性

タグVLANは、「IEEE 802.1Q」によって標準化されています。

特定のメーカーに依存せず、レイヤー2スイッチ以外のルーターやファイアウォールも標準でサポートしていることが多いため、高い運用性が確保されています。

QoS管理も容易

IEEE 802.1Qでは、優先度の設定についても定義されているため、QoS管理も簡単にできるようになっています。

VLANの方式を混在することは可能?

タグVLANとポートVLANなど、異なるVLANの方式を混在させることは可能です。

しかし管理が複雑になる上に、ブロードキャスト通信が想定外の動きをするなど、トラブルも多いので、十分な計画と検証が必要となります。

タグVLANと他の仮想化技術の違い

VLAN、インターネットVPN、MPLS(IP-VPN)、サブネット、VXLANの、目的と機能の違いについて解説します。

複雑な配線

VPNとの違い

「VPN(Virtual Private Network)」は、インターネットなどの公衆回線網に、暗号化やトンネリングの技術を用いて、仮想的な専用回線を構築する技術です。

VPNの基本的な目的は、企業の拠点間通信や、自宅などからのリモートアクセス通信を安全に保つことです。また、IPアドレスを隠すことで、プライバシーを保護したり、地理的な制限を回避したりすることにも使われます。

VLANは、企業内の効率的なネットワーク管理を目的としているところが異なります。

MPLSとの違い

「MPLS(Multiprotocol Label Switching)」は、ラベルを追加することで、通信経路を制御する技術です。「IP-VPN」とも言われます。

タグVLANと似ていますが、その規模が異なります。

MPLSは、ISPなどのネットワーク会社が、自社のネットワーク設備を利用して構築する、大規模なものです。

VLANは、企業内のネットワークなど、ローカルな範囲を対象としています。

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サブネットとの違い

「サブネット(Subnet)」とは、IPネットワークを論理的に分割する仕組みのことです。これにより、限られた数のIPアドレスを効率的に運用することができます。

サブネットとVLANは、動作するレイヤーが異なります。

サブネットは、OSI参照モデルの第3層・ネットワーク層で機能し、主にルーターによって管理されます。

VLANは、第2層・データリンク層で機能し、主にL2スイッチによって管理されます。

VXLANとの違い

「VXLAN(Virtual Extensible LAN)」は、OSI参照モデルの第3層・ネットワーク層と、第4層・トランスポート層で機能する、仮想的なネットワークのことです。

主に、クラウドサーバー上のネットワーク構築に用いられます。

VLANは、第2層の物理的なネットワークを、仮想的に分割することを目的としています。

VXLANは、第3層と第4層上に、仮想的な第2層を構築することを目的としています。

まとめ タグVLANとは

ポイント

  • VLANは、物理的なネットワークを、仮想的に分割・管理する技術
  • VLANは、OSI参照モデルの第2層・データリンク層で機能する
  • VLANは、主にL2スイッチによって管理されるが、ルーターやファイアウォールなどがその機能を持っていることもある
  • VLANには、次のような方式があり、タグVLANが最もよく使われる
    • ポート
    • タグ
    • MACアドレス
    • プロトコル
    • サブネット
    • ユーザー
  • タグVLANは、イーサネットフレームにVLANタグを追加することで、柔軟な管理を可能とする

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