VPNアプリなど不要、接続情報だけあればいいという方は、VPN Jantitがいいのかもしれません。ただし安全性は不明です。この記事では、VPN Jantitの特徴と懸念点について、解説しています。
独特すぎるVPN Jantit
VPN Jantitの特徴と、利用の流れをご紹介します。
VPN Jantitとは
「VPN Jantit」とは、インドネシアを拠点とするVPNサービスです。
今まで調査してきた他のどのVPNサービスとも異なります。あまりにも異質なので驚きました。
もしかしたら、インドネシアでは普通なのかも知れませんが、正直よく分かりません。
「Jantit」とは、インドネシア語で「上手く切り抜ける」という意味のようです。
VPNアプリがない
まず一番困惑したのが、VPN JantitはVPNアプリを提供していないということです。
用意しているのは、サーバーとアカウント生成機能だけです。
生成されたアカウントを使って、どのようにサーバーに接続するかは、ユーザーに任せられています。
サポートはありません。マニュアルもありません。
利用規約にはこのように書かれています。
なかなかのハードコアです。チュートリアルをクリックすると、Googleの検索ページに飛ばされたりします。
最初にプロトコルを選ぶ
多くの商用VPNサービスは、以下のような流れとなっています。
- アカウント作成
- アプリのインストール
- サーバーを選んで接続
- オプションでプロトコルを変更
VPN Jantitの流れは、以下のようになっています
- プロトコル選択
- サーバー選択
- アカウント作成
- サードパーティ製アプリを使って接続
VPN Jantitで用意されているプロトコルは、以下の通りです。厳密にはVPNではないものも含まれています。
- V2Ray / VLESS
- V2Ray / VMess
- IKEv2 / MS-CHAPv2
- WireGuard
- L2TP SoftEther
- PPTP
- OpevVPN
- SSH Tunnel
アカウントは期限付き
VPN Jantitのサーバーに接続するためのアカウントには、期限が定められています。
無料プランで最長7日、有料プランで最長360日です。
最長7日というのは、アカウント登録から7日間使用できるということではなく、7日に1回自動リセットされるので、そのタイミングまで使用できるということです。
リセットされたら、再度アカウント作成しなおせば使えます。
無料プランと有料プランの違いは、再作成の手間がかかるかどうかだけです。速度制限も、通信容量制限もありません。
また有料プランは、30日で1ドルという格安料金となっています。
VPN Jantitの使い方
VPN Jantitを使う流れをご説明します。
公式サイトにアクセスし、プロトコルを選択します。
ここではOpenVPNとしています。(ただの例であり、深い意味はありません)
接続する国を選択します。
今回はフランスとしました。
フランスで利用できるサーバーが複数表示されます。
サーバーごとに、残り日数が異なるのが分かります。最長7日です。切れたら再作成すればいいだけです。
「Create Username OpenVPN」をクリックします。
ユーザー名とパスワードを入力し、「Create Username OpenVPN」をクリックします。
接続情報が生成されました。
後は、コンフィグファイルをダウンロードするなりして、サードパーティ製アプリで接続します。
VPN Jantitは安全か?
VPN Jantitが安全かどうかは正直分かりませんが、利用する上での懸念点をご紹介します。
運営会社が謎
VPN Jantitは、拠点がインドネシアにあるということ以外、ほとんど不明です。
2016年から運営しているということと、182台のサーバーを運用しているということから、それなりにやってきてはいるのでしょうが、信頼性には疑問があります。
第三者機関による監査もありません。
また、サポート窓口がWhatsAppかFacebookということからも、個人運営に近いのではないかと思います。
ビジネスモデルが謎
VPN Jantitの公式サイトには、企業サイトとは思えないほどの多くの広告が表示されていて、広告ブロックを入れないとまともに閲覧できない状態です。
しかし広告だけで、速度無制限のVPNサーバーを維持できるとは思えません。
有料プランも月1ドルということで、他社に比べて安すぎます。
いったいどうやって儲けているのでしょうか。
妙に正直
裏でデータを販売しているのではないかという懸念はありますが、その割には妙に正直なところがあります。
FAQにはこんな感じのことが書かれています。
騙す気なのであれば、もっと「当社は安全です!」みたいなノリで書いたり、分かりやすいアプリを用意したりするのではないかと思います。
何が狙いなのかよく分かりません。
インドネシアのVPN規制
インドネシアでは、VPNを使用して海外のオンラインカジノにアクセスすることが社会問題となっており、VPN規制が進んでいます。
また、政治的な内容より、宗教的な内容が検閲される傾向にあります。
そういう中で、ユーザーのアクセスデータがどのように扱われているのかというのは、不透明なところがあります。
インドネシアが無料VPNへのアクセスをブロック予定
2024/9/3 インドネシア
インドネシアではオンラインギャンブルが社会問題となっており、政府はギャンブルサイトへのアクセスをブロックしていますが、VPNを利用して回避するユーザーが後をたたないため、VPN規制をする予定です。 イ ...
VPN Jantitは使える?
セキュリティや匿名性を重視するユーザーにはおすすめしません。
閲覧サイトが漏れてもよく、地域情報を変更したいだけという場合には使えるかも知れない、という感じでしょうか。