2024年現在、最高のセキュリティを持つメッセージアプリはSignalと言われていますが、実はそれよりも高いのがSessionです。この記事では、Sessionの仕組みと、TelegramやSignalとの比較、使用上の注意点について、わかりやすく解説しています。
Sessionアプリの特徴
Sessionアプリの機能と、Telegram、Signalとの違いを解説します。
Sessionとは
「Session」とは、プライバシーを重視した完全無料のメッセージアプリで、DM、グループチャット、音声通話の機能を持っています。
プライバシー重視のメッセージアプリは他にもありますが、Sessionの特徴は、アカウント作成時から匿名性を重視しているという点です。使用するのに、電話番号もメールアドレスも必要ありません。
エンドツーエンドで暗号化される他、分散型のOxenネットワークを使用して、複数のノードを経由することで匿名性を守っています。
Telegram、Signalとの比較
匿名性の高いメッセージアプリとしてTelegram、Signalが知られています。
それぞれの特徴を表にまとめると、以下のようになります。
項目 | Telegram | Signal | Session |
---|---|---|---|
匿名性 | △ | ○ | ◎ |
検閲耐性 | △ | ○ | ◎ |
暗号化 | クライアント・サーバー間 シークレットチャットはエンドツーエンド | エンドツーエンド | エンドツーエンド |
オープンソース | クライアントのみ | 全て | 全て |
管理 | 中央集権 | 中央集権 | 分散 |
ユーザー登録 | 電話番号 | 電話番号 | 匿名 |
データ収集 | 一部のメタデータ | 最小限のメタデータ | 最小限のメタデータ |
データ保存 | クラウド | クライアント | 分散ネットワーク |
ユーザー数 | 9億 | 5,000万 | 100万 |
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暗号化
Telegramの通信は、ユーザーとサーバー間で暗号化され、サーバー上で一度復号化されます。
SignalとSessinはユーザー間で暗号化され、サーバー管理者でもその内容を把握できません。
なおTelegramでも、シークレットチャットはユーザー間で暗号化されます。
オープンソース
Telegramはクライアントのソースコードは公開されていますが、サーバーは非公開です。
SignalとSessionは、サーバーも含めて全て公開されています。
管理
TelegramとSignalは、中央のサーバーで集中管理されていますが、Sessionは複数のサーバーで分散管理されています。
そのため、障害耐性や検閲耐性も高くなっています。
登録
TelegramやSignalは、登録するのに電話番号が必要となり、強力な本人確認手段となっています。
Sessionは電話番号も不要で、完全な匿名で利用することができます。
データ保存
Telegramのデータはクラウド上に保存されます。
Signalはアプリ内に保存されます。
Sessionは分散サーバー上に保存されます。
ユーザー数
日本ではTelegramは特殊な用途に使われているというイメージがありますが、推定ユーザー数は7~9億人と言われており、LINEよりはるかに普及しています。
Signalは5,000万人ほどと言われており、特に厳しいセキュリティを求めるユーザーに好んで使用されています。
Sessionは、まだ100万人に留まっています。
Connecting one million users(Session)
安全性が一番高いのは?
Sessionが一番高いと言えます。
特に、登録に電話番号が必要ない点と、通信が多段ノードを経由している点が大きいです。
Oxenとは
「Oxen」とは、匿名性を重視した分散ネットワークのことです。
特徴
Oxenは、世界中のボランティアが設置している、「サービスノード」によって運営されています。
Torと同じ様に、3つのサービスノードを経由するオニオンルーティングによって、第三者による追跡を困難にしています。
中央管理サーバーを持たないことで、単一障害点を排除し、検閲耐性を高めています。
また、オープンソースで開発することで、セキュリティと透明性を高めています。
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Oxenトークン
「Oxenトークン」は、Oxenプロジェクト独自の暗号通貨です。
サービスノードの運営者に報酬として支払われています。
Lokinet
「Lokinet」は、Oxenネットワーク上で動作する、分散VPNのようなものです。
ユーザーは、匿名性を保ちながら、インターネット接続できます。
Session
「Session」は、Oxenネットワーク上で動作する、メッセージアプリです。
エンドツーエンドで暗号化されるので、メッセージの内容は送信者と受信者だけが知ることができ、オニオンルーティングにって送受信者を特定することを困難にしています。
Sessionアプリの使い方
Sessionアプリを使う上で、分かりにくかった点を解説します。
インストール
Sessionアプリのインストール方法をご案内します。
Windows、iOS、Androidで試しましたが、ほぼ同じです。下記の画面はiPadのものです。
アプリをダウンロードして、インストールします。
- App Store(iPhone、iPad)
- Play Store(Android)
- 公式サイト(Windows、macOS、Linux)
「Create account」をタップします。
「表示名」を入力し、「続行する」をタップします。
「高速モード」か「低速モード」を選択します。
「続行する」をタップします。
以上で完了です。
メールアドレスも、電話番号も必要ありません。
デバイスとIDが紐づけられるということもありません。
やり直せば、毎回違うIDとなります。
日本語化
Sessionアプリは、最初からある程度日本語化されています。
逆に、言語設定はありません。
デバイスの言語設定と連携しているようです。
友達を追加
最初、友達を追加する方法が分からず、苦労しました。
友達を追加するには、画面下の「+」ボタンをタップします。
「新着メッセージ」をタップします。
相手のIDを入力するか、QRコードをスキャンします。
自分のIDは上記の「友達を招待」で確認できます。
これだけではまだ追加されず、何かしらメッセージを送信する必要があります。
ちなみに画像では、「送信中」ではなく「送金中」となっているのですが、暗号通貨を扱っている関係の誤訳と思われます。
相手の画面には、承認リクエストが届いています。
相手が承認をすると、友達として登録されます。
以後、普通にやり取りができるようになります。
メッセージの自動削除
メッセージの自動削除は、通信相手ごとに設定します。
通信相手のアイコンをタップします。
「消えるメッセージ」をタップします。
消えるまでの時間を選択し、忘れずに画面下の「セット」をタップします。(私は忘れました)
Oxenネットワーク
これも最初分からなかったのですが、「パス」のところがオレンジの場合は、Oxenネットワークに接続できておらず、メッセージの送受信ができない状態です。
接続されるとグリーンになります。
タップすると、3ノードを経由する、オニオンルーティングが確認できます。
経由するノードは、アプリを起動する度に変わるようです。
iOSだけ動作が不安定
上記のOxenネットワークに接続できない状態は、iOSだけで発生しました。
iOSのWi-Fiをオフ/オンをしていたら、Oxenネットワークにも接続されましたが、それでもメッセージの送受信がされない状態でした。
WindowsやAndroidでは問題なく接続できており、送受信のタイムラグもほとんどありません。
VPN経由なら接続できた
そこでiOSをVPN接続したところ、すぐにOxenネットワークに接続され、メッセージも送受信されるようになりました。
これがたまたまなのか、iOSの何かしらの問題なのかはよく分かりません。
Androidはスクリーンショットが禁止されている
Androidアプリでは、スクリーンショットが禁止されています。
正確に言うと、スクリーンショットが禁止されているのではなく、スクリーンショットをしても真っ黒になります。
これは元々、パスワード欄などの一部の範囲をスクリーンショットから隠す機能ですが、その範囲を全画面に広げている状態です。
iOSとWindowsでは禁止されておらず、普通にスクリーンショットできました。
また、AndroidとiOSでは、スクリーンショットを撮ると相手に通知がいきます。
ただ、回避する方法はいくらでもあるので、気休めくらいの機能と言えるでしょう。
使ってみた感想
Sessionを使ってみた感想としては、まだ若干動作に不安があるなぁという印象です。
リアルタイム性は重視されていないようなので、チャットには向いていないと思われます。相手に届いているのかどうかが分かりません。
また個人的には、そこまで匿名性が必要な用途がありません。
インターネット上で一時的なプロジェクト立ち上げて、知らない人同士で集まるならいいかもしれないくらいでしょうか。
でもそれだと、いわゆる「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と同じなんですよね。
現在、テレグラムの創設者が逮捕されるという事態が起きており、その状況次第ではSignalやSessionにユーザーが流れる可能性があります。
Sessionは、Signalよりセキュリティが高いということなのですが、まだ実用性で追いついていないという感じです。
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