セキュリティのためにはVPNを利用した方がいいと聞いたけれども、そもそもどうしたらいいのかまったく分からないという方向けに、VPNとは何か、Chromeで利用するにはどのような方法があるかを、簡単に分かりやすく解説いたします。
ChromeでVPNを利用する方法
VPNを設定する一般的な方法と、Chromeでの使用に限定した方法について、解説します。
VPNとは
「VPN」とは「Virtual Private Network」の略で、日本語では「仮想専用回線」と言います。
簡単に言うと、通信を暗号化することで、セキュリティを高める技術のことです。
副次的に、IPアドレスというインターネット上の地域情報が上書きされるので、動画サイトなどの地域制限を回避する用途にも使用できます。
VPNを使用するには
VPNを使用するには、VPNサーバーに接続する必要があります。
つまり、Chromeに拡張機能を追加すれば、ChromeだけでVPNが使えるようになるということではないということです。
拡張機能が行っているのは、VPNサーバーに接続することです。
VPNサーバーは、一部無料のものもありますが、基本的には有料サービスとして提供されています。
VPNを利用するには、どこかのVPNサービス事業者と契約をする必要があります。
VPNサーバーに接続する方法
スマホやPCのChromeでVPNを利用しようと思った場合、次のような方法があります。
OS標準機能
iOS、Android、Windows、Macなどの各OSには、標準でVPN接続機能がついています。
設定欄に、VPNサーバーのアドレス、ID、パスワードなどを入力すれば、VPN接続できます。
VPNアプリ
VPNサービス事業者は、自社のVPNサーバーに接続するためのアプリを提供しています。
これらのアプリを使用すれば、ワンクリックで簡単にVPN接続することができます。
また、接続する国を変更するなど、様々な管理操作も可能です。
自社のVPNサーバーではなく、無料公開されているVPNサーバーへの接続を一括管理するタイプのアプリもあります。
Chrome拡張機能
VPNサービス事業者は、アプリの他に、Chromeの拡張機能を提供していることもあります。
この拡張機能を有効にすれば、Chrome上で簡単にVPN接続することができるようになります。
Chromeに似たVPN内蔵ブラウザ
最近のブラウザは、Chromeを含めて「Chromium(クロミウム)」というオープンソースのコードをベースに開発されていることが多いです。
そのため、基本的な機能が似ており、Chromeと同じような操作感で使用できます。
中には、VPN機能を最初から登載しているブラウザもあります。
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まとめ
まとめると、以下のようになります。
設定箇所 | 保護範囲 | 設定の難易度 |
---|---|---|
OS標準機能 | PCやスマホの通信全体 | 中 |
VPNアプリ | PCやスマホの通信全体 | 低 |
Chrome拡張機能 | ブラウザの通信のみ | 低 |
VPN内蔵ブラウザ | ブラウザの通信のみ | 低 |
VPN対応ルーター | ルーターに接続された機器の通信全て | 高 |
おすすめは、設定が簡単で、端末の通信が全て保護される、VPNアプリによる管理です。
Chrome拡張機能でのVPN接続がおすすめできない理由
普段からChromeの拡張機能を活用している方は、反射的にChromeウェブストアで「VPN」と検索してしまうかもしれません。
しかしVPNを利用するならば、拡張機能で管理することはおすすめできません。
その理由をご説明します。
サービスの比較がしにくい
VPNは無料のものもありますが、基本的には有料サービスとして提供されています。
一般的に、VPNを導入しようとする場合、次のような順番となるでしょう。
- VPNサービス事業者のプランを比較する
- VPNサービス事業者と契約する
- VPNサービス事業者が提供する、アプリや拡張機能をインストールする
これが、「VPNを利用するには拡張機能を使えばいいんだ!」という意識しかないと、次のようになりがちです。
- Chromeウェブストアで、なんとなくVPN拡張機能をインストールする
- (知らないうちに)VPNサービス事業者と契約する
料金や機能の比較をすることなく、知らないうちに課金してしまったということになりかねません。
中には詐欺っぽい拡張機能もありますので、注意が必要です。
ブラウザの通信しか保護されない
VPNは基本的に、そのスマホやPC全体の通信を暗号化し、保護するものです。
Chromeだけでなく、LINEもInstagramもまとめて保護されます。
それがChromeの拡張機能でVPN接続する場合は、Chromeの通信だけが保護されることになります。
これは、あまり意味があることではありません。
VPN接続状態が曖昧
Chromeの通信しか保護されないということは、アプリを切り替える度に、今VPN接続しているのか、されていないのかをいちいち考えないといけないことになります。
また、アプリを切り替える際にVPN接続が切れることも多いので、VPN接続されていると思っていたのに、されていなかったという状況も発生しがちです。
Chrome拡張機能のVPN接続が有効な場面
VPNを使用するならば、VPNアプリでの管理が簡単ですが、ブラウザの拡張機能で管理することが向いている場合もあります。
アプリのインストール権限がない
VPNアプリをインストールする権限がないが、拡張機能はインストールできる場合、VPNを利用するために有効な手段となります。
ChromeだけでVPNを使用したい
端末の通信全体ではなく、あえてChromeだけでVPNを利用したい場合、拡張機能で管理することは有効です。
仕事で限定的に使用するだけとか、ゲームアプリはVPN接続したくない、などの状況が考えられます。
Chromeで利用できるおすすめのVPNサービス
VPNアプリ、またはChromeの拡張機能で管理できるVPNサービスの中から、おすすめのものを無料・有料に分けてご紹介します。
無料ならTunnelBear VPN
「TunnelBear VPN」は、カナダを拠点とするVPN会社で、現在は有名なコンピューターセキュリティ会社であるMcAfee社の配下にあります。
基本的には有料サービスですが、無料プランでもそこそこ使えます。
一般的に無料のVPNサービスは、接続する国を選ぶことができないことが多いのですが、TunnelBearは40ヶ国以上の中から選択できるようになっています。
無料プランは月2GBまでなので、動画の閲覧などには向いていませんが、持っていると何かと便利です。
iPhone、iPad、Android、Windows、Macでアプリが使用できる他、Chrome、Firefox、Edgeの拡張機能も提供されています。
有料ならNordVPN
VPNを安定して利用するならば、有料プランに加入することは必須となります。
おすすめは、業界最高速かつ高機能な「NordVPN」です。
VPNに接続すると、どうしても通信速度が遅くなるのですが、NordVPNは世界111ヶ国に設置された6,300台以上のサーバーによって、高速通信を可能としています。
料金は、1年プランで「690円/月」、2年プランで「550円/月」から利用できます。
30日間の返金保証があるため、自分の環境に合わなかった、などの心配もありません。
iPhone、iPad、Android、Windows、Mac、Linuxでアプリが使用できる他、Chrome、Firefox、Edgeの拡張機能も提供されています。