画像生成AIでは、WebUI(Automatic1111)に代わり、ComfyUIが必要となる場面が増えてきました。しかし切り替えて使用することも多いため、複数のUIツールを管理できるStability Matrixがあると便利です。この記事では、Windowwsのローカル環境に、Stability MatrixとComfyUIをインストールし、基本的な画像生成と動画生成をする方法をご紹介します。
ComfyUIとStability Matrixとは
ComfyUIの概要とメリット、導入方法の違い、Stability Matrixを使用すべき理由について解説します。
ComfyUIとは
「ComfyUI」とは、Stable Diffusionのような画像・動画生成AIを、視覚上分かりやすく操作できるインターフェースです。
「ノード」を線でつないで「ワークフロー」を構築するという、ノーコードプログラミングの一種と言えます。
オープンソースで開発されており、無料で利用できます。
WebUIとComfyUIの違い
画像生成AIでは、インターフェースとして「WebUI(Automatic1111)」がよく使われています。
-
ダブルクリックするだけ!Stable Diffusion WebUIをWindowsにインストールする方法
2025/3/7 Stable Diffusion, 画像生成
画像生成AIのStable Diffusionを実行する環境を構築するためには、専門知識が必要となると思われるかもしれませんが、実際にはファイルをダブルクリックするだけで完了します。この記事では、Py ...
Automatic1111では、画面ごとにパラメーターを設定していくという作業が基本となりますが、複雑なことをしようとすると、管理が大変になるという問題があります。
ComfyUIでは、それを見た目上分かりやすくすることができます。
注意が必要なのは、見た目が分かりやすいというだけであり、簡単に使えるということではありません。
むしろ、複雑な管理が必要となるくらい使い込んでいるヘビーユーザー向けと言えます。
とりあえず簡単に画像生成AIを試したいということであれば、Fooocusをおすすめします。
-
面倒な設定必要なし!誰でも簡単にAI画像生成できるFooocusの使い方
2025/3/9 Stable Diffusion, 画像生成
Fooocusは、難しいインストール作業や設定作業が必要なく、簡単にローカル環境で画像生成AIを使用できるツールです。最初から高品質な画像が生成され、がっかりすることがないので、初めての方にこそ向いて ...
ComfyUIのメリット
ComfyUIを使用する目的をご紹介します。
直感的な操作
ComfyUIは、処理の流れを一目で把握することができます。
カスタマイズも簡単です。
多様なモデルに対応
Stable Diffusionだけでなく、Fluxなど他の画像生成モデルや、動画・音声のモデルにも対応しています。
最新モデルに対応
最新のAIモデルは、Automatic1111ではなく、ComfyUIにしか対応していないことが増えています。
いち早く最新モデルを試してみたい方には必須のツールと言えます。
ただし、高スペックPCが必要となることが多いです。
コミュニティサポート
他のユーザーが作成したモデルや拡張機能(カスタムノード)を利用したり、自ら作成したものを公開したりすることができます。
ComfyUIの4つの導入方法
Windowsのローカル環境にComfyUIをインストールする場合、主に以下の4つの方法があり、それぞれ一長一短です。
手動インストール
PythonとGitを使って、手動で環境構築します。
エンジニア向けです。
公式のインストーラー(ベータ版)
NVIDIAのGPUを使用しているならば、公式がインストーラーを用意しています。
ただし、先にGitのインストールが必要となります。
実際に試してみましたが、ベータ版ということもあり、対応が中途半端という印象がありました。
バージョン0.4.28現在ではおすすめしません。
ポータブル版のダウンロード
ポータブル版であれば、ファイルをダウンロードして展開するだけです。
現状では、これが一番簡単な方法だと思います。
アンインストールも、展開したフォルダを削除するだけです。
しかし、拡張機能(カスタムノード)を追加しようとすると、結局Gitでコマンドを実行する必要があるなど、行き詰まる感じがありました。
お試しとしてはいいと思います。
Stability Matrix
「Stability Matrix」は、「Automatic1111」「Forge」「Fooocus」「ComfyUI」など、複数のAIインターフェースをまとめて管理できるツールです。
最大のメリットは、モデルデータを簡単に共有できるので、容量の節約になることです。
いろいろと試してみましたが、現状では複数のツールが必要となることが多いので、これが一番便利なのではないかと思いました。
ただし、最新機能への対応が遅れるなど、デメリットもあります。
以下では、Stability Matrixの上に、ComfyUIをインストールする方法をご紹介います。
Stability MatrixとComfyUIの使い方
Stability MatrixとCOmfyUIのインストール方法、テンプレートを使った画像生成、動画生成の流れについてご紹介します。
インストール
Windowsローカルに、Stability Matrixを使ってComfyUIをインストールする方法をご紹介します。
GitHubのStability Matrixのページを開き、zipファイルを保存します。
中身はexeファイルが1つあるだけです。
それを、インストールしたいフォルダに展開します。
50GB以上の空き容量があるとよいでしょう。
「StabilityMatrix.exe」をダブルクリックして実行します。
データフォルダを選択する画面となりますが、「Portableモード」にチェックを入れることをおすすめします。
これで全てのデータが、実行したフォルダ内にまとまります。
「続ける」をクリックします。
システム情報を送信するかの確認画面となります。
「Don't Share Analytics」でいいと思います。
UIを選択する画面となります。
「ComfyUI」をクリックします。
おすすめモデルが紹介されますが、とりあえず無視で大丈夫です。
「ダウンロード」をクリックします。
インストールが開始されますので、しばらく待ちます。
インストールが完了しました。
「Launch」をクリックします。
ブラウザが自動で起動してこないので、「Web UIを開く」が表示されたらクリックします。
ブラウザで「http://127.0.0.1:8188」が開き、このような画面となれば完了です。
アンインストール
Portableモードでインストールした場合、アンインストールは展開したフォルダを丸ごと削除するだけです。
画像生成
ComfyUIでは、処理の流れを指示するワークフローを作成する必要がありますが、最初はテンプレートを活用するとよいでしょう。
左上の「ワークフロー」から「テンプレートを参照」をクリックします。
たくさんのテンプレートが用意されています。
とりあえず「Basics」の中の「画像生成」を選択してみます。
必要なモデルが見つからないという警告が表示されました。
「ダウンロード」をクリックします。
モデルの有無をチェックしているだけであり、自動ダウンロード機能ではありません。
ファイルの保存場所は自分で選択する必要があります。
ここで、ComfyUI単体であれば「ComfyUI\models\checkpoints」となりますが、今回はStability Matrixを使っているので、共有フォルダの「Data\Models\StableDiffusion」に保存するようにします。
ワークフローを確認します。
一見ややこしいですが、やっていることはAutomatic1111と同じです。
処理は左から右に流れます。
「モデル」「プロンプト」「画像サイズ」「サンプラー」「VAE」「ファイル形式」などを設定し、「実行」をクリックします。
ここではサンプルプロンプトをそのまま実行してみました。
以下のような画像が生成されました。
生成時間は8秒でした。
Flux
ComfyUIは、Stable Diffusion以外のモデルにも対応しています。
ここでは、Stable Diffusionから独立したチームが開発した、最新の画像生成AIモデル「Flux」を試してみます。
テンプレート画面で「Flux Dev」を選択します。
ワークフローが表示されました。
だいたい同じですが、Fluxにはネガティブプロンプトが必要ありません。
サンプルプロンプトとして、「フェネック耳で、ふわふわ尻尾で、メイド服着て~」みたいなことが書かれていたので、そのまま実行してみたところ、以下のようになりました。
私のPC環境では生成に約30分かかったので、Fluxを実行するには、かなり無理があります。
快適に実行するには、高性能なPCが必要となります。
動画生成
画像だけでなく、動画を生成することもできます。
テンプレートで「LTXV画像からビデオへ」を選択します。
ここでComfyUIの「text_encoders」に保存すべきモデルを、Stability Matrix側のどこに置くべきか分からなかったのですが、とりあえず「CLIP」にしたところ動きました。
先ほどFluxで作成した画像を入力とします。
このモデルは長文プロンプトが必要ということなので、画像生成した時のサンプルプロンプトをそのままコピペしてみました。
あとはサイズを合わせて実行します。
以下のようになりました。(ブラウザによってはアニメーションが再生されないかもしれません)
謎の動画となったので、もっとプロンプトを工夫する必要があるのだと思います。
こちらも生成に約30分かかりました。
拡張機能の追加
ComfyUIの拡張機能(カスタムノード)も、Stability Matrix上からインストールすることができます。
ここでは定番の「ComfyUI-Manager」を例にしてご紹介します。
Stability Matrixのパッケージ画面で「パズルアイコン」をクリックします。
検索欄に「comfyui-manager」と入力します。
「ComfyUI-Manager」にチェックを入れ、「インストール」をクリックします。
Stability Matrixチームは一切関与していないので、注意してくださいという警告が表示されます。
過去に、拡張機能にマルウェアが仕込まれるという事件があったようです。
「続ける」をクリックします。
ComfyUI画面の右上の「Manager」というボタンが表示されました。
ComfyUI Managerが使えるようになりました。
まとめ ComfyUIとStability Matrixの使い方
ComfyUIは、画像生成AIの処理の流れを、ノードベースで視覚的に管理できるインターフェースです。
画像だけでなく、動画や音声も生成できます。
最新モデルにもいち早く対応するなど、画像生成AIの標準ツールになりつつありますが、現状ではAutomatic1111やForge等と併用することも多いです。
そのため、複数のUIを切り替えて使用できるStability Matrixの使用をおすすめします。
インストールも簡単で、モデルを共有できるので、容量の節約になります。
