Googleに依存しない、プライバシー保護を重視したアプリを使いたいと思ったら、まずはF-Droidから探すのが定番です。この記事では、F-Droidの基本的な使い方と、安全性と危険性、おすすめアプリ、おすすめリポジトリについて解説します。
F-Droidとは
- 概要
- 掲載条件
- 安全性
- 危険性
- Google Play vs F-Droid
概要
「F-Droid」は、オープンソースに限定した、Android向けのアプリストアです。
Google Playストアとは完全に独立しており、直接APKファイルを配布しています。
無料で、広告を含まず、プライバシーを重視したアプリが多いです。
英国を拠点とした非営利団体によって運営されています。
掲載条件
F-Droidに掲載されるには、以下のような条件を満たしている必要があります。
申請後、コミュニティのレビューを経て公開されます。
オープンソース
GitHub、GitLab等で、ソースコードが公開されており、誰でも入手できる状態であることが必要です。
自由ソフトウェアライセンス
GPL、Apache、MITなどの、自由ソフトウェアライセンスで公開されている必要があります。
Google等の特定のライブラリに依存していたり、再配布できないライセンスを含む場合は、公式リポジトリには掲載されません。
下記でご紹介する、サードパーティリポジトリには掲載される場合があります。
自動ビルド
ソースコードから、APKを自動生成できる必要があります。
特殊なビルド環境や、依存関係を必要とするアプリは掲載されません。
法律遵守
著作権、商標、ライセンス等に抵触するアプリは、公式リポジトリには掲載されません。
サードパーティリポジトリには掲載されている場合があります。
安全性
F-Droidに掲載されるアプリは、すべてソースコードが公開されています。
また、自動ビルドシステムにより、改ざんを防止しています。
レビュー内容も公開されており、透明性が高いです。
好ましくない機能(広告、トラッキング、脆弱性)等を含む場合は、ユーザーに注意を促しています。
危険性
オープンソースだから安全とは限りません。
セキュリティ検査にも限界があります。
公式以外のサードパーティリポジトリを追加すると、改ざんされたアプリをインストールしてしまう可能性があります。
また、法的にグレーゾーンのアプリも一部配布されています。
国によっては、明確に禁止されており、大きな問題となることがあります。
Google Play vs F-Droid
一部のアプリは、Google PlayストアとF-Droidの両方で配布されていることがあります。
一般的に、Google Playストア版には広告やトラッキングコードが含まれています。
F-Droid版からはこれらのコードが排除されているので、よりプライバシーを保護することができます。
一方、ライセンスの問題で、F-Droid版は一部の機能が使用できない場合があります。
どちらが良いかは場合によるでしょう。
また、GitHub等で直接APKファイルが配布されていることがあります。
機能的には一番制限が無いバージョンですが、レビューを経ていないので、危険性は一番高いです。
なるべくならば、F-Droid経由の方が良いでしょう。
APKファイルを直接インストールする場合は、下記でご紹介するObtainiumを使用すると、一元管理をすることができます。
F-Droidの使い方
- インストール
- おすすめアプリ 3選
インストール
卵が先かみたいな話ですが、F-Droid本体は、直接APKファイルをダウンロードする必要があります。
「https://f-droid.org/」を開き、「F-DROIDをダウンロード」をタップします。
ダウンロードしたAPKファイルを開き、「インストール」をタップします。
「開く」をタップします。
F-Droidアプリが起動しても、最初は何も表示されていません。
リポジトリの更新が終わるまで、しばらく待ちます。
更新が終わると、このようにアプリが一覧で表示されます。
例として「Aurora Store」をインストールしてみます。
すると、権限の問題でインストールできないと表示されます。
「設定」をタップします。
「不明なアプリのインストール」のチェックをオンにします。
以降は、普通にアプリをインストールできるようになります。
おすすめアプリ 3選
Google Playストアには掲載されていない、F-Droidならではのおすすめアプリとすると膨大になるため、ストア系アプリに限定して3つご紹介します。
Aurora Store
「Aurora Store」は、Google Playストアに掲載されているアプリを、Googleアカウント無しでダウンロードできるストアアプリです。
Google Playストアのサーバーから直接ダウンロードされるので、安全です。
Googleアカウントと紐づかないのと、地域制限を回避できる場合があるという点がメリットです。
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Obtainium
「obtainium」は、APKファイルを直接インストールしたアプリの、一元管理と更新確認ができるツールです。
Neo Store
「Neo Store」は、F-Droidの代替クライアントです。
F-Droid公式アプリより、高速/軽量で、モダンなUIとなっています。
下記でご紹介する「IzzyOnDroid」や「Guardian Project」リポジトリもあらかじめ登録されています。
F-Droidのリポジトリ
- リポジトリとは
- リポジトリの追加方法
- 複数アプリ掲載のリポジトリ 5選
- 単一アプリ掲載のリポジトリ 15選
リポジトリとは
「リポジトリ」とは、アプリを配布するサーバーのことです。
F-Droidでは、公式リポジトリの他に、サードパーティリポジトリを追加することができます。
大きく分けて、公式リポジトリでは配布できないアプリを掲載しているリポジトリと、特定のアプリを配布するための専用リポジトリがあります。
リポジトリの追加方法
「設定」-「リポジトリ」をタップします。
右下の「+」をタップします。
URLを直接入力するか、QRコードをスキャンします。
複数アプリ掲載のリポジトリ 5選
F-Droid公式
- https://f-droid.org/repo
- 掲載アプリ数:3809
- 自由ソフトウェアに限定
IzzyOnDroid
- https://apt.izzysoft.de/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:1309
- 公式の条件を満たさないアプリも掲載
Guardian Project
- https://guardianproject.info/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:16
- OrbotやSignal等、プライバシー/セキュリティを強化するアプリに特化
Kali Nethunter
- https://store.nethunter.com/repo
- 掲載アプリ数:39
- ペネトレーション(侵入テスト)やフォレンジック(端末解析)等、セキュリティ専門家向けのアプリを掲載
KDE Stables
- https://cdn.kde.org/android/stable-releases/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:10
- KDE ProjectのAndroid向けアプリ
単一アプリ掲載のリポジトリ 15選
Bitwarden
- https://mobileapp.bitwarden.com/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:2
- パスワードマネージャー
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Collabora Office
- https://www.collaboraoffice.com/downloads/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:2
- LibreOfficeベースのオフィススイート
Cromite
- https://www.cromite.org/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:2
- Chromeベースのブラウザ
-
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Cryptomator
- https://static.cryptomator.org/android/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:1
- クラウドストレージ上のファイルを暗号化
-
見られて困るファイルをクラウドストレージに置くならCryptomatorを使おう
Google DriveやDropbox等のクラウドストレージは便利ですが、常に検閲されているというリスクもあります。しかしCryptomatorを使えば、事前に暗号化されるので、管理者であっても見る ...
c:geo
- https://fdroid.cgeo.org
- 掲載アプリ数:1
- ジオキャッシング(位置情報を使った宝探しゲーム)クライアント
Fedilab
- https://fdroid.fedilab.app/repo
- 掲載アプリ数:4
- Fediverseクライアント
FUTO
- https://app.futo.org/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:3
- オフラインキーボード
GitJournal
- https://gitjournal.io/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:2
- Gitリポジトリと同期するノートアプリ
microG
- https://microg.org/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:3
- Google Play 開発者サービスの代替実装
Molly
- https://molly.im/fdroid/foss/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:1
- 暗号メッセージアプリSignalの機能拡張
NewPipe
- https://archive.newpipe.net/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:1
- YouTubeクライアント
Pixelfed
- https://fdroid.pixelfed.net/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:1
- 写真共有に特化した分散型SNS
Session
- https://fdroid.getsession.org/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:1
- 分散型メッセージアプリ
-
TelegramやSignalより安全?分散型メッセージアプリSessionとは
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Stack Wallet
- https://fdroid.stackwallet.com
- 掲載アプリ数:3
- 暗号通貨ウォレット
Threema Libre
- https://releases.threema.ch/fdroid/repo
- 掲載アプリ数:1
- メッセージアプリThreemaのオープンソース版
まとめ F-Droidとは
F-Droidは、オープンソースかつ自由ソフトウェアに限定した、Android向けアプリストアです。
Google Playストアに比べ、無料で広告表示がなく、プライバシー保護に配慮したアプリが多く掲載されていることが特徴です。
ただし、ライセンス等の制約により、便利なアプリであっても、公式リポジトリに掲載されないことがあります。
その場合、サードパーティリポジトリを追加することで、インストールが可能となります。
自己責任となるので、セキュリティには注意が必要です。

































