日本のゲーム会社が作った、日本語の、日本人向けゲームなのに、なぜか日本人にだけ販売されていないということがあります。また海外ゲームが、日本でだけ販売されないということもよくあります。それらを「おま国」と言ったりします。この記事では、おま国がなぜ発生するのかと、それを回避する方法について、わかりやすく解説しています。
なぜ日本だけおま国になるの?
おま国とは何か、おま国となる理由について、詳しく解説します。
おま国とは
「おま国(おまくに)」とは、「お前の国(では売ってやらねーよ)」の略で、地域制限によってコンテンツが利用できない状況を指すスラングです。
特にゲーム販売プラットフォームのSteamで、特定のゲームが日本から購入できない場合に使われます。そういうゲームのことを「おま国ゲー」と言ったりします。
ゲーム以外では、映画や音楽等でも地域制限はありますが、あまり「おま国」という言葉は使われないようです。
一般的には「ジオブロッキング(Geo-blocking)」と言われます。
類語として「おま環(おまかん)」があります。「おま環」は何かシステムトラブルが発生した際に、「それはあなたの環境だけで発生していることであり、他に責任はない」というような意味で使われます。
おま国となる一般的な理由
特定のゲームが、国によっては販売されないことがある、一般的な理由をご紹介します。
ライセンス契約の違い
国によってコンテンツの権利を別の企業が持っていることがあり、これにより一部地域での販売が制限されることがあります。
法律・規制の違い
各国の法律や規制により、特定のコンテンツがふさわしくないと判断された場合、その国での配信が制限されます。
年齢制限や検閲により、異なるバージョンが提供されることもあります。
文化的・社会的要因
特定の地域の文化や価値観に合わないコンテンツは、配信が控えられることがあります。
商業戦略
マーケティング戦略の違いにより、特定の地域でのみ販売することが企業にとって有利な場合があります。
また、為替レートや購買力によって、異なる価格が設定されることがあります。
技術的制限
インターネットの通信速度や安定性の問題で、特定の地域でサービスが提供されないことがあります。
おま国は日本だけ?
「おま国」は日本で発生しやすいと、(日本国内では)考えられています。
特に、日本で開発された日本人向けのゲームなのに、海外では購入できて、日本人だけが購入できないという、不条理とも思えるような事態が度々発生します。
その理由は、家庭用ゲーム機のシェアが大きいという日本の事情、オンラインストア以外の実店舗への配慮、以下のような各社のパワーバランスなどが関係しています。
- 権利者(Rights Holder):ゲームやキャラクターの知的財産権(IP)を所有する。
- 開発会社(Developer):ゲームの企画や制作をおこなう。
- 販売会社(Publisher):資金を提供し、プロジェクトを管理する。マーケティング、広報、流通も担当する。
- 代理店(Distributor、Agent):海外ゲームを日本国内向けにローカライズしたり、流通経路に乗せたりする。
- 小売店(Retailer):ゲームを販売する。オンライン以外の物理的な店舗を指すことが多い。
いくつかパターンをご紹介します。
小売店を優先させたい
ゲームを購入するユーザーからすると、なぜオンラインなのに安くならないのか、と疑問に思うことがあるかもしれません。
ゲームの販売会社からすると、小売店に卸した時点で利益が確定するので、オンラインより小売店の方を優先させたいという事情があります。
また、小売店が宣伝に協力してくれる、一緒にゲーム文化を育ててくれるという側面もあります。
それによって、実店舗とオンラインで価格が同じだったり、オンラインでは販売されないという状況が発生します。
特定のゲーム機で独占販売したい
近年はマルチプラットフォームのゲームが増えていますが、ゲーム機メーカーとしては、自社のゲーム機だけで販売して欲しいというのが本音でしょう。
そしてそのような独占契約を結ぶことができたゲームタイトルは、積極的に宣伝することになります。
日本は家庭用ゲーム機のシェアが高いため、海外ではSteamでも販売するけれど、日本では家庭用ゲーム機だけで販売するという状況となることがあります。
MODやチートを回避したい
海外のPCゲームには、MODと呼ばれる、有志によってゲーム内容を改造する文化があります。
MODによってゲームの楽しみ方が広がりますが、日本のゲームメーカーや権利者はMODを好まないことが多く、PCでリリースすることを避ける傾向があります。
また家庭用ゲーム機に比べて、PCの方がチート行為が容易なため、それを嫌う場合もあります。
海外と価格が合わない
Steamでは世界中のゲームが販売されており、平均的な価格というのも存在します。また、頻繁に大幅なセールをおこなっています。
それに比べると、日本のゲームの価格は高めですし、セールも控えめです。
世界のSteam基準に合わせた価格設定をすると、他のゲーム機とのバランスが取れなくなるため、海外向けには安く販売するけれど、日本人だけ購入できないということになることがあります。
ローカライズ契約がややこしい
海外ゲームを日本で販売する場合に、別会社がローカライズを担当することがありますが、日本での販売権をどこが持つかによって、日本での展開が鈍くなることがあります。
日本語をオプションとするのか、別パッケージとするのか、責任はどこが持つのか、サポートはどこが担当するのか等、様々なパターンがあります。
その契約内容によっては、Steamでの日本語版販売ができなくなっていることがあります。
日本以外のおま国
日本以外で「おま国」がよく発生する国としては、下記のような国があります。
- 中国:共産党の意向と合わないゲームは禁止されます
- 中東諸国:政治的な規制が多く、特に自国やアメリカがどのように扱われるかが重要となります
- ドイツ:ヨーロッパの中では規制が厳しく、特に第二次世界大戦の話題にシビアです
おま国回避になぜVPNがおすすめか
おま国となったゲームを購入するには、VPNを用いる方法がおすすめです。VPNのメリット・デメリット、おすすめのVPNサービスについて御ご紹介します。
おま国を回避する方法
おま国を回避するならば、VPNを利用することが有効です。
「VPN(Virtual Private Network)」とは、簡単に言うと、コンピューターの通信を暗号化してセキュリティを高める技術です。
また、自分のIPアドレスが、VPNサーバーのものに置き換わります。これによって、アメリカのVPNサーバーを経由すれば、アメリカからアクセスしているように見せかけることができるため、地域制限を回避することができます。
Steamでは、VPN接続するだけではダメで、海外のVPNサーバーに接続したうえで、アカウントを作成すると、「おま国」を回避することができます。
おま国回避以外のVPNのメリット
VPNを利用することは、おま国回避以外にも様々なメリットがあります。
安全を確保できる
ゲーム特有の事情として、オンライン対戦をした場合に、対戦相手に自分のIPアドレスがバレるという問題があります。
悪意のあるプレイヤーにあたった場合、自分のIPアドレス宛てに、DDoS攻撃などの嫌がらせを受けることがあります。
VPNサーバーを経由していれば、対戦相手にはVPNサーバーのIPアドレスが伝わっているので、言わばVPNサーバーが身代わりとなってくれます。
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IPアドレスBANを防ぐ
オンラインゲームで不正行為が発覚した場合、そのIPアドレスがBANされることがあります。
IPアドレスは共有で使われていることがあるため、自分に身に覚えがなくても、巻き込まれてBANされる可能性があります。
VPNサーバーを経由していれば、巻き込みBANも回避することができます。
隠れてゲームできる
あまり大きな声では言えませんが、例えば学校などのネットワークでゲームの利用が禁止されている場合、VPNを利用すれば、ネットワーク管理者であっても通信内容を把握できなくなるので、検閲をすり抜けることができるようになります。
ゲーム以外にも使える
ゲーム以外にも、VPNは様々な用途で使用できます。
下記の記事をご参照ください。
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VPNのデメリット
VPNには、メリットだけでなく、デメリットもあります。
メリット・デメリットを正しく理解した上で使いましょう。
通信が遅くなる
VPNサーバーを経由する以上、どうしても通信速度は遅くなります。
ゲームの仕様と、サーバーの位置によっては、逆に速くなることもありますが、基本的には遅くなると考えたほうがよいでしょう。
お金がかかる
VPNを利用するためには、お金がかかります。
無料のVPNサービスもありますが、個人情報が売られている可能性がかなり高いため、推奨されません。
月に数百円程度ですので、有料のVPNサービスを利用することをおすすめします。
VPNは違法?
VPNを使用することは、(日本では)違法ではありませんが、規約違反となります。
Steamは利用規約で、VPNを用いて地域制限を回避することを明確に禁止しています。
ユーザーは、ユーザーの所在地を偽る目的で(ゲームコンテンツの地理的制限を回避するため、ユーザーの地域に適用されない価格設定で注文または購入するためなど、いかなる目的であるかを問いません)、IP プロキシまたはその他の方法を利用しないことに同意しているものとします。ユーザーがこのような行為を行ったときは、Valve はユーザーアカウントへのアクセスを無効化する場合があります。
Steam利用規約
ですから、VPNを利用したからと言って逮捕されるわけではありませんが、アカウント停止となる可能性はあります。最悪の場合、購入したゲームを遊べなくなってしまい、返金もされません。
また、VPN自体は違法ではありませんが、コンテンツの内容(特に性的なもの)に対する規制は、国によって大きく異なるので、それを所持することが違法となる可能性はあります。
おすすめのVPNサービス
ゲーム用途としておすすめのVPNは、業界最高速を誇るNordVPN です。
VPNを選ぶポイントはいろいろありますが、ゲームとなると、速度と安定性が一番重要となります。
NordVPNは、2020年にAV-TESTが実施したテストにおいて、世界一のスピードを記録しています。それも、2位に2倍以上の差をつけての、ぶっちぎりの1位です。
世界111ヶ国にサーバーを設置しているので、ほとんどの国に接続することができるのも、ポイントが高いです。
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