ObsidianのデータをPCとスマホで同期しようとすると色々大変ですが、閲覧のみであれば比較的簡単です。この記事では、Obsidian Local Vault ServerプラグインとTailscaleを使用し、スマホのブラウザから、PC内のObsidianファイルを直接参照する方法をご紹介します。
ObsidianのPCとスマホの同期は難しい
- Obsidianとは
- Obsidianで同期をする方法
- 同期の問題点
- 閲覧のみなら簡単
Obsidianとは
「Obsidian」とは、ローカルで動作するノートアプリです。
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Notion等のクラウドで動作するノートアプリに比べ、プライバシーを保護できるという利点があります。
一方で、複数デバイスで同期をするのが難しいという欠点があります。
Obsidianで同期をする方法
Obsidianは、Windows、macOS、Linux、iOS、Androidで利用できますが、それぞれのデータ(保管庫)を同期しようとすると、かなり大変です。
代表的な同期方法は、以下の4つです。
Obsidian Sync
公式が提供する有料の同期サービスです。
- Standard:1GB、$5/月、$48/年
- Plus:10GB、$10/月、$96/年
特にiOSの場合、色々考えるよりも、さっさと契約してしまった方が良かったという声が多いです。
Remotely Saveプラグイン
非公式の同期プラグインです。
Dropbox、OneDrive等のクラウドストレージのAPIを使って同期をすることができます。
エンドツーエンド暗号化にも対応しています。
基本機能は無料ですが、一部機能は将来的に有料化される予定です。
クラウドストレージは、自分で用意する必要があります。
Gitプラグイン
GitHubのリポジトリ経由で同期をする方法です。
環境構築と運用が難しく、エンジニア向けです。
フォルダ同期
「Syncthing」や「Resilio Sync」を使って、デバイス間で直接同期する方法です。
iOSで問題になることが多いです。
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同期の問題点
上記の方法は、どれも一長一短で、なかなか決定打がありません。
例えば、下記のような問題が発生します。
- 料金が高い
- 暗号化されない
- iOSで同期できない
- 容量が足りない
- 同期が遅い
- バッテリーの消費がやばい
- 衝突が頻発する
- プラグインがエラーになる
- ファイル名がエラーになる
閲覧のみなら簡単
そこで、デバイス間で同期をすることを諦め、PC内のデータを閲覧するのみとすれば、比較的簡単に実現できます。
編集することはできず、見るだけです。
やり方は色々あると思いますが、今回は以下の2つを使用しています。
どちらも無料で利用できます。
Obsidian Local Vault Serverプラグイン
「Obsidian Local Vault Serverプラグイン」は、Obsidian内のファイルを、HTTPサーバーを介して配信するプラグインです。
つまり、ブラウザからデータを閲覧できるようになります。
Tailscale
「Tailscale」は、複数のデバイスをひとつのネットワークまとめることができるVPNサービスです。
HTTPサーバーを外部に公開しようとすると、SSL証明書やリバースプロキシ等が必要になり、とても大変です。
Tailscaleを利用すれば、その手間が不要となります。
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VPNとブラウザで、スマホからObsidianのデータにアクセスする方法
- Obsidian Local Vault Serverプラグインのインストール
- 同一PC内からアクセス
- スマホからアクセス
Obsidian Local Vault Serverプラグインのインストール
「Obsidian Local Vault Serverプラグイン」は、コミュニティプラグインとして公開されていないので、手動でインストールする必要があります。
GitHubのページから、「Releases」をクリックします。
「obsidian-local-vault-server-plugin.zip」をダウンロードします。
保管庫フォルダ下の「.obsidian\plugins\obsidian-local-vault-server-plugin」に展開します。
Obsidianを再起動し、「コミュニティプラグイン」の「LocalVaultServer」をオンにします。
「LocalVaultServer」の設定画面で、「Add New Server Entry」をクリックします。
最低限、「Serve Folder」の設定が必要です。
公開する範囲を、絶対パスか相対パスで指定します。
保管庫全てを公開する場合は「./」とします。
下記の例ではポート番号を「3000」から「8123」に変更していますが、私の環境で競合したためであり、必須ではありません。
「Whitelist Settings」をオンにしてはいけません。
公開するファイルを個別選択できる機能ですが、ファイルが大量にあるとObsidianがフリーズします。
また、今回テスト用に数ファイル用意しただけですが、画面が見切れて正常にチェックを入れることができません。
オフのままにしておくことをおすすめします。
設定後、必須かどうかは分かりませんが、Obsidianを一度再起動した方が良いようです。
同一PC内からアクセス
テストとして、同じPC内のブラウザで「http://localhost:3000」を開き、表示されるかを確認します。(この例では3000から8123に変更しています)
とても簡易的ではありますが、下記のように表示されていれば成功です。
閲覧のみであり、編集することはできません。

ファイルを開いてみます。
Obsidianアプリ上では、[[ページ名]]
とすることで、リンクとして表示されます。

しかしブラウザで開くと、Markdown記法がそのまま表示され、リンクにはなりません。
ただのテキストとして表示されているだけです。
画像も同様に表示されません。
画像ファイルを直接選択すれば表示されます。
スマホからアクセス
まず、PCとスマホの両方にTailscaleをインストールし、起動しておきます。
次に、LocalVaultServerの設定で、「Host」を「0.0.0.0」に変更します。
ファイアウォールの警告が表示された場合は「許可」してください。
その後、一度Obsidianを再起動したほうが良いようです。
スマホ側でTailscaleアプリを開き、PCのIPアドレスをコピーします。
ブラウザでhttp://【PCのIPアドレス】:【ポート番号】
を開きます。
HTTPSではないという警告が表示されますが、無視して進みます。(ブラウザにより表示のされ方は異なります)
Obsidian内のデータが表示されました。
Markdownがそのままテキストとして表示されることも同じです。
まとめ PC内のObsidianデータをスマホから閲覧する方法
PCとスマホ間で、Obsidianの保管庫データを同期することは大変です。
同期をせずに、PC内のデータをスマホから閲覧するだけであれば、Local Vault ServerプラグインとTailscaleを利用すれば簡単に実現できます。
ただし編集はできず、簡易的な表示のみです。
もっと良い方法はあるとは思いますが、制御も簡単なので、外出先からちょっと見てみたいだけという用途にはおすすめです。
