画像生成AIのStable Diffusionを実行する環境を構築するためには、専門知識が必要となると思われるかもしれませんが、実際にはファイルをダブルクリックするだけで完了します。この記事では、PythonやGitがパッケージ化されたインストーラーを使って、WindowsにWebUI(Automatic1111)をインストールする方法と、おすすめの設定方法についてご紹介します。
Stable Diffusion WebUIのインストール方法
Stable Diffusion WebUI(Automatic1111)の簡単インストール方法と、基本的な画像生成方法についてご紹介します。
Stable Diffusionとは
「Stable Diffusion」とは、イギリスのStability AI社が開発している、画像生成AIモデルのフレームワークです。
オープンソースで開発されており、ローカル環境であれば無料で利用できます。
生成した画像を公開する場合は、モデルごとにライセンスを確認する必要があります。
WebUI(Automatic1111)とは
Stable Diffusionを実行する環境・ツールには色々あり、ブラウザから操作するものを「WebUI」と呼んでいます。
以下は代表的なWebUIです。
- Automatic1111
- Forge
- ComfyUI
- InvokeAI
- Easy Diffusion
この中でAutomatic1111は、Stable Diffusionの実行環境として一番広く使われているため「WebUI ≒ Automatic1111」として扱われていることが多いです。
Stable Diffusionの解説資料もAutomatic1111を前提としていることが多いため、一通り慣れておくことをおすすめします。
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Automatic1111の標準的なインストール方法
Automatic1111の環境構築をするためには、PythonとGitが必要となります。
WindowsにAutomatic1111をインストールする方法は、簡単に言えば、以下のようになります。
- Pythonをインストールする
- Gitをインストールする
- 「git clone https://github.com/AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui.git」を実行する
- 「webui-user.bat」を実行する
実際のところ、言うほど難しくはないのですが、エンジニアではないユーザーにとっては、やや取っつきにくいです。
Automatic1111の簡単なインストール方法(NVIDIA限定)
Automatic1111では、PythonやGitをパッケージ化して、簡単にインストールできるようにした方法も用意されています。
これを使えば、面倒な作業は一切なく、順番にファイルをクリックするだけでインストールが完了します。
ただし、NVIDIAのGPUであることが前提です。
また、最新の5000番台のシリーズには対応していない可能性がありますのでご注意ください。
以下に、インストール方法をご案内します。
ダウンロード
ブラウザでStable Diffusion WebUI「v1.0.0-pre」のページを開きます。
「sd.webui.zip」をダウンロードします。
ダウンロードしたZIPファイルを、WebUIをインストールしたいフォルダに展開します。
ここでは「F:\sd」としましたので、以下のようになります。
アップデート
フォルダの中の「update.bat」をダブルクリックして実行します。
警告が表示された場合は、「詳細情報」をクリックします。
「実行」をクリックします。
コマンドプロンプトが開きます。
「続行するには何かキーを押してください」と表示され、何かキーを押して、画面が閉じたら完了です。
おそらくすぐに終わると思います。
インストール
フォルダの中の「run.bat」をダブルクリックして実行します。
コマンドプロンプトが開き、様々なファイルがダウンロードされていきます。
こちらは数十分かかりますので、気長に待ちましょう。
私の環境では30分ほどかかりました。
「Running on local URL: http://127.0.0.1:7860」と表示されたら完了です。
その後、自動的にブラウザが開く処理となっているのですが、設定によっては、ブラウザが起動してこないかもしれません。
その場合は、手動で「http://127.0.0.1:7860」を開いてください。
このような画面が開けば成功です。
画像の生成
基本的な使い方は、「prompt(プロンプト)」に生成したい画像の説明を書き、「Generate」をクリックするだけです。
ここでは、「a girl, sleeping on a sofa」としました。
(編集時に気づきましたが、onとofをtypoしていますね⋯)
こんな感じで生成されました。
実際には、プロンプトや設定を細かく調整していく作業が必要です。
2回目以降の起動
Automatic1111を終了するには、コマンドプロンプトを閉じるだけです。
2回目以降の起動は、再度「run.bat」をダブルクリックしてください。
Stable Diffusion WebUIのインストール後のおすすめ設定
Automatic1111の日本語化、バイリンガル化、自動アップデート、自動ブラウザ起動、モデルの追加方法についてご紹介します。
日本語化
Automatic1111を日本語化するには、「Extensions(拡張機能)」の追加が必要です。
「Extensions」-「Available」タブを選択します。
「Load From:」をクリックした後に、「localization」のチェックを外します。
「ja_JP Localization」を探し、「Install」をクリックします。
「Extensions」-「Installed」タブを開きます。
「stable-diffusion-webui-localization-jp_JP」にチェックが入っていることを確認し、「Apply and restart UI」をクリックします。
再起動したら、「Settings」タブを開きます。
左の列から「User interface」をクリックします。
「Localization」で「ja_JP」を選択します。
「ks_JP」は関西弁です。
「Apply settings」「Reload UI」の順にクリックします。
こんな感じで日本語化されました。
2か国語表示
画像生成AIの世界は英語が標準語なので、専門用語が翻訳されていると、逆に分かりにくくなることがあります。
そのため、日本語と英語の両方を表示することをおすすめします。
「Localization」を「None」に戻し、「設定を適用」をクリックします。
左の列で「Bilingual Localization」をクリックします。
言語ファイルで「ja_JP」を選択し、「設定を適用」「UIの再読み込み」の順にクリックします。
日本語と英語が二段で表示されるようになりました。
起動オプションの変更
「run.bat」を実行した時に、自動的にアップデートの確認と、ブラウザの起動をするように設定を変更すると便利です。
「webui」フォルダの中にある「webui-user.bat」をメモ帳で開きます。
このような感じになっているはずです。
ここで、「set COMMANDLINE_ARGS=」の行を、以下のように変更し、上書き保存します。
set COMMANDLINE_ARGS=--autolaunch --update-check
「run.bat」を実行すれば、処理が変わっていることが確認できます。
モデルの追加
Automatic1111に初期搭載されているモデルは、Stable Diffusionバージョン1.5の軽量版のため、品質に満足できないかもしれません。
その場合は、最新モデルをダウンロードしましょう。
モデルは「Hugging Face」や「Civitai」で探すことが一般的です。
「checkpoint」がベースとなるモデルで、拡張子は「.ckpt」または「.safetensors」です。
VOEやLoRAは拡張機能のようなものです。
ここでは、アニメ風のモデルをダウンロードしてみました。(商用利用する際はライセンスをよくご確認ください)
それをインストールしたフォルダの「webui\models\Stable-diffusion」に置きます。
モデルを選択し、最初と同じ「a girl, sleeping on a sofa」で画像生成してみます。
このような画像が生成されました。
細かな調整をするためには、専門知識が必要となりますので、書籍等を参考にすることをおすすめします。
