Portmasterは、ネットワーク監視+ファイアウォールツールです。どのアプリがどこにアクセスしているかを確認でき、そのままブロックすることもできます。特にWindowsの場合、Windows本体を含め、様々なアプリが好き勝手に通信しているので、全体的に把握することは重要です。この記事では、WindowsでのPortmasterの基本的な使い方について解説します。
Portmasterの概要
- Portmasterとは
- ゲームじゃないです ファイアウォールです
- 料金プラン
- SPNとは
- Windowsファイアウォールとの違い
- VPNや広告ブロッカーと併用できる?
Portmasterとは
「Portmaster」は、オーストリアのSafing社が提供する、WindowsまたはLinuxにインストールして使用するタイプのファイアウォールソフトです。
アプリやドメインごとに通信をブロックできる他、トラフィック状態をグラフィカルに確認できるネットワーク監視ツールという側面も持っています。
オープンソースで開発されており、基本機能は無料で利用できます。
Safing社は、2024年12月にIVPNに買収されましたが、運営は独立しており、オープンソース体制も維持しているとのことです。
ゲームじゃないです ファイアウォールです
「portmaster」で検索すると、「https://portmaster.games/」の方が上位に表示されることがありますが、こちらはLinux向けにゲームを移植するためのツールで、まったくの別物です。
本記事で解説しているのはセキュリティツールとしてのファイアウォールで、区別するために「Safing Portmaster」と表記されることもあります。
料金プラン
Portmasterは、ファイアウォール機能は無料で使用できますが、履歴がわずかな時間しか残りません。(基本10分?)
またProプランでは、SPNを利用することができます。
機能 | Free | Plus | Pro |
---|---|---|---|
料金 | 無料 | 4€/月 40€/年 | 9.90€/月 99€/年 |
フィルター | ◯ | ◯ | ◯ |
セキュアDNS | ◯ | ◯ | ◯ |
ネットワーク監視 | ◯ | ◯ | ◯ |
ネットワーク履歴 | ー | ◯ | ◯ |
帯域幅の表示 | ー | ◯ | ◯ |
サポート | ー | ◯ | ◯ |
SPN | ー | ー | ◯ |
SPNとは
「SPN(Safing Private Network)」とは、Safing社が提供する、TorとVPNを合わせたようなネットワーク技術です。
一般的なVPNは、「VPNサービス事業者を信じる」ことが匿名性の基盤となっており、ユーザーからすると不安がつきまといます。
SPNは、複数のIDと複数のノードを経由することにより、技術的に匿名性を確保します。
一方で、(基本的に)出口ノードを選択できないという制限がありますが、自動的にジオブロックを回避する機能を持っているとのことです。
Windowsファイアウォールとの違い
Windowsには標準で「Windows Defender ファイアウォール」機能が備わっています。
「Windows Defender ファイアウォール」は、ポートやアプリ単位でブロックすることができますが、全体的なネットワーク状況を確認することはできません。
「Portmaster」は、どのアプリがどこの接続しているかをリアルタイムに確認することができます。
「Windows Defender ファイアウォール」と「Portmaster」を併用することはできますが、設定箇所が2つに分かれるため、注意が必要となります。
VPNや広告ブロッカーと併用できる?
VPN、広告ブロッカー、セキュアDNS等も、一部機能が重複したり、競合したりすることがあります。
公式Wikiによると、OS、バージョン、プロトコル等によって、動いたり動かなかったりということのようです。
何か問題が発生した時は、一旦無効にして確認すると良いでしょう。
Windows版Portmasterの使い方
- インストール
- 初期設定
- ネットワーク状態の確認
- アプリ単位のブロック
インストール
「https://safing.io/」にアクセスし、「FREE DOWNLOAD」をクリックします。
ダウンロードしたインストーラーを実行します。
「Next」をクリックします。
インストール先フォルダを確認し、「Next」をクリックします。
「Next」をクリックします。
「Finish」をクリックし完了です。
初期設定
アプリを開くとまず「Portmaster System Service is not running」と表示されるので、「START NOW」をクリックします。
初回起動時に、セットアップウィザードが開きますが、利用しないことをおすすめします。
いきなり色々な設定を入れると、不具合が多発します。
最初はむしろ全てを無効にした上で、様子を見ながら追加していく方が良いと思います。
左の列から「Global Settings」アイコンをクリックします。
「Secure DNS」「Force Block Incoming Connections」「Filter Lists」などが有効になっている場合は、チェックを外します。
ネットワーク状態の確認
「Network Activity」では、全ての通信が確認できます。
この画面で、ドメイン単位でブロックすることもできますが、それよりは下記のアプリ単位のブロックを利用した方が良いのではないかと思います。
アプリ単位のブロック
「Apps and Properties」では、アプリ別に通信を確認したり、ブロックしたりすることができます。
動画・音声再生ツールの「VLC Media Player」を例にご説明します。
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最近はCDを聞くことも少なくなりましたが、家にあった古いCDを「VLC Media Player」で再生したところ、ジャケット写真が表示されました。
この画像はどこから取得されたのでしょうか?
Portmasterを確認すると、「Internet Archive」や「MusicBrainz」にアクセスしていることが分かります。
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「Block Connections」をオンにすると、アプリ全体の通信がブロックされます。
ブロック後、再度CDを再生したところ、1分ほどグルグルした後、ジャケット写真なしで再生が始まりました。
通信がブロックされたため、タイムアウトしたものと思われます。
完全に余談ですが、VLCの「メタデータのネットワークアクセスを許可」をオフにすれば、毎回1分待つ必要はなくなります。
このように、通信状態を確認の上、ブロックしたり、設定で対処したりすると良いでしょう。
また、Windowsの不要な通信を防ぐには、「O&O ShutUp10++」も併用することをおすすめします。
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まとめ Portmasterとは
Portmasterは、IVPNの子会社であるSafing社が提供する、無料でオープンソースのファイアウォールです。
WindowsやLinuxにインストールして使用する、ホスト型ファイアウォールです。
ネットワーク状態をリアルタイムに確認しながら、アプリやドメイン単位で通信をブロックすることができます。
現状確認のためにも、一度試してみることをおすすめします。