Perplexityとは、AIが検索結果を要約し、リンクと一緒に示してくれるサービスです。便利ではありますが、著作権や商標権の問題には直面しています。またユーザーのプライバシーが保護されるのかという点も疑問です。この記事では、Perplexityの基本的な使い方と、何が問題となるのか、どのような対策を取ればよいのかを解説します。
Perplexityとは
Perplexityの概要と、ChatGPTとの違い、料金プランについて解説します。
Perplexityの概要
「Perplexity(パープレキシティ)」とは、AIベースの検索エンジンです。
ユーザーの質問に対して、インターネット上の情報をまとめ、出典と共に回答を生成します。
ブラウザおよび、スマホアプリから使用できます。
Perplexity AI社は、2022年にアメリカのカリフォルニアで設立されました。
2024年には、日本のソフトバンクとも提携をしています。
PerplexityとChatGPTの違い
PerplexityとChatGPTは、ユーザーの質問に対して回答を生成するという点では同じですが、その過程が異なります。
Perplexityは、マイクロソフトのBingの検索結果を中心に、リアルタイムにインターネット上の情報を取得し、その内容を要約した回答を生成します。ただし、他のAIモデルの情報も参照されます。
ChatGPTは、事前に学習した知識ベースを基に回答を生成します。ただし、インターネット上の最新情報も参照されます。
元々のアプローチは異なりましたが、双方が進化し続けており、段々と違いはなくなってきています。
ちなみにマイクロソフトも、Microsoft CopilotというAIサービスを提供しています。
ただし、Perplexityの方が、よりはっきりと出典を示すようになっています。
無料で使える?
Perplexityの基本的な機能は、無料で使うことができます。
アカウント登録も必要ありません。
以下のような違いがあります。
アカウント登録なし
Perplexityに基本的な質問をするだけであれば、アカウント登録の必要はなく、回数の制限もありません。
現在のところ、広告も表示されません。
ただし、履歴を残したり、高度な機能を使用したりすることはできません。
無料アカウント
ログインをすると、質問の履歴を管理できるようになります。
また、高度な「Pro検索」を1日3回まで利用できます。
Perplexity Pro
有料の「Perplexity Pro」を契約すると、「Pro検索」を1日300回まで利用できるようになります。
その他、画像や、複数の添付ファイル、より高度なAIモデルを使用できるようになります。
現在のところ、$20/月です。
ソフトバンクユーザー
ソフトバンクのワイモバイルやLINEMOユーザーであれば、Perplexity Proをお得に利用できる可能性があります。
詳しくは、ソフトバンクのサービスページをご参照ください。
Perplexityの使い方とは
Perplexityの基本機能について解説します。
アカウント登録
Perplexityのアカウント登録には、Google、Apple、メールアドレスが利用できます。
メールアドレスを使用した場合、パスワード登録はなく、5分間有効なURLまたはキーワードでログインできます。二段階認証はありません。
エンタープライズ版では、より高度なユーザー管理機能が提供されます。
質問
ログインをした状態で質問をすると、履歴がライブラリに保存されます。

「ソース」には、情報源のリンクが表示されます。
スペース
スペースを作成すると、複数人でプロジェクトを管理することができます。
また「手順」では、前提となるシステムプロンプトの設定もできます。
ここでは、語尾に「にゃ」をつける、と指示してみました。
「宇宙船の作り方教えて」と無茶振りしてみたところ、まさかの、おもちゃ作り方で返されました。
ただ、語尾はちゃんと指示を守っていますね。
(ちなにみChatGPTに同じ質問をしたところ、難易度別に現実的な回答をしてくれました)
作成したスペースでは、資料をまとめたり、ユーザーを招待したりすることができます。
発見
「発見」では、他のユーザーがまとめた記事を見ることができます。
これは自動生成ではなく、公式キュレーターがまとめた記事です。
またソースを見ると、英語記事を日本語に翻訳したものと思われます。
キュレーターになるには?
キュレーターは、「Become a Discover Curator」のページで募集されています。
現在のところ、英語圏のみのようです。
キュレーターの報酬は、「バッジ」と「Perplexity Proの無料権」となっています。
(月20ドルの報酬でどこまでやるのかという気はしますが)
Perplexityの安全性を高める使い方11選
プライバシー保護という観点で、Perplexityをなるべく安全に使用する方法を解説します。
課金は慎重に
Perplexityは、複数の法的問題に直面しています。
Perplexityは「Dow Jones(The Wall Street Journalの親会社)」や「New York Post」などから、著作権を侵害しているとして訴訟を提起されています。
Forbesも、記事が無断で使用され、出典が明記されていないと非難しています。
WIREDは、クローラーが「robots.txt」を無視していることを指摘しています。
利用者が訴えられるということはないと思いますが、ある日突然サービス停止になる可能性はあります。
支払ったお金が戻ってこない可能性はありますので、課金をする際は注意をしましょう。
業務利用は慎重に
Perplexityは、エンタープライズ版も提供しており、より安全なデータ保護機能を提供するとしています。
これはPerplexity AI社に限った話ではなく、AI業界全般に言えることですが、絶対に信用すべきではありません。
AI業界は、既存のデータを食い尽くしたので、どれだけ新鮮なデータを手に入れることができるかの勝負になっています。
機密情報をアップしたら、そのデータも活用される可能性が高いでしょう。
業務に組み込むのであれば、慎重になる必要があります。
アカウント登録しない
Perplexityはログインをしなくても使用することはできます。
履歴は残りませんが、検索エンジンの延長と考えれば、それほど困ることはないと思います。
収集される個人情報を少なくするには、アカウント登録をせずに利用することをおすすめします。
匿名メールアドレスを使用する
ログインして使用するならば、GoogleアカウントやAppleアカウントは使用せずに、メールアドレスを利用することをおすすめします。
その際に、AnonAddyのような、匿名メール転送サービスを利用するとよいでしょう。
アプリを使用しない
Perplexityの専用アプリではなく、ブラウザでアクセスするようにしましょう。
アプリは、位置情報を含む、幅広い個人情報を収集しています。
ブラウザを使用すれば、収集される情報を少なくできます。
プライバシー保護性能の高いブラウザを使用する
ブラウザでアクセスする際も、なるべくプライバシー保護性能の高いものを利用するとよいでしょう。
プライバシー保護を重視するブラウザとしては、以下のようなもがあります。
VPNを使用する
さらにVPNを使用すると、本来のIPアドレスが隠され、他のユーザーとIPアドレスが共有されるので、匿名性が高まります。
ただし無料VPNは、むしろ危険なので、利用してはいけません。
おすすめは、ノーログポリシーで豊富なプライバシー保護機能を持つ、NordVPNです。
回答内容を信用しない
AI一般に言えることですが、AIが生成する回答は誤っている可能性があるので、100%は信用しないようにしましょう。
最近はそれ以上に、特定の国家・企業・団体の意見に誘導されるような危険性も、現実的となってきています。
個人情報や機密情報を入力しない
当然ですが、個人情報や機密情報は入力しないようにしましょう。
単なる検索エンジンと異なり、Perplexityはまとめページが自動生成されるので、永遠に残り続ける可能性があります。
公開設定に注意する
Perplexityで生成されたまとめページは、以下の3つの公開設定があります。
- 非公開(作者のみ)
- スペース(スペース内の誰でも)
- リンクを持っている人(URLを知っている人全員)
どうやら、デフォルトが「リンクを持っている人」になっているようなのです。
もちろんそのURL(ランダムな長い文字列)を知らなければアクセスできませんが、そのページは限定公開状態で残り続けるということを意味するので、リスクがあります。
非公開にすればアクセスできなくなりますが、個別に設定する必要があります。
デフォルトで非公開にできればいいのですが。
また、一度「非公開」に設定しても、「共有」をクリックした瞬間に、「リンクを持っている人」に戻るようです(?)
流石にこれは、不具合のような気がします。
デフォルト設定と合わせて、今後対策されることを期待します。
学習に利用させない
「設定」の中にある「AIデータ保持」をオフにすると、学習に使用されなくなるとあります。
「robots.txt」を無視する会社が、どこまで信頼できるかは疑問ではありますが、設定しないよりはマシと思われます。(逆効果となる可能性がないわけではありませんが)
まとめ Perplexityとは
Perplexityとは、検索結果を要約し、出典リンクを明記して回答する、AI検索エンジンです。
使い勝手はかなり良いです。
ただし、セキュリティやプライバシー保護という面では、期待できません。
安全に使うのであれば、専用アプリは使用せずに、プライバシー保護性能の高いブラウザとVPNを併用すると良いでしょう。