Pictorは、無料で何度でも使用できるAI画像生成アプリです。でも、無料で利用できるのって、逆に怪しくないですか? 結論として、特に危険性はなく、広告が表示されるだけで、安全に利用できるアプリだと思います。ただし外部公開する際には、著作権やメタデータが問題となることがあるので、注意が必要となります。この記事では、Pictorの基本的な使い方と、注意点、メタデータを削除する方法について解説しています。
AI画像生成アプリPictorに危険性はあるか
Pictorの概要と使い方、安全性と危険性について解説します。
Pictorとは
「Pictor」とは、スマホで利用できる、AI画像生成アプリです。
難しいことを考えなくても、リアルまたはアニメ風の女性画像を、簡単に生成することができます。
逆に、それ以外の画像生成には向いていないと思います。
日本の株式会社パーミッションが開発・運営しています。

基本的な使い方
Pictorを利用するのに、アカウント登録は必要ありません。
「はじめる」をクリックするだけです。
「データ引き継ぎ」では、QRコードを用いて、設定を引き継ぐことができます。
利用するモデルを選択し、プロンプトを入力します。
プロンプトは手入力することも可能ですが、あらかじめ用意されているキーワードを選択するだけでもOKです。

後は「生成する」をタップすれば、広告が再生された後に、画像表示されます。
生成に使用したモデルやプロンプトの情報が表示されるので、再利用することも可能です。

無料で利用できる?
Pictorは、無料で、何回でも画像生成をすることができます。
画面下部と、生成の際に30~60秒の広告が表示されますが、それ以外に回数制限も機能制限もありません。
広告を非表示にできる?
逆に、課金をする仕組みがなく、広告を非表示にする方法がありません。
60秒の広告というのはかなり長いので、利用者にとってはストレスになるかもしれません。
商用利用できる?
Pictorで生成した画像が、商用利用できるかは明確ではないので、利用しないほうがいいでしょう。
基本的には、商用利用も可能な「CreativeML Open RAIL-M License」というライセンスに基づいていますが、利用するモデルによっても異なるはずです。
Pictorの特徴は、モデルやサンプラーを、あらかじめいい感じに調整してあるという点です。
それで結局、最終的にどうなっているのかがはっきりしないので、外部への公開や、商用利用はせずに、個人利用に留めておいたほうが無難だと思います。
危険性はある?
アプリ自体に、それほど危険性はないと思われます。
広告表示のために、端末情報やネットワーク情報が収集されるくらいです。
これは、ほとんどのアプリが行っていることです。
ただし、画像を外部に公開する際には、いくつか注意点がありますので、下記でご説明させていただきます。
Pictorアプリの危険性と安全な使い方
Pictorをより安全に使用する方法として、ローカルでStable Diffusionを実行する方法、メタデータを閲覧・削除する方法について解説します。
何が危険なのか
Pictorは、危険なアプリという訳ではありませんが、あえて注意点挙げるとすると、以下の3つとなります。
- 著作権が明確でない
- 広告表示のために、個人情報が収集される
- 画像のメタデータに生成に使用したプロンプトが含まれる
著作権については、上記の通りです。外部公開はしない方がよいでしょう。
個人情報が収集される件については、PCを利用することで回避できます。
画像のメタデータについては、なかなか面倒な話となるのですが、こちらもPCがあれば確実に対応できます。
以下で詳細について解説します。
PCで画像生成する
Pictorの裏では、画像生成AIのStable Diffusionが動作しています。
Stable Diffusionの実行には、強力なマシンパワーが必要となるため、クラウドサービスを利用することが一般的ですが、ゲーミングPC程度のスペックがあれば、WindowsやMac上で動作させることも可能です。
ローカル上での実行方法にもいろいろあるのですが、誰でも簡単に使えるという点を考えると、Fooocusがいいのではないかと思います。
-
面倒な設定必要なし!誰でも簡単にAI画像生成できるFooocusの使い方
2025/4/8 Stable Diffusion, 画像生成
Fooocusは、難しいインストール作業や設定作業が必要なく、簡単にローカル環境で画像生成AIを使用できるツールです。最初から高品質な画像が生成され、がっかりすることがないので、初めての方にこそ向いて ...
Fooocusであれば、Pictorと同じようなことを、PC上で再現することができます。
もちろん無料です。
さらにPictorと違い、禁止ワードが設定されていません。
広告が表示されたり、個人情報が収集されるということもありません。
誰にも見られる心配がないので、自由に画像生成や、画像編集を楽しむことができます。
ただし、プロンプトは英語で入力する必要があります。
また、そこそこのスペックのPCは必要となります。
画像のメタデータを削除する方法
Pictorで作成した画像ファイルには、生成に使用したモデルやプロンプトの情報が、メタデータとして埋め込まれています。
これは、Stable Diffusionの一般的な動作です。
個人情報ではありませんが、AI生成した画像であることや、どのようなキーワードを指定したかということは分かる訳です。
スマホやデジタルカメラで撮影した写真に、撮影日時や位置情報が、メタデータとして含まれることはよく知られています。
そして、そのメタデータを削除するアプリもたくさん公開されています。
ところが、ほとんどの「メタデータ削除アプリ」や「Exif情報削除アプリ」では、生成AIが埋め込んだメタデータを、確認もできないし、削除もできないのです。
ここでは、数十個のアプリを試した結果、ようやく見つけた数少ないPictorが埋め込んだメタデータを確認できるアプリをご紹介します。
Android
Androidでは「ExifTool - 画像動画のメタデータの表示・編集」で、メタデータを確認することができました。
「Parameters」の欄に、プロンプトやモデルの情報が含まれていることが分かります。
日本語が英語に翻訳されていることや、ネガティブプロンプトでNSFWが強く禁止されていることなどが分かります。
ただし閲覧のみで、削除することはできません。
削除しようとするとエラーとなりました。
iOS
iOSの場合はさらに複雑で、Pictorから画像保存した時点で、メタデータは削除されるようです。
また、「ダウンロード」から「写真」に移した時も、削除されるようです。
それでも一応、メタデータを確認できるアプリを探した結果、画像系アプリは全滅で、Sharpened Procustionsの「File Viewer」で、何とか確認することができました。
「Raw data preview」の欄に、プロンプトが埋め込まれていることが分かります。
こちらも閲覧のみで、削除はできません。
繰り返しとなりますが、iOSは、Pictorから保存した時点で、メタデータは削除されています。
またアプリ間でのファイルのやり取りも制限されています。
上記は、Androidで生成した画像を、iOSに転送して確認をしました。
SNSにアップしたらどうなるの?
X(Twitter)やInstagramといった大手SNSに画像をアップすると、このような一般的には確認が難しいメタデータも、自動的に削除されるようです。
ただし、公開画像のメタデータは削除されていたとしても、X社やMeta社は、削除前のデータを保持しているかもしれないということが問題です。
また、大手以外のSNSや、個人ブログ等では、メタデータが削除されずにそのまま公開されていることがあります。
メタデータを削除するには?
私が探した限り、メタデータを確実に削除できるスマホアプリは見つかりませんでした。
確実に対応するには、少し操作の手間は必要となりますが、PC上でExifToolを使用することをおすすめします。
詳細は、下記の記事をご参照ください。
-
AI生成した画像であることがバレる? C2PAとは
画像や動画の生成AIが進化し、本物と偽物の区別がつかなくなってきています。そこで業界団体は、作成者や使用ツールなどの情報をコンテンツに埋め込み、さらにデジタル署名をして信頼性を確保する、C2PAという ...
まとめ AI画像生成アプリPictorに危険性はあるか
Pictorは、美少女画像に特化した、AI画像生成アプリです。
広告表示でのみで、無料で何度でも使用できます。
ターゲッティング広告が表示されること以外に、特に危険性はありませんが、以下の点に注意するとよいでしょう。
- 著作権が明確でないので、外部公開や商用利用はしない
- ゲーミングPCがあれば、代わりにFooocusを利用する
- 画像のメタデータにプロンプトが含まれていることに留意する
- メタデータを削除するには、PC上でExiftoolを使用する
