SafeShell VPNは、動画配信サイトに地域制限回避に特化したVPNサービスです。これによりネットフリックスでジブリを見ることができるような説明が書かれていますが、安全性に問題はないでしょうか。結論として、コアとなる機能がニッチすぎる上に、安全性を重視したVPNサービスではないので、利用することは推奨しません。この記事では、SafeShell VPNの概要と、問題点について解説します。
SafeShell VPNとは
SafeShell VPNの概要と、機能の特徴、料金プランについて解説します。
概要
「SafeShell VPN」とは、シンガポールの「GEARUP PORTAL PTE. LTD.」が提供する、ストリーミングサービスの地域制限を回避することに特化したVPNサービスです。
WindowsやmacOS向けのアプリも提供されていますが、基本的にはスマホ(iOS、Android)向けのサービスだと思います。
特徴
SafeShell VPNの一番の特徴は、アプリごとにVPN接続する国を設定できるという点です。
例えば、「Disney+はイギリス」「Netflixはフランス」「Prime Videoはアメリカ」などといった設定が可能です。
これによって、毎回接続し直す手間が省けることが利点だとしています。
主要な動画ストリーミングサービス、スポーツ配信サービス、SNSに対応しており、アプリと接続国を選ぶだけで簡単に使用できます。
私が知る限り、同様の機能を持つVPNサービスは他にありません。
ただ個人的には、ニッチすぎるのではないかと思います。
他のVPNサービスがその機能を持っていないのは、単純に需要がないからではないでしょうか。
しかしその機能を探していたのであれば、唯一無二のVPNサービスとなるかもしれません。
料金
SafeShell VPNは、一部無料で利用できる機能もありますが、基本的には有料サービです。
料金は以下の通りです。
iOS | Android | PC(1USD=150円) | |
---|---|---|---|
1週間 | 900円 | 920円 | 900円 |
1ヶ月 | 2,000円 | 1,990円 | 1,950円 |
1年 | 13,000円 | 12,300円 | 12,000円 |
VPNサービスとしては、結構高めな料金設定となっています。
正直なところ、アプリごとに国を設定できるという機能に、そこまでの価値を見出すのは難しいのではないかと思います。
国を選択し直す必要はありますが、NordVPNなど、他の信頼できるVPNサービスを利用することをおすすめします。
速度
fast.comを利用して、VPN接続する前と後で、通信速度を測定していみました。
VPN接続する前は、360Mbpsでした。
「グローバルモード」を選択すれば、アプリごとではなく、通常のVPNと同じように機能します。
ここでは、アメリカサーバーに接続してみます。
VPN接続後は、330Mbpでした。
いや、速すぎませんか。
下記でご紹介するように、独自プロトコルが使用されているようなのですが、ちゃんと処理がされているのか、逆に不安となります。
SafeShell VPNの安全性と注意点
SafeShell VPNの問題点について詳しく解説します。
独自のプロトコル
多くのVPNサービスは、WireGuardやOpenVPNなど、オープンソースのVPNプロトコルをサポートしていますが、SafeShell VPNは自社開発の「SafeShell」プロトコルのみをサポートしています。
オープンソースではないので、その機能や安全性を検証することはできません。
本社がシンガポール
SafeShell VPNは、シンガポールに本社を置く会社によって運営されています。
シンガポールには比較的厳しいインターネット規制がありますので、VPNサービスの拠点としては微妙なところです。
ただし、そもそもSafeShell VPNは、データの安全性を目的としたVPNサービスではありません。
ノーログポリシーではない
多くのVPNサービスは、接続記録を全て破棄する「ノーログポリシー」を採用していますが、SafeShellはノーログではありません。
公式サイトでは「ゼロログポリシー」となっていますが、それが何を意味するのかは分かりません。
プライバシーポリシーでは、IPアドレスやDNSクエリは7日以内に削除すると書かれていますが、その他にどのような情報が、どれくらいの期間保存されるのかは明確ではありません。
また、EUのGDPRに準拠することは書かれていますが、EU以外のユーザーの対応については不明です。
第三者監査を受けていない
ノーログポリシーを主張するVPNサービスであっても、実際にはログを保存したり、第三者に販売していることがよくあります。
そのため信頼性の高いVPNサービスでは、第三者機関による監査を定期的に実施しています。
しかしSafeShell VPNが、監査を受けたという情報はありません。
また最近Google Playストアでは、信頼できるVPNサービスに、認証バッジが表示されるようになりました。
例えばNordVPNでは、「確認済み」という表示が確認できます。
しかしSafeShell VPNにバッジはつけられていません。
規制される
SafeShell VPNの一番の特徴は、ストリーミングサービスごとに接続国を変更できるという点です。
実際に試してみたところ、確かに変わっているようです。
しかしそれで、求める結果(ネットフリックスでジブリが見れるようになる等)を得られるかどうかは、やってみるまで分かりません。
最近は特に、配信サービス側がVPN規制を強めているので、見れなくなることも多いようです。
それに対して月払いで2,000円近くというのは、なかなか厳しいのではないかと思います。
無料トライアルが分かりにくい
スマホ版の場合、インストールするとすぐに無料トライアルをおすすめされます。
「✕」ボタンで閉じることはできますが、無料版では多くの機能が制限されているので、使う意味はほとんどないでしょう。
「3日間無料トライアルを開始」をクリックすると、年払い・月払い・週払いの選択画面となります。
3日間の無料トライアルが付いてくるのは、年払いのみです。
月払い・週払いは、即時課金となりますのでご注意ください。
解約方法
ストアから無料トライアルを利用した場合、3日以内にキャンセルすれば、課金されることはありません。
規約上「いかなる場合でも返金不可」となっているので、解約忘れがないようにご注意ください。
iOSの解約方法
- 「設定」アプリを開く
- 「自分の名前」をタップする
- 「サブスクリプション」をタップする
- アプリを選択し、キャンセルする
Androidの解約方法
- 「Play ストア」アプリを開く
- 右上の「プロフィールアイコン」をタップする
- 「お支払いと定期購入」をタップする
- 「定期購入」をタップする
- アプリを選択し、キャンセルする
Windowsではほぼ使えない?
Windowsの場合はさらにひどくて、無料トライアルは1時間です。
また、AppleかGoogleアカウントでログインしないと使用できません。
複数アカウントを防ぐためだとは思いますが、これもちょと面倒なところです。
さらに、ストリーミングサービスごとに接続国を変更するというのは、ブラウザ上では機能しないようです。
デスクトップアプリでも試してみましたが、反映されているのかイマイチ分からず、結局PCではなくスマホ専用と思ったほうが良いのではないかと思いました。
まとめ SafeShell VPNの安全性とは
SafeShell VPNは、ストリーミングサービス別に接続する国を事前設定できるVPNサービスです。
手動変更する必要がないということが唯一のメリットであり、安全性に配慮したVPNサービスではありません。
料金も高いので、信頼性の高いVPNサービスを契約し、手動変更することを推奨します。