子供がちゃんと学校に行ったのか、まっすぐに帰ってきているのか、親としては気になるところです。そのような家族向けの位置情報共有アプリとしてLife360があります。しかし位置情報を共有するということは、他人にも見られる可能性があるということです。この記事では、Life360の危険性とデメリット、位置情報をごまかすことはできるのかについて、わかりやすく解説しています。
Life360の危険性
Life360の概要とリスク、過去の炎上について解説します。
Life360とは
「Life360」は、家族向けのリアルタイム位置情報共有アプリです。iOSとAndroidに対応しています。
位置情報だけでなく、家族の安全と交通トラブルを全般的にサポートするサービスとなっています。主な機能は以下の通りです。
- 位置情報共有
- 運転情報共有
- データ保護
- 緊急通報
- 盗難補償
- 自動車トラブルサポート
- Bluetoothタグ追跡
Life360はどこの国のサービス?
Life360は、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く、Life360, inc.によって運営されています。
2008年に設立された後、現在は190ヵ国以上、月間アクティブユーザー5,000万人以上に利用されているとされています。
カリフォルニアには、CCPA(California Consumer Privacy Act)というアメリカでも最も厳しいプライバシー保護法があり、Life360もこの規制に従っています。
Life360の危険性とデメリット
Life360は家族の安全を守るためのものですが、逆にそれが危険と隣合わせだという指摘もあります。
また危険というほどのことでもないですが、デメリットについても合わせてご紹介します。
プライバシーの侵害
Life360は家族または特定のグループで、現在地をリアルタイムに共有します。
誤設定やアカウントの乗っ取りなどによって、意図しない相手に情報が漏れるリスクがあります。
子供の安全
Life360は子供の位置情報を確認するということが一番の目的なので、その情報が漏れるということは、子供を危険にさらすということにつながります。
当然犯罪者もそれを狙っています。
心理的負担
位置情報をリアルタイムに監視することは、家族であっても強いストレスを感じることがあります。
特に子供が反抗期に入ればそうでしょう。
逆に、親が常に子供の位置を把握していないと不安になるという、依存状態になることもあります。
家族の安全を守るはずが、関係性を悪化させるツールになりかねません。
誤情報のリスク
アプリの不具合や、通信状態によっては、誤った位置情報が表示されることがあります。
これにより、不毛なトラブルを引き起こす可能性があります。
バッテリー消費
Life360はバックグラウンドで動作し続け、常にGPSで位置情報を取得しているため、多くの電力を消費します。
逆に、バッテリーセーバーなどの機能を使うと、正しい位置情報を取得できなくなります。
データ使用量
Life360はユーザーの位置情報を定期的に送信するので、通信データも消費します。
子供に持たせたものの、予想外の通信量となる可能性もあります。
Life360は個人情報を販売している?
2021年に、Life360はユーザーの正確な位置情報を他ベンダーに販売しているということが発覚しました。
当初Life360は、プライバシーポリシーに記載されている通りだ、と開き直っていましたが、ユーザーの強い反発を受け、2022年に正確な位置情報の販売を中止しました。
しかし完全に中止したわけではなく、正確な位置情報の販売は中止されましたが、集計データの販売は続けられています。
Life360 to stop selling precise location data of users
Life360の位置情報をごまかすことはできる?バレる危険性は?
Life360の位置情報が何によって決まるか、偽装することはできるかについて解説します。
位置情報を取得する仕組み
Life360は、以下の情報を組み合わせて位置情報を取得しています。
GPS(Global Positioning System)
GPS衛星からの信号を利用して、高精度な位置情報を取得します。
Wi-Fi
Wi-Fiに接続している場合、位置情報を推定することができます。特に屋内での精度向上に役立ちます。
Wi-Fiで位置情報を推定するというのは、特定のSSID(ネットワーク名)やMACアドレスなどのネットワーク情報が、位置情報と紐づいてデータベース化されているためです。
IPアドレスはあまり関係がありません。IPアドレスでも大まかな位置情報は推定できますが、大雑把すぎるので、補助的に使用していると考えられます。
モバイルネットワーク
モバイル通信の基地局(セルタワー)を利用して位置を推定します。
GPSやWi-Fiと比較すると精度が低いですが、GPS信号が弱い場合でも利用できます。
Bluetooth
一部の機能では、Bluetoothビーコンによって位置を特定することもあります。
内蔵センサー
スマホに内蔵されている、加速度センサーやジャイロスコープの情報を利用して、向きや移動の変化を検出します。
VPNで位置情報を偽装できる?
一般的にVPN接続をすると、実際のIPアドレスが、VPNサーバーのIPアドレスに置き換わります。IPアドレスからは、大まかな位置情報を取得できるため、実際にいる場所を偽装することができます。
ただし、VPNが変えるのはIPアドレスだけです。上記の通り、Life360ではIPアドレスはあまり重視されていないので、ほとんど意味はないと思われます。
一部のVPNサービスは、GPS位置情報も偽装する機能を持っているので、これであればLife360の位置情報もある程度ごまかすことができます。
代表的なものでは、SurfSharkがあります。Surfsharkでは「GPS override」という機能で、位置情報を偽装することができます。ただしAndroidのみです。
位置情報偽装アプリを使えば大丈夫?
基本的に、GPS位置情報偽装アプリが使えるのはAndroidのみです。iOSでは使用できません。
iOSの場合
iPhone/iPadでGPSの位置情報を偽装するには、脱獄(Jailbreak)をするか、PCにツールをインストールし、PCとiOSデバイスをつなぎ、PC上で操作する必要があるようです。
私も少し試してみたのですが、上手くいきませんでした。
怪しげなツールも多いので、なかなか難しいのではないかと思います。
Androidの場合
Androidの場合は、普通にPlay Storeで公開されているアプリを使って、簡単にGPS位置情報を偽装することができます。
開発者向けオプションをオンにして、位置情報アプリを置き換えるなど、少し手間は必要となりますが、そこまで難しくはありません。
試しに「Fake GPS location」というアプリで、位置情報を東京湾の真ん中に変更したところ、Life360上の表示も合わせて変更されました。
ただしこちらで変更されるのはGPSのみです。
その他のWi-Fi、IPアドレス、モバイルネットワーク、Bluetoothなどの情報はそのまま残っているので、しっかりと調査すればGPS偽装していることは簡単に分かるはずです。
今後のアップデートで急に変わる可能性もあるので、油断はできないかと思います。