LocalSendは、iPhoneとAndroid、スマホとPCなど、異なるOS間で簡単にファイルを送受信したい場合に便利なアプリです。OSをまたいだAirDropのようなものですが、同じネットワークに接続している必要があるという制限もあります。この記事では、LocalSendの仕組みと、AirDropとの違い、簡単な使い方についてご紹介しています。
LocalSendとは
LocalSendの特徴、仕組み、AirDropとの違い、VPNで使用できるかについて解説します。
LocalSendの特徴
「LocalSend」は、異なるOS間で、簡単にファイルの送受信ができるアプリです。
操作感としてはAirDropに似ていますが、iOSに限定されないというところが利点です。
ただし、同じネットワークに接続している必要があります。
無料
LocalSendは、ベトナムのTien Do Nam氏を中心にオープンソースで開発されており、完全に無料で使用できます。
広告も表示されません。
寄付は受け付けていますが、有料プランは存在しません。
マルチプラットフォーム
LocalSendのアプリは、Windows、macOS、Linux、iOS、Androidで使用できます。
アプリではなくブラウザでダウンロードできる機能も備わっていますが、私が試した限りでは使えませんでした。
基本的には、アプリ間での送受信になるかと思います。
ゼロコンフィグ
LocalSendは、アカウント登録もなく、アプリをインストールするだけで簡単に使えます。
基本的には設定も不要です。
UIもシンプルで、操作に迷うことはほとんどないでしょう。
P2Pで暗号化
スマホからPCにファイルを転送する場合、Google Driveのようなクラウドストレージが使われることが多いです。
しかしほとんどのクラウドストレージは、ファイルを検閲しているため、管理者に中身を見られる可能性があります。
LocalSendに中央サーバーはなく、デバイス間でファイルを暗号化して送受信するので、誰にも見られる心配がなく、プライバシーが保護されます。
LocalSendの仕組み
LocalSendが、近くのデバイスを検出し、ファイルを送信する仕組みをご紹介します。
検出
LocalSendは、UDPマルチキャストを使い、お互いのデバイスを検出します。
通信は、TCP/UDPポート53317が使われます。(変更可能)
このため、送受信するデバイスが同じネットワーク(Wi-Fiアクセスポイント)に接続している必要があります。
暗号化
LocalSendは、各デバイスが「自己署名SSL証明書(self-signed certificate)」を作成し、HTTPSで暗号化通信を行います。
認証局が発行した証明書ではないため、通信相手が信頼できるかどうかは、ユーザーの確認も必要となっています。
AirDropとの違い
AirDropは、Bluetoothを用いて近くのデバイスを検出します。
その後、Appleの独自の通信規格により、デバイス同士がWi-Fi接続をしてファイルを送受信します。
LocalSendではBluetoothは使用せず、通信規格も標準のものが使われているという点が異なります。
VPNで使える?
LocalSendは、基本的には近くにいる相手にファイルを送信するためのものですが、VPN接続をすれば、地理的に離れている相手にも送信できる可能性はあります。
ただし多くのVPNサービスは、UDPマルチキャストをブロックするため、機能しないことが多いです。
53317ポートの通信許可も必要です。
ネットワーク設定によっては、VPN経由でのLocalSendも可能とはなりますが、おそらく別の方法を考えたほうが簡単だと思われます。
なおNordVPNには、LocalSendのようなファイル送受信機能が最初から備わっています。
LocalSendの使い方
LocalSendのインストール、ファイル送受信、リンク経由での共有について解説します。
スマホへのインストール
iOS/AndroidでLocalSendを使うには、ストアからインストールするだけです。
iOSの場合「ローカルネットワーク」へのアクセスを許可する必要がある点にご注意ください。
オフにすると、他のデバイスを検出できません。
Windowsへのインストール
Windowsにインストールするには、公式サイトにアクセスし、「ダウンロード」をクリックします。
いろいろな方法がありますが、今回は「ZIP(ポータブル)」版を選択しました。
ZIPファイルを展開し、「localsend_app.exe」をダブルクリックします。
ファイアウォールの警告が表示されたら「許可」をクリックします。

使用できる状態となりました。
以下の画面で「Clever Avocado」となっているのは、自動的につけられた「ニックネーム(別名)」です。
「#103」「#102」「#1」となっているのは、IPv4アドレスの第4オクテットです。
このWindows PCは、Wi-FiやLANケーブルなど、複数のネットワーク接続があるため、3つ表示されています。
ニックネーム(別名)は、「設定」から変更することができます。
その他、ポート番号や、タイムアウト時間、暗号化の有無などを変更することもできます。

ファイル送信
スマホからPCにファイルを送信する例をご紹介します。
まず双方で、LocalSnedアプリが起動している必要があります。
スマホ側で、送信するファイルを選択します。

送信先のデバイスを選択します。
同じネットワークに接続し、アプリが起動していれば、自動的に表示されます。
PC側にファイルを送信しようとしているという通知があるので、「承諾」をクリックします。
あらかじめ設定したダウンロードフォルダに保存されます。
ブラウザでのダウンロード(失敗)
LocalSendには、アプリを持っていない相手にファイルを送信する機能もついています。
ただし私が試した限り、上手くいきませんでした。
同じく、スマホからPCに対し、ファイルを送信してみます。
送信したいファイルを選択したら、「歯車」アイコンから「リンク経由で共有」をタップします。
「URL」が表示されるので、相手に伝えます。
PC側のブラウザで、そのURLを開きます。
スマホ側で「✓」をタップし、リクエストを許可します。
PC側に、ダウンロードボタンが表示されました。
ここまでは進めたのですが、そのボタンをクリックしても、ファイルをダウンロードすることはできませんでした。
スマホ側で「暗号化」にチェックを入れてみます。
ブラウザ側ではページを開くことすらできなくなりました。
SSLの自己署名証明書が問題となりブロックされていると思われますが、そのためにブラウザのセキュリティ設定を変更する必要もどうかと思いますので、素直にアプリを使うことをおすすめします。
まとめ LocalSendの使い方とは
LocalSendは、異なるOS間で、AirDropのように簡単にファイル共有できるアプリです。
特に学生の間ではiPhoneのAirDropが多用されるので、Androidユーザーは肩身が狭い思いをすることがあります。
LocalSendはその橋渡しとなる可能性がありますが、同じWi-Fiアクセスポイントに接続する必要があるので、実際には活用できる場面が限られます。
そのため、友達同士ではなく、自分のスマホからPCにファイル転送をするという使い方がメインになるのではないかと思われます。
Google Driveのようなクラウドストレージを経由する必要がないため、プライバシーの保護に役立ちます。