ブラウザのシェア率で圧倒的なトップを誇るGoogle Chromeですが、Googleがフィンガープリントを広告に活用する方針を発表したことで、Firefox系へ移行する動きが加速しています。その中で、珍しい日本産のブラウザであるFloorpが注目されています。Floorpはフィンガープリントの漏洩を防ぎ、安全に使用できるでしょうか。結論として、Floorpはプライバシー保護性能はそれほど高くなく、カスタマイズ性能に特化したブラウザと言えます。この記事では、Floorpの特徴について、簡単にご紹介しています。
Floorpは安全性が高い?
Floorp開発の経緯と特徴、他のFirefox系ブラウザとの比較をご紹介します。
Floorpとは
「Floorp(フロープ)」とは、日本の学生コミュニティ「Ablaze」が開発している、Firefoxベースのブラウザです。
オープンソースで開発されており、無料で利用できます。
柔軟なカスタマイズと、プライバシー保護が特徴とされています。
Floorpの開発者
Floorpは、現在大学生の浅野凌輔氏が、高校2年生の時に公開しました。
浅野氏にとって、初めてのプログラミングだったとのことです。
現在は、学生コミュニティ「Ablaze」によって開発が続けられています。
特徴は?
Floorpを一言で表すと、「Firefox版のVivaldi」です。
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現在の主要なブラウザは、Chrome(Chromium)系、Firefox(Gecko)系、Apple系(WebKit)の3つに分かれています。
Vivaldiは、豊富なカスタマイズ機能を持つChrome系ブラウザです。
一方でFirefox系のブラウザはシンプルなものが多かったので、カスタマイズに特化したFirefoxを作るというのが、最初の目的だったとのことです。
また、Firefox本体に採用された機能はあえて外すなど、唯一無二のブラウザを目指しているとのことです。
スマホで利用できる?
Floorpは、Windows、macOS、Linuxでのみ使用できます。
iOSやAndroidでは使用できません。
プライバシーを保護する?
Floorpは、ユーザー情報のトラッキングを最小限にし、プライバシー保護も重視するとされています。
プライバシーポリシーには、バージョン確認のためのアクセスログを最小限収集するのみとされています。
個人的には、趣味で作っていて、営利目的ではないというところが大きく影響しているように感じます。
ただし便利な機能を提供するためには、同期などの仕組みが必要となるので、技術的にそこまでプライバシー保護は徹底されていないと思います。
広告ブロックできる?
Floorpでは、オープンソースの強力な広告ブロッカーである「uBlock Origin」の使用が推奨されています。
最初から内蔵されているわけではありません。
uBlock Originは、Chrome系ブラウザでは機能が制限されているので、Firefox系ブラウザを使用する大きな理由の一つとなっています。
フィンガープリントを防げる?
Floorpには、フィンガープリントを最小にするオプションも備わっています。

これにチェックを入れた状態で、EFFのCover Your Tracksでテストしたところ、部分的な保護にとどまりました。
同じくFirefox系のLibreWolfで試したところ、より完全な保護となりました。
Floorpの方が対応が甘いということになります。
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安全なFirefox系ブラウザランキング
体感的にではありますが、Firefox系のブラウザをプライバシー保護に配慮した順に並べると、以下のようになるのではないかと思います。
順位 | ブラウザ |
---|---|
1 | Tor Browser |
2 | Mullvad Browser |
3 | LibreWolf |
4 | Waterfox |
5 | Floorp |
6 | Firefox |
Tor Browserは特殊なので、通常用途には向いていません。
Mullvad Browserは、拡張機能が制限されているので、こちらも用途を選びます。
日常使いもできて、プライバシーに配慮したものとなると、LibreWolfが一番適切ではないかと思います。
Floorpは、プライバシーよりも便利な機能を目指しているという認識です。
営利目的ではない分、Firefox本体よりは上となります。
安全性以外のFloorpの特徴
Floorpのインストールと、デザイン設定の概要についてご紹介します。
ダウンロード
ブラウザで「https://floorp.app/ja-JP」を開き、「Floorpをダウンロード」をクリックします。
ここで、「Floorpをダウンロードすると、プライバシーポリシーに同意したものとみなされます。」と表示されているのですが、ダウンロードしただけで同意というのは見たことがありません。
一般的な慣習とは異なっていることから、法的に認められない可能性があります。
それはともかくとして、プライバシーポリシーには大したことが書かれていません。
個人情報は収集しておらず、バージョンチェックのためにIPアドレス等が収集されるというだけです。
Windowsの場合、インストーラー版とポータブル版が用意されています。
今回はポータブル版をダウンロードしました。
インストール
今回はポータブル版を使用しているので、厳密にはインストールという作業はないのですが、初期設定についてご案内します。
ダウンロードしたZIPファイルを展開し、「floorp.exe」を実行します。
おそらく警告が表示されるので、「詳細情報」をクリックします。
「実行」をクリックします。
これでもうFloorpは起動しました。
スキップすればすぐに使用できますが、初期設定のために「準備はいい?」をクリックします。
他のブラウザから、ブックマークなどをインポートできます。
今回はスキップしました。
テンプレートを「梅」「竹」「松」から選択することができます。
何が違うのかはよく分からないのですが、とりあえず、右と下のバーの有無は変わるようです。
次に、タブのデザインを選択できます。(正直、気にしたことがなかった)
「ネットの海に飛び込もう!」をクリックして完了です。
豊富なバー
Floorpの特徴は、柔軟なカスタマイズができることなのですが、そのために「◯◯バー」という名称がたくさん出てきます。
ここでは、分かる範囲で整理してみました。
上から、「タイトルバー」「メニューバー」「タブバー」「ツールバー」「ブックマークツールバー」です。
左に表示されているのが「サイドバー」、右にアイコンが並んでいるのが「ブラウザーマネージャーサイドバー」で、そのアイコンのことを「ウェブパネル」、下にあるのが「ステータスバー」です。
さらに「アドレスバー」「検索バー」という言葉が出てくるのですが、どこのことを指しているのか不明です。
普通に考えればURLを入力する箇所なのですが、2つに別れているので、よく分かりません。
それらの「◯◯バー」に、(ある程度)自由に機能を配置できるというのが特徴です。
凄いんだけど誰が分かるんだこれ、という感じではあります。
ワークスペース
左上のアイコンから、「ワークスペース」を切り替えることができます。
ワークスペースとは、別ウィンドウのようなものですが、それを1つのウィンドウ内で簡単に切り替えることができます。
またワークスペースはコンテナと紐づけることができます。
コンテナを分けると、クッキーやセッション情報も別となるため、同じサイトに異なるアカウントでログインするといったことが可能となります。