中国には大規模なインターネット規制があるため、中国に行く前にVPNアプリを用意しておくことが必須です。しかし全てのVPNサービスが中国で利用できる訳ではありません。また利用できるかどうかは、実際に現地で試してみるしかありません。そのような中で、比較的接続しやすいとされているMillenVPNについて、中国のインターネット事情も合わせてわかりやすく解説します。
中国のVPN事情とMillenVPN
中国のグレートファイアウォールの目的と仕組み、VPN規制とその対策について解説します。
中国でVPNが必要な理由
中国には、「グレートファイアウォール」と呼ばれる、中国政府によるインターネット検閲システムがあり、特定のキーワードや、特定のウェブサイトへのアクセスが制限されています。
例えば、以下のようなサービスにアクセスできません。
- LINE
- X(Twitter)
- Netflix
- Google全般(YouTube、Gmail、GoogleMaps等)
- Amazonの一部
- Wikipedia
- ChatGPT
- Twitch
- GitHubの一部
- ストレージサービス
- 海外のニュースサイト
- 各種ゲーム
仕事や旅行で中国に訪れた場合に、これらのサービスが利用できないことは、大変不便です。
VPNを利用すれば、これらの規制を回避できる可能性があります。
金盾工程とは
中国の「グレートファイアウォール」は有名ですが、実はそれは「金盾工程(Golden Shield Project)」と呼ばれる、もっと大きなプロジェクトの一部でしかありません。
「金盾」の上に「金字」があるという話もありますが、立案されたタイミングと、推進する組織の違いによって、用語が違ったり、重複したりしていて、きれいに整理されている訳ではないようです。
目的
中国政府が行っている大規模な監視や情報統制は、「公安」と「プロパガンダ」を目的としています。
公安は、社会の安定性を維持し、犯罪を未然に防ぎ、外国からの攻撃を阻止することを目的とします。
プロパガンダは、情報を意図的に操作することで、人々の意見や行動を誘導することを目的とします。
グレートファイアウォールは主にプロパガンダを目的としていますが、特に中国国内にいる場合は、それよりも大きな公安という目的があることを忘れてはいけません。
手段
「金盾工程」には様々なプロジェクトがあり、下記はその例です。
- 高度なAI顔認証技術を持つ監視カメラネットワーク(天網)
- 農村部を含めた監視カメラネットワーク(雪亮)
- 交通監視システム
- デジタルIDシステム
- 社会信用度の数値化
- 犯罪情報の管理
- 企業の財務状況のリアルタイム監視(金税)
- 電子決済情報の監視(金卡)
- 電話やFAX等、あらゆる通信の監視
- インターネット通信の監視(防火長城、グレートファイアウォール)
- 上記のデータベースの統合
中国国内にいる間は、全ての行動が政府に筒抜けになっていると考えたほうがよいでしょう。
グレートファイアウォールの仕組み
グレートファイアウォールを構成する、代表的な技術として、以下のようなものがあります。
- IPアドレスブロッキング: 特定のIPアドレスへの接続をブロックする
- URLフィルタリング: 特定のページへのアクセスをブロックする
- DNSフィルタリング: 特定のドメイン名の名前解決をブロックする
- DNSリダイレクト: 特定のページへのアクセスを、別ページにリダイレクトする
- キーワードフィルタリング: 特定のキーワードを含む通信をブロックする
- ディープパケットインスペクション(DPI): 通信パケットを詳細に分析する技術で、VPNも検出されることがある
VPNはグレートファイアウォールを通過できる?
中国でVPNは、法律で禁止されている訳ではありませんが、使用できたり、できなかったりします。
特に2015年と2018年にはVPN規制が強化され、多くの有名VPNサービスの通信が遮断されました。
比較的接続しやすいVPNサービスとして、「MillenVPN」が知られています。
VPNを遮断する技術
- ポート番号ブロッキング: PPTPやL2TPなどの方式は、特定のポート番号を使用するため、容易にブロックすることができます
- IPアドレスブロッキング: VPNサーバーのIPアドレスをリスト化し、見つけ次第ブロックします
- DPI: 暗号化された通信データを解析し、VPN特有のパターンを検出することでブロックします
VPN規制を回避する技術
- ステルスVPN: VPN通信を、通常のHTTPS通信に見せかけることで、DPIによる検出を回避します
- IPアドレス変更: VPNサーバーのIPアドレスを変更することで、ブロックされることを回避します
- プロトコル変更: 複数のVPNプロトコルを利用することで、検出されることを回避します
中国でMillenVPNがおすすめな理由
中国から日本に接続しやすいVPNサービスとして、MillenVPNの特徴と、おすすめできる理由について解説します。
中国から日本に接続しやすい
中国国内でVPNが使えるかどうかは、実際に現地に行ってみるまで分かりません。日によっても異なります。
様々なVPNサービスがありますが、MillenVPNは完璧ではないものの、接続できたという声が多いです。
その理由は、OpenConnectプロトコルにあります。
OpenConnectとは
「OpenConnect」とは、Cisco社のAnyConnectを元に開発された、マルチプロトコルVPNです。オープンソースで開発されています。
以下のプロトコルに対応しています。
- Cisco AnyConnect
- Juniper Secure Connect
- Palo Alto Networks GlobalProtect
- Ivanti/Pulse Connect Secure
- F5 BIG-IP
- Fortinet FortiGate
- Array Networks AG SSL VPN
さらに、他のプロトコルにも対応するべく、開発がすすめられています。
そしてOpenConnectは、中国のグレートファイアウォールを通過しやすいという特徴があります。
通過しやすい理由は不明ですが、VPNトラフィックが通常のHTTPSトラフィックに似ているので検出されにくいことと、複数のプロトコルに対応していることが関係しているようです。
MillenVPNの使い方
MillenVPNが中国でつながりやすいというのは、OpenConnectを使用した場合の話です。
そして、OpenConnectの使い方は、通常とは異なるので注意が必要です。
用語も分かりにくいので、簡単に解説します。
MillenVPNアプリ
「MillenVPN」では、iOS、Android、Amazon、Windows、MacOSに対応した専用アプリを提供しています。
これらを利用することで、簡単にVPNに接続できます。
下記のプロトコルに対応しています。
- IKEv2
- WireGuard
- OpenVPN
MIllenVPN Native
「MillenVPN Native」は、専用アプリではなく、OS標準機能を使って手動設定する方法です。
こちらのプロトコルに対応しています。
- IKEv2
MillenVPN Native OpenConnect
OpenConnectプロトコルで接続する場合は「MillenVPN Native OpenConnect」を利用します。これは、MillenVPNアプリでも、OS標準機能でもなく、別アプリを使って設定します。
OpenConnectに対応したアプリは複数ありますが、「Cisco Secure Client」を使うのが無難でしょう。
「Cisco Secure Client」アプリに、「MillenVPN」のサーバーアドレスを入力するという流れとなります。
詳細は、公式サイトをご確認ください。
日本の運営会社
商用VPNサービスを提供している会社は、世界的に見てもそんなに多くなく、有名どころは50もないでしょう。
VPNサービスの運営会社は、中国、アメリカ、ヨーロッパの国が多いです。政府による規制を回避するために、パナマなどに法人を設置している会社もあります。
規制を回避するのはいいのですが、やはり海外の会社だと、何かあった時の対応が心配です。特にビジネスで利用する場合は、申請が通らないかもしれません。
MillenVPNは、日本の大阪にあるアズポケット株式会社によって、日本の法律に則って運営されていますので、安心して利用することができます。
出張などで数日から利用できる
ほとんどのVPNサービスは、月払い・年払いが基本ですが、MillenVPNは7日間から利用できます。
旅行や出張にぴったりでしょう。
それで10台まで利用できますので、ノートPC、スマホ、タブレットといったもの全てにインストールすることができます。
- 7日プラン: 580円/回
- 15日プラン: 980円/回
- 30日プラン: 1,580円/回
- 1年プラン: 540円/月
- 2年プラン: 360円/月
日本から中国に接続する場合
中国から日本ではなく、日本から中国に接続する場合については、「Transocks」がおすすめです。
下記の記事をご参照ください。
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