最近Xで、Opera VPNを使ってサッカー日本代表の試合を見ることを推奨する投稿を多く目にします。Operaはシェア5位くらいの人気ブラウザですが、中国資本のため、危険であるという声も多いです。この記事では、Operaの何が危険で、何が安全なのか、Operaを使ってサッカーの試合を見るとはどういうことなのかについて、詳しく解説しています。
Opera VPNの安全性と危険性
Opera VPNの概要と、安全性と危険性、YouTubeでAFCの試合を見る方法について解説します。
Opera VPNとは
「Opera VPN」とは、人気ブラウザOperaに備わっている無料のVPN機能です。
アプリをインストールするだけで、アカウント登録することもなく、データ量無制限で使用することができます。
基本機能は無料で利用できますが、有料のOpera VPN Proもあります。有料版は、Windows、Linux、Androidのみで、iOSでは使用できません。
YouTubeでサッカーを見れると聞いたけど・・・?
最近Opera VPNが人気なのは、X(Twitter)を中心に、「Opera VPNを使えば、AFCアジア予選の試合を無料で見れる」という噂が広まっているためです。
2026年のワールドカップ出場をかけた「AFCアジア予選」の、日本代表の試合は、日本ではDAZNの独占契約となっているので、本来であればDAZNでしか見ることができません。
一方で、YouTubeの「AFC Asian Cupチャンネル」には、全試合のライブ配信、アーカイブ、ハイライトなどがアップされています。
しかし、日本代表が関係する試合は、YouTubeの地域制限により、日本からのアクセスがブロックされていることがあります。(ライブ視聴のみNGで、アーカイブは一定時間経てばOK?)
Opera VPNを使えば、その地域制限を回避できるので、無料で見ることができるというわけです。
VPNとは?
Opera VPNで初めてVPNというものに触れるという方もいるので、簡単にご説明します。
「VPN」とは、「Virtual Private Network」の略で、日本語では「仮想専用回線」と訳されています。
通常インターネットに接続するとき、ISPを経由して、目的のサーバー(この場合YouTube)まで接続しています。
VPNを利用すると、途中でVPNサーバーを経由します。そして自分とVPNサーバーの間が、仮想的に専用線で結ばれたような状態となります。
これにより、次のようなことがおこります。
- VPNを使用しない場合
- ISPは、あなたがYouTubeに接続したことが分かる
- YouTubeは、あなたが日本のISPから接続してきたことが分かる
- VPNを使用した場合
- ISPは、あなたがVPNサーバーに接続したことは分かるが、その先で何をしているのかは分からない
- YouTubeは、あなたがVPNサーバーから接続してきたことは分かるが、その前はどこから来たか分からない
- VPNサーバーは、あなたが日本のISPを利用していて、YouTubeに接続したことも分かる
VPNを使用することで、プライバシーを保護する、検閲を避ける、地域制限を回避する、などのことが実現できます。
VPNサーバーには両方の情報が残ることになりますが、多くのVPNサーバーは、ノーログポリシーと言われる接続記録を全て破棄する運用方針によって、ユーザーのプライバシーを守っています。
AFCの試合を見る方法
Opera VPNを使って、YouTubeでAFCの試合を見る方法を簡単にご紹介します。
ただし、これはたまたま見れているだけのようなので、いつ見られなくなるかは分からないという点はご了承ください。
Operaブラウザをインストールする
ストアや公式サイトから、Operaブラウザをインストールします。
- App Store(iPhone、iPad)
- Google Play Sote(Android)
- 公式サイト(Windows、macOS、Linux)
VPNをオンにする
ブラウザを起動し、VPNをオンにします。
初回は、許可などを求められると思います。
アジアサーバーに接続する
無料版のOpera VPNでは、「アジア」「ヨーロッパ」「アメリカ」の3つから接続サーバーを選ぶことができますので、「アジア」を選択します。
ちなみにアジアというのは、私が試した限りでは、シンガポールに接続されるようです。
場合によっては、ヨーロッパの方で見れることもあるようです。
ブラウザ上でYouTubeを見る
無料版のOpera VPNは、Operaブラウザ上の通信だけに対して機能するので、YouTubeアプリではなく、ブラウザ上で見るようにします。
AFCのチャンネルを開き、ブロックされていた動画が再生できるようになれば成功です。
有料版のOpera VPN Proであれば、VPNがデバイス全体に対して有効になるので、アプリ版でも見ることができる可能性があります。(Googleは様々な方法で位置情報を取得しているので、ブロックされる可能性はあります)
Opera VPNが人気の理由
世の中には多くのVPNサービスがありますが、その中でOpera VPNが選ばれる理由をご紹介します。
無料で利用できる
Opera VPNは、無料で、通信データ量無制限で使用できます。
VPNサービスを運営するためには、サーバーの維持費が必要なので、普通は無料で提供することはできません。
ほとんどのVPNサービスは、有料プランのお試し版という位置づけなので、月2GB程度の容量制限や、速度制限がかけられています。
Opera VPNのように、無料かつ容量無制限のVPNサービスというのは、極めて稀です。
簡単に利用できる
Opera VPNは、専用アプリのインストールや、アカウント登録も必要なく、ブラウザをインストールするだけなので、簡単に使うことができます。
AFCの試合が見れる
そして、上記のYouTubeのAFCチャンネルで、日本代表の試合が見れるということです。
私もいろいろ試してみたのですが、単にVPNを使えばいいという訳でもなく、様々な条件が重なっているようです。
そのため、Opera VPNでAFCの試合が見れるというのは、たまたまなのではないかと思われます。
たまたま見れるのが、無料で良かったね、という感じです。
Opera VPNが危険と言われる理由
Opera VPNは、初心者に人気の一方で、昔からのユーザーからは危険視されています。その理由をご説明します。
中国資本
Operaはもともとノルウェーの会社ですが、2016年に中国資本に買収されました。現在は、「奇虎360」などの中国系企業のコンソーシアムの傘下となっています。
中国は大規模なインターネット検閲をおこなっている国なので、Operaもその影響を受けるのではないかと懸念されています。
また、ノーログポリシーで接続履歴を全て破棄していると言いながらも、中国政府に流れているのではないかという危惧もあります。
マイクロファイナンス事業
Operaは2018~2020年にかけて、インドやアフリカで短期ローンアプリを展開しましたが、短い返済期限や高い金利が搾取的であり、Googleのポリシーにも違反していると批判されました。
現在は、マイクロファイナンス事業は縮小されています。
グループ会社の不祥事
Operaや奇虎360ではありませんが、グループ傘下のセキュリティ企業が、コンピューターウイルスの自作自演をおこなったり、ライバル会社のサービスをブロックしたりする不祥事がありました。
広告収益モデル
Operaは、有料のVPNサービス以外では、広告などによって収益を上げており、ターゲッティング広告のためにユーザーデータを収集することは、利用規約にも明記されています。
一方VPNでは、ユーザーデータは収集しないとしており、方向性が矛盾しています。
第三者機関によって安全性が証明された?
そのような危険性があるとされるOperaですが、2024年9月に、独立監査機関Deloitteの監査が完了し、ノーログポリシーが証明されたと報告しています。
Protecting your privacy: Opera has completed an independent no-log audit of its free browser VPN
今回の監査は無料VPNが対象です。
有料のOpera VPN Proの方は、NordVPNとの協業による提供であり、そちらはすでに安全性が証明されているとしています。
NordVPNは、最も安全なVPNサービスの一つとして知られています。
危険性のあるOpera VPN以外のおすすめVPN
Opera VPNの代替サービスとして、AlohaブラウザとNordVPNをご紹介します。
Opera VPNの代わりとなる無料VPN
第三者機関による監査がおこなわれたとしても、やはり中国資本はちょっと……という方も多いと思います。
ここでは、AFCのYouTubeチャンネルを見れるかどうかという点で、無料に限定して別のVPNサービスを探してみました。
Opera VPNが一番安定
それで分かったのは、結局、Opera VPNが一番安定していたということです。
Opera VPNでアジアサーバーを選択すると、シンガポールに接続されるのですが、シンガポールだから大丈夫という訳でもないようです。
別のVPNサービスでシンガポールに接続してもブロックされることはありますし、なんなら有料のOpera VPN Proの方もブロックされました。有料版は、シンガポールではなくトルコに接続したら、見ることができました。
地域+特定のVPNサーバーのIPアドレスが弾かれている感じでしょうか。VPNサーバーのIPアドレスは複数のユーザーで共有するので、別のユーザーの巻き添えによってブロックされているのかもしれません。
私が試した限りでは、Opera VPNでAFCのチャンネルが見れるというのは、偶然のような気がするので、今後見れなくなる可能性は十分にあると思います。
それでも最初に試すとしたら、一番確実でしょうか。
次点でAlohaブラウザ
その次に安定して見ることができたのが、Alohaブラウザです。
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Alohaブラウザも、無料かつ容量無制限で使用することができるVPNサービスです。
Alohaブラウザは接続するサーバーによって、見れたり、見れなかったりという感じでした。
AlohaブラウザがOperaに比べて安全かと言われると、正直疑問ではあります。中国ではなく、キプロスだという違いがあるくらいでしょうか。
Opera VPN ProとNordVPNの比較
安全性を考えるのであれば、無料ではなく、有料のVPNサービスを検討すべきです。
Opera VPNの有料版は、裏でNordVPNが動いているようなのですが、NordVPN単体を契約するのとどのように違うのか比較してみました。
Opera VPN Pro | NordVPN | |
---|---|---|
1ヶ月 | 1,120円 | 2,070円 |
半年 | 4,200円 | ー |
1年 | 6,720円 | 10,950円 |
2年 | ー | 12,960円 |
接続国 | 33 | 111 |
デバイス数 | 6 | 10 |
ノーログポリシー | ◯ | ◯ |
キルスイッチ | △ (Android標準) | ◯ |
スプリットトンネリング | ー | ◯ |
プライベートDNS | ー | ◯ |
マルチホップ | ー | ◯ |
難読化 | ー | ◯ |
Tor接続 | ー | ◯ |
(2024年10月時点のセール価格のため、タイミングによって異なっている可能性があります)
Opera VPN Proは、NordVPNの機能がそのまま提供されているのではなく、かなり限定されています。
特にNordVPNは、キルスイッチ、プライベートDNS、マルチホップなどのセキュリティ機能が充実しているのに対し、Opera VPNには基本的な機能しかありません。
Opera VPN Proの方が安いですが、セキュリティのためにお金を出すのであれば、NordVPNを契約することをおすすめします。
ちょうど2024年10月現在は、ブラックフライデーにより70%近い割引となっているので、買うのであればこのタイミングがいいのではないでしょうか。