他人に見られては困るファイルの保存場所に困っているという方も多いでしょう。スマホやPCでは容量が不足していますし、ほとんどのクラウドストレージサービスはファイルの検閲をおこなっています。そういう時に便利なのが、暗号化クラウドストレージのNordLockerです。NordLockerは仕組み上検閲されることはありませんが、クラウドストレージサービスとしてはまだまだ不十分な点もあります。この記事ではNordLockerの特徴と注意点について、分かりやすく解説しています。
NordLockerとは
NordLockerの機能と料金について解説します。
NordLockerの概要
NordLockerは、NordVPNで有名なNord Security社が提供するクラウドストレージサービスです。
エンドツーエンド暗号化とゼロ知識アーキテクチャにより、サーバー管理者であってもデータにアクセスすることができないことが特徴です。
Windows、macOS、iOS、Android、およびブラウザで使用できます。
検閲されない仕組み
一般的なクラウドストレージサービスでは、サーバー管理者がファイルにアクセスすることができ、検閲をおこなっています。ファイルの内容に問題があると判断されると、警告なしにアカウント停止処分となることもあります。
これには、情報漏洩の可能性があるだけでなく、同じアカウントを利用した他のサービスまで利用できなくなる危険性があります。
NordLockerでは、主に以下の2つの仕組みにより、サーバー管理者であっても内容を確認できなくっています。
ローカルで暗号化されてからアップロードされる
NordLockerでは、ローカルでファイルが暗号化されてから、クラウドサーバーにアップロードされます。
サーバー管理者は暗号化されたデータしか確認ができないので、ファイルの内容を確認することができません。
また暗号化にはAES-256という強力なアルゴリズムが使われています。
復号はユーザーのみができる
暗号化されたデータを復号化するには、鍵(パスワード等)が必要となりますが、これはユーザー自身しか知らずサーバーには一切保存されません。
そのため、例えサーバーが警察に押収されたとしても、内容を確認することはできない仕組みとなっています。
パスワードを紛失すると誰も復旧することができなくなるのでご注意ください。
NordLockerとNordVPNの料金
NordLockerを利用するには、単体で契約する方法と、NordVPNのコンプリートプランを契約する方法があります。
データ容量や料金体系が結構異なるのでご注意ください。
3GB | 500GB | 2TB | 1TB +VPN +パスワードマネージャー | |
---|---|---|---|---|
1ヶ月 | 無料 | 1,280円 | 3,190円 | 2,390円 |
1年 | 無料 | 5,640円 | 13,320円 | 15,450円 (15ヶ月) |
2年 | 無料 | ー | ー | 21,060円 (27ヶ月) |
料金は2024年10月現在のブラックフライデーの割引が反映されたものであり、時期や為替等によって変動しますのでご了承ください。
データ量も違うので単純な比較はできませんが、VPNはあって困るものではないので、NordVPN(およびNordPass)とセットになったコンプリートプランをおすすめします。
NordLockerの使い方と注意点
NordLockerのWindows版には異なるバージョンが混在しているようです。バージョンの違いと注意点について解説します。
バージョンが2つある
NordLockerのWindows版は、現在「バージョン4」と「バージョン5」が混在しているようです。
リンクの場所によりどちらがダウンロードされる異なりますのでご注意ください。(修正漏れ?)
見た目が全然違うだけでなく、設計思想が根本から異なります。全くの別アプリと考えたほうが良いです。
最初、バージョン4を使っていたのですが、あまりにも動作に癖があったので困惑しました。
バージョン5はシンプルで迷うことはなくなったので、基本的にはバージョン5を使用することをおすすめします。
ダウンロード方法
公式サイトのトップページにある「Apps」からダウンロードすると、バージョン5となります。おそらくこちらが正解だと思います。
一方、アカウントの管理ページからダウンロードすると、バージョン4となります。
リンクの修正漏れか、もしくはWindows 10専用なのかもしれません。
AndroidやiOS版に違いはなく、こちらはバージョン5とほぼ同じ動作感です。
バージョン4は挙動不審
私がWindows 11を使用しているためかもしれませんが、バージョン4は挙動に意味不明なところが多いので、とてもおすすめできません。
最大の特徴は、ローカル上に「ロッカー」と呼ばれる暗号化されたコンテナが作成されるということです。
通常このロッカーは鍵がかかっており、中のファイルを確認することができません。パスワードで解錠することで、閲覧したり編集したりすることが可能となります。
このロッカーは、時間経過やその他の条件(?)によって、自動的に施錠されるのですが、そのタイミングによって、様々な不具合が生じるようです。
例えば、「ファイルを編集中に自動ロックされ、その後上書き保存した」「ファイルの暗号化やアップロードの途中で、アプリがロックされた」などです。
この時にどうなるのかはよく分からず、最悪ファイルを消失します。
そのため使用するには細心の注意が必要となります。
バージョン5はGoogle Driveと同じ
バージョン5は打って変わってシンプルとなり、暗号化コンテナは作成されません。
ローカル上では暗号化されず、普通のファイルとして保存されます。アプリを終了してもそのまま残ります。
つまり、Google Drive等の一般的なクラウドストレージとほとんど変わりません。
違うのは、暗号化された上でアップロードされるという点ですが、見た目上は何も分からないです。
暗号化コンテナがなくなった分、不具合もなくなりましたが、ローカル上でファイルを隠すことができなくなったので、そこは別の手段を考える必要があります。
ファイルの保存場所を変更できない?
バージョン5の場合、NordLockerという特別フォルダが作成されます。
これが実際にどこにあるのかということ、下記のパスに保存されています。
C:\Users\【ユーザー名】\NordLocker_XXXXX
困ったのは、現状これを変更する手段がないということです。
私は1TBプランを契約しており、Cドライブにそんな空き容量ないのですが⋯⋯
対象ファイルを右クリックして「空き容量を増やす」を選択すると、ファイルはクラウド上のみに保存され、ローカル上のファイルは削除されるので、空き容量を確保することはできます。
いや、そういう問題でもないでしょう。
そのうちアップデートで、保存場所を変更できるようになると思われます。そうでないと困ります。
8GBまでのファイルしか保存できない?
NordLockerでは、ファイルの上限サイズは8GBまでのようです。
ブラウザから8GB以上のファイルをアップロードしようとすると、下記のエラーが表示されます。
ローカル上のフォルダに直接置いても同様です。
バージョン4であれば、ローカルアプリからアップロードできたのかもしれませんが、暗号化とアップロードに数十分かかり、その間に自動ロックされて挙動不審になっていたので、実質的に使えていませんでした。
バージョン5では最初からエラーが表示されるだけ、マシになったとも言えます。
しかしこの8GBの上限について、公式サイトのどこにも書かれていないように見受けられます。これには苦言を申し上げたいと思います。
データのバックアップ用途として契約をすると、困ったことになるかもしれません。実際私が困っています。
ファイルを分割することで対応できなくもないですが、そんな手間はかけたくありません。
契約は慎重に
現状のNordLockerは、期待していた動作をしない可能性がありますので、事前によく確認するようにしましょう。
3GBまでは無料で使える他、30日間の返金保証もあります。
おそらくアップデートで改善していくはと思われますが、バージョン5.0.5.0現在の機能としては、並以下というのが正直な感想です。