公衆Wi-Fiに接続するならばVPNが必須とはよく言われますが、具体的にVPNは何をしてくれるのかを理解しておくことは大切です。VPNは他のセキュリティソフトと一緒に提供されることが多いので、保護の対象が曖昧になりがちです。この記事では、VPNは何ができるのか・できないのかについて、なるべく具体例を用いながら、わかりやすく解説しています。
VPN接続をするとできること
VPN接続の概要と、何ができるのかを解説します。
VPN接続するとどうなるの?
VPNにも様々な方式がありますが、一般的なインターネットVPNを例にご説明いたします。
通常、インターネットに接続するためには「ISP(インターネットサービスプロバイダー)」を経由する必要があります。
VPN接続をした場合、ISP経由であることに違いはありませんが、暗号化とトンネリング技術によって、仮想的にあなたとVPNサーバーが直接接続されたように見えます。VPNサーバーから先は同じです。
これにより、次のようなことが起こります。
Webサイトの管理者からすると、あなたではなく、VPNサーバーがアクセスしてきたように見えるので、あなたが誰でどこから接続しているのかという情報を隠すことができます。
あなたとVPNサーバー間の通信が暗号化されているので、盗聴、改ざん、検閲などを回避することができます。
VPNの活用例
VPNの利用例を法人と個人に分けて解説します。
法人・組織
会社や学校等の大きめな組織の、VPNの活用方法をご紹介します。
拠点間接続
本店と支店など、離れた拠点をVPN接続することで、データのやり取りが容易になり、管理もしやすくなります。
物理的な専用回線でつなぐよりも、はるかに安価となります。
リモートアクセス
従業員が自宅から社内システムにアクセスできるように、安全なリモートワーク環境を構築できます。
ネットワークの仮想化
VPNには様々な方式がありますので、一概には言えませんが、仮想化することによって物理的な制限がなくなり、より柔軟な管理ができるようになります。
個人
個人のVPNの活用例を、なるべく具体的にご紹介します。
セキュリティを強化する
通信が暗号化されるので、パスワード、クレジットカード番号、個人情報、機密情報などの大切なデータが漏洩することを防ぎます。
プライバシーを保護する
ネットワーク管理者、広告主、ISPなどが、あなたの閲覧履歴をたどることができなくなり、プライバシーが保護されます。
検閲を回避する
国、会社、学校、家庭などあらゆるレベルで、特定のサイトへのアクセスがブロックされていることがあります。
VPNを使用することで、これらの規制を回避することができます。
海外から日本のサービスを利用する
「メルカリ」「TVer」などの日本人向けサービスは、海外からのアクセスがブロックされていることがあります。
海外にいる場合に、日本のVPNサーバーに接続することで、これらのサービスを利用できるようになります。
日本では配信されていない動画を閲覧する
「Netflix」や「hulu」などの動画配信サイトは、国や地域によって、配信内容を変えています。
海外のVPNサーバーに接続することで、日本では配信されていない動画を見ることができます。
サブスクサービスを安く契約する
インターネット上のサブスクリプションサービスは、サービス内容が同じでも、国によって異なる価格が設定されていることがあります。
海外のVPNサーバーに接続することで、安く契約できることがあります。
航空券を安く購入する
航空券の料金は、購入する国によって価格が異なることがあります。
海外のVPNサーバーに接続することで、安く購入できることがあります。
チケットの当選確率を上げる
チケット販売サイトは、国内と海外用で販売サイトを分けており、国内の方が当選確率が高い場合があります。
その国のVPNサーバーに接続することで、当選確率を上げることができます。
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外出先から自宅の機器に接続する
自宅にVPNルーター・サーバーを設置すれば、自宅のPCや、カメラ、IoT家電に、外出先から安全にアクセスすることができます。
帯域制限を回避する
ISPによっては、オンラインゲームや動画サイトなど、大量のトラフィックが発生する通信を検出すると、帯域制限をかけることがあります。
VPNに接続していれば、ISPでも通信内容を把握できないため、制限を回避することができます。
日本ではあまり聞きませんが、海外のISPでは一般的に行なわれているようです。
攻撃対象となることを防ぐ
オンラインゲームをしていて、対戦相手の怒りを買うと、交換しているIPアドレス宛にDDoS攻撃などを受けることがあります。
VPN経由でゲームをていれば、対戦相手にはVPNサーバーのIPアドレスしか伝わらないので、攻撃対象となることを防ぐことができます。
これも日本ではあまり聞きませんが、海外ではしばしば発生するようです。
また、IPアドレスBANに巻き込まれることを防ぐこともできます。
VPN接続してもできないこと
VPN接続をしてもできないこと、関連技術だけれどもVPNではないこと、注意すべき点について解説します。
完全な匿名性
VPNは、暗号化とIPアドレスの隠蔽によって、個人のプライバシーを保護しますが、完全な匿名性を保証するものではありません。
特に、ブラウザの「フィンガープリント(指紋)」はそのまま残ります。
ブラウザでWebサイトにアクセスした時、Webサーバーには以下のような情報が残ります。
- ブラウザの種類
- ブラウザのバージョン
- ブラウザの言語設定
- 使用しているプラグイン
- OSの種類
- OSのバージョン
- 画面の解像度
- タイムゾーン
これらは、特に個人情報ではありませんが、この組み合わせが一致するのは、数百万人に一人と言われています。
つまり、あなたが誰かは分からないけれども、別の人と区別することは容易にできるのです。
これらのフィンガープリントが、他の情報と結びつき、個人の特定に至ることもあります。
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VPNを使用していることを隠す
VPNを使用すれば、通信内容が暗号化されて、外部から覗き見ることはできなくなりますが、VPNを使用していることは分かります。
VPNを使用していることが分かるのは、主に次の2つの理由です。
IPアドレス
VPNに接続すると、通信相手にはVPNサーバーのIPアドレスが伝わります。
商用VPNサーバーのIPアドレスは限られているので、どのVPNサーバーに接続しているのかも分かります。
必要に応じてブロックすることができます。
DPI(ディープパケットインスペクション)
暗号化されているので内容は分からないけれども、データを解析することで、その特徴的なパターンからVPNであることがバレることがあります。
検閲者とVPNサービスの戦い
商用VPNサービスでは、これらを回避するために、サーバーのIPアドレスを変更したり、サーバーを多段に経由したりすることで、VPNであることを分かりにくくしています。
技術のいたちごっこと言えます。
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マルウェアのブロック
「マルウェア(Malware」とは、悪意のあるソフトウェアの総称です。
下記のような種類があります。
- ウイルス
- ワーム
- トロイの木馬
- スパイウェア、キーロガー
- アドウェア
- ランサムウェア
- ルートキット
マルウェアの感染経路としては、以下のようなものがあります。
- メールの添付ファイル
- 不正なリンク
- ダウンロードしたファイル
- 感染したウェブサイトを閲覧
- USBメモリ
- ネットワーク共有
- ネットワーク機器
これらは、VPNで暗号化していることとは無関係に発生するので、他のセキュリティソフト等を使用して防ぐ必要があります。
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トラッカーのブロック
「トラッカー(Tracker)」とは、ユーザーの行動を追跡し、収集する技術やツールのことです。
トラッカーによって、例えば以下のような情報が収集されます。
- ウェブサイトの訪問履歴
- 検索履歴
- ショッピングカートの中身
- ウェブサイトの設定
トラッカーの情報は、以下のような目的で使用されます。
- 広告の最適化
- アクセス解析
- 設定の保存
ブラウザの設定等で、これらのトラッキングを拒否することができますが、これもVPNとは直接的な関係はありません。
広告のブロック
ブラウザの拡張機能や、特定のブラウザを使用することによって、広告の表示をブロックすることができます。
これもVPNとは直接的な関係はありません。
危険なウェブサイトのブロック
VPNで暗号化していても、フィッシングサイトにアクセスして、個人情報を入力してしまっては意味がありません。
フィッシングサイトなどの危険なサイトへのアクセスをブロックすることは、別のセキュリティソフトの機能であり、VPNとは直接的な関係はありません。
VPNサーバーへの攻撃
VPNはセキュリティを高める技術ですが、VPNサーバーやVPNルーターは無敵ではありません。
これらの機器でセキュリティホールが見つかり、そこから内部に侵入される事件が、近年増えています。
安全なVPNサービスを提供するためには、高度な技術者を確保する必要があります。
VPNサービスからの漏洩
VPNが安全かどうかというのは、運営するVPNサービスをどこまで信用できるかにかかっています。
多くのVPNサービスは「ノーログポリシー」と言って、ログを全て破棄していることを主張していますが、それを確かめることはできません。
特に、無料のVPNサービスは、裏で中国政府が運営していたり、データが売られたりしていたりする可能性が高いです。
無料のVPNサービスを利用することは、セキュリティを高めるどころか、むしろ危険にさらしていると言えるでしょう。
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おすすめのVPNサービスは?
VPNを安全に使用するならば、有料サービスを契約することをおすすめします。
無料サービスだと、実際にデータがどのように管理されているか分からず、逆にデータが盗まれるリスクがあります。
徹底したノーログポリシーのNordVPN
「NordVPN」は、業界最高速かつ多機能なVPNサービスです。
「ノーログポリシー」と言っても、国によっては法律でデータの保管を義務付けているところがあります。
NordVPNは、パナマに拠点を置くことで、これらの規制を回避しています。
また、二重VPNや、プライベートDNSなど、先進的なセキュリティ機能も積極的に採用しています。
基本的なVPNサービスのみの場合、料金は以下の通りです。
- 1ヶ月プラン:1,960円/月
- 1年プラン:690円/月
- 2年プラン:550円/月
その他、広告ブロックや、暗号化ストレージがついたプランもあります。
安全・安心の日本製 MillenVPN
パナマはちょっと……という方には、「MillenVPN」がおすすめです。
MillenVPNは、日本の大阪にあるアズポケット株式会社が運営するVPNサービスです。
ノーログポリシーでありながら、日本の法律に基づき、適切に運営されています。何かあった時のサポートも安心です。
また、韓国や中国で正常に使えた、海外の動画配信サイトが見れたなど、日本人ユーザーの声が多いのも安心できる点です。
数日間のワンタイムプランもあるので、チケット購入や出張など、ピンポイントで利用することができます。
- 7日プラン:580円/回
- 15日プラン:980円/回
- 30日プラン:1,580円/回
- 1年プラン:540円/月
- 2年プラン:360円/月