無料で利用できるVPNサービスを考えた場合、真っ先に上がるのが筑波大学が運営するVPN Gateです。筑波大学が運営してるのだから安心できるだろうという声がある一方、その危険性も指摘されています。この記事では、VPN Gateの概要と、メリット・デメリット、iPhone・Android・Windwosでの設定方法について、詳しく解説しています。
VPN Gateの利点と危険性
VPN Gateのメリット・デメリット、その危険性について解説します。
VPN Gateとは
「VPN Gate」とは、筑波大学の学術実験プロジェクトで、世界中のボランティアが運営するVPNサーバーのリストを分散して共有し、誰でも無料で使えるようにするサービスです。
主に、国家による通信内容の検閲を回避することを目的としてます。
その他の目的として、IPアドレスを置き換えることで海外のサービスを利用できるようにしたり、通信を暗号化してセキュリティを高めたりすることができます。
VPNとは
VPNとは「Virtual Private Network」の略で、インターネット上にソフトウェアで仮想的に作られた専用回線のことを意味します。
VPNを利用すると、通信元のIPアドレスは、VPNサーバーのものに置き換わります。
これにより、通信元を特定することが困難になります。
VPN Gateのメリット
VPN Gateが他のVPNサービスに比べて優れている点をご紹介します。
ブロック回避性能が高い
VPN Gateが他のVPNサービスと異なるのは、VPNサーバーのリストが常に変動しているため、管理者がブロックすることが難しいという点です。
普通のVPNサービスであれば、サーバーが置かれている場所や台数には物理的な上限がありますので、IPアドレスの数にも上限があります。このため管理者側は、そのIPアドレスをまとめてブロックすることができます。
VPN Gateには、世界中から数千台のVPNサーバーが登録されており、常に入れ替わっています。このため管理者側は、ブロックすることが困難となっています。
VPN Gateを利用すれば、管理者による検閲をすり抜けることができる可能性が高まります。
完全無料
VPN Gateは完全無料で利用できます。
料金は一切かかりません。料金を支払うことで、追加機能を使えるようになるということもありません。
全て、筑波大学と、世界中のボランティアによって運営されています。
ユーザー登録の必要なし
また、ユーザー登録も一切必要ありません。
メールアドレスの登録もないので、変なメールが届くということもありません。
広告なし
さらに、よくある無料サービスと異なり、広告が表示されるということもありません。
誰でも気軽に利用することができます。
VPN Gateのデメリット
VPN Gateは無料で簡単に利用できる便利なサービスですが、デメリットや危険性も指摘されています。
信頼性に疑問
VPN Gateの最大の危険性は、VPNサーバーを誰でも公開することができるため、どこの誰が運営しているのかが分からず、責任の所在も不明という点です。
悪意を持った人が紛れ込んでいるかもしれません。また、それを判断したり、排除したりする仕組みもありません。
悪意を持ったサーバーに接続してしまった場合は、逆にセキュリティのリスクとなります。
ログが記録されている
多くの商用VPNサービスでは、「ノーログポリシー」と言って、接続記録や閲覧記録を全て破棄し、追跡できなくなるようにしています。
しかしVPN Gateでは、ログを保存していることを明記しています。
またVPN Gateの目的は、国家による通信内容の検閲を回避することですが、少なくとも日本国内においては、警察や裁判所からの要請に積極的に協力しています。
これは、VPNを利用した不正行為を防ぐためですが、プライバシーと防犯のポリシーが、相反しているとも言えます。
遅い
VPN Gateの通信速度は、完全に接続したVPNサーバーに依りますので、安定しません。
ほとんどの場合、商用VPNサーバーに比べれば遅くなるでしょう。
また昨今の世界情勢の不安定化によって、海外からの利用者も増えており、より繋がりにくくなっているようです。
サポートがない
VPN Gateは無料で利用できる反面、サポートは一切ありません。
設定方法が分からなかったり、何かトラブルがあったりしても、助けてくれる人はいないので、完全に自己責任の世界となります。
VPN Gateの危険性を理解した上で使用する
VPN Gateの設定方法・使い方を、iOS/iPadOS・Android・Windows別にご紹介します。
iPhone iOS / iPadOS
VPN Gateは、iPhone/iPadの場合、次の2つの接続方法から選ぶことができます。
- L2TP/IPsec (推奨)
- OpenVPN
「L2TP/IPsec」は、iOS/iPadOSの標準機能として備わっているので、追加のアプリは必要ありません。
「OpenVPN」で接続する場合は、アプリのインストールが必要となります。
ここでは、「L2TP/IPsec」の設定方法をご案内します。
L2TP/IPsec の設定方法
「設定」アプリを開きます。
「一般」をタップします。
「VPNとデバイス管理」をタップします。
「VPN」をタップします。
「VPN構成を追加」をタップします。
「タイプ」で「L2TP」を選択します。
「説明」は表示される名前なので、適当に決めてください。
「サーバ」は、VPN Gateのサーバー一覧ページから、好きなものを選び、「DDNS名」か「IPアドレス」で入力します。「DDNS名」の方が推奨されています。
「アカウント」「パスワード」「シークレット」には、それぞれ「vpn」と入力します。
最後に「完了」をタップします。
「VPN状況」をオンにすると、VPNに接続されます。
Android
VPN Gateは、Androidの場合、次の2つの接続方法から選ぶことができます。
- L2TP/IPsec (推奨だが、使えない?)
- OpenVPN
「L2TP/IPsec」の方が推奨されているのですが、どうやらAndroid 12以降では使用できなくなっているようです。
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ここでは、「OpenVPN」を使用した方法をご紹介します。
「OpenVPN」を使用する場合は、事前に設定ファイルのダウンロードと、アプリのインストールが必要となります。
OpenVPNの設定方法
スマホのブラウザで、VPN Gateのサーバー一覧ページを開きます。
リストの中から、好きなサーバーの「OpenVPN設定ファイル」をタップします。
次のページで「OpenVPN 接続設定」をタップし、「.ovpnファイル」をダウンロードします。「DDNSホスト名」と「IPアドレス」のファイルがありますが、「DDNS」の方が推奨されています。
「Play ストア」を開き、「OpenVPN Connect」アプリをインストールします。
「OpenVPN Connect」アプリを開きます。
「Upload File」を選択し、「BROWSE」をタップします。
先ほどダウンロードしたファイルを選択します。
設定情報が表示されていることを確認し、「CONNECT」をタップします。
「OK」をタップします。
Windows
VPN Gateは、Windowsの場合、次の4つの接続方法から選ぶことができます。
- SoftEther VPN(SSL-VPN)(推奨)
- L2TP/IPsec
- OpenVPN
- MS-SSTP
「L2TP/IPsec」と「MS-SSTP」は、Windowsの標準機能で設定できます。
「SoftEther VPN」と「OpenVPN」は、別途アプリのインストールが必要となります。
ここでは、「SoftEther VPN」の設定方法をご紹介します。
SoftEther VPN の設定方法
「SoftEther VPN Client + VPN Gate Client Plug-in のダウンロードページ」を開き、ZIPファイルをダウンロードします。
ZIPファイルを展開します。
「vpngate-client~.exe」ファイルをダブルクリックします。
「次へ」をクリックします。
「SoftEther VPN Client」を選択し、「次へ」をクリックします。
「使用許諾契約書に同意します」にチェックを入れ、「次へ」をクリックします。
「重要事項説明書」の内容を確認し、「次へ」をクリックします。
インストール先を確認し、「次へ」をクリックします。
「次へ」をクリックします。
「完了」をクリックします。
「SoftEther VPN クライアント接続マネージャ」を起動し、「VPN Gate 公開 VPN 中継サーバー」をダブルクリックします。
「VPN Gate 中継サービスを有効にし、ボランティアとして実験に参加する」にチェックは入れず、「OK」をクリックします。
VPNサーバーを利用するのではなく、公開する側になる場合はチェックを入れます。
好きなサーバーを選び、「選択したVPNサーバーに接続」をクリックします。
注意事項を確認し、「同意する」をクリックします。
「TCPを使用」を選び、「OK」をクリックします。
結局VPN Gateってどうなの?
VPN Gateの最大の強みは、サーバーリストが常に更新されていることです。
Windowsの「SoftEther VPN クライアント接続マネージャ」であれば、サーバーリストが自動的に取得されるので、簡単に使用することができます。
しかし、iPhoneやAndroidの場合、毎回手動で設定を変更しないといけないので、ちょっと現実的ではないのかなと思います。
緊急時の手段として、こういうものがあると知っておくのは良いと思います。
おすすめのVPNサービスは?
VPNを安全に使用するならば、有料サービスを契約することをおすすめします。
月数百円から利用できるので、得られるメリットを考えると、とてもお得に利用できます。
業界最高速&高機能なNordVPN
多機能かつ高性能なVPNサービスならば「NordVPN」がおすすめです。
NordVPNは、世界111ヶ国に設置された6,000台以上のVPNサーバーによって、高速かつ高い信頼性を提供しています。
また、二重VPNや、プライベートDNSなど、先進的な機能も積極的に採用しています。
基本的なVPNサービスのみの場合、料金は以下の通りです。
- 1ヶ月プラン:1,960円/月
- 1年プラン:690円/月
- 2年プラン:550円/月
その他、広告ブロックや、暗号化ストレージがついたプランもあります。
安全・安心の日本製 MillenVPN
「MillenVPN」は、日本のアズポケット株式会社が運営するVPNサービスです。
日本の会社なので、もちろん日本語でサポートが受けられます。
また、韓国や中国で正常に使えた、海外の動画配信サイトが見れたなど、ユーザーの声が多いのも安心できる点です。
数日間のワンタイムプランもあるので、チケット購入や出張など、ピンポイントで利用することができます。
- 7日プラン:580円/回
- 15日プラン:980円/回
- 30日プラン:1,580円/回
- 1年プラン:540円/月
- 2年プラン:360円/月