スマホの調子が悪いと思ったら、AdGuard VPNという怪しいアプリが入っていた、という方もいるかもしれません。この記事では、そもそもVPNとは何かを知らない初心者向けに、AdGuard VPNとは何か、危険性はあるのかについて、わかりやすく解説しています。
AdGuard VPNは危険性のあるアプリ?
AdGuard VPNの概要と、VPNの機能と目的について解説します。
AdGuard VPNとは
「AdGuard VPN」とは、AdGuard Software Ltd.社が提供しているVPNアプリです。
AdGuard Softwareは、キプロスに拠点を置くソフトウエア会社で、広告ブロックを中心として、プライバシー保護製品を展開しています。
AdGurard VPNは、怪しいアプリではありませんが、ほとんどの人にとっては不要なものなので、無駄にお金を支払っている可能性はあります。
勝手にインストールされていた?
もしAdGuard VPNが、知らない内にスマホにインストールされていたということであれば、おそらくdocomoショップなどで店員から勧められて、オプション契約した可能性が高いです。
「Wi-Fiを安全に使用できますよ」
「パスワードを盗み見られないから安心ですよ」
などのセールストークを聞き、「あぁ、そうか」とよく分からないままに申し込んでしまったと思われます。
VPNとは?
VPNとは「Virtual Private Network」の略で、日本語では「仮想専用回線」と言われます。
セキュリティのためには、物理的な専用回線を引くことが有効ですが、コスト的に現実的ではありません。
そこで、共有回線を使いながらも、数学的な暗号処理によって、あたかも専用回線のように見せかけているのがVPNです。
VPNを使うことによって、第三者に通信を覗き見されることがなくなり、セキュリティを高め、プライバシーを保護することができます。
VPNがないと危険?
では逆に、VPNを使わないとセキュリティ上の問題があるのかと言うと、そうでもありません。
インターネット上の通信はすでに暗号化されているからです。
例えば、Safariを使って有名な阿部寛さんのホームページ「http://abehiroshi.la.coocan.jp/」にアクセスすると、「安全ではありません」という警告が表示されます。
これは「http」通信は暗号化されていないので、通信内容が簡単に盗み見られることを意味しています。
一方、「https://www.google.com/」にアクセスすると、鍵マークが表示されます。
これは「https」通信で暗号化されているので、通信内容を盗み見ても、解読できないことを意味しています。
現在、インターネット上のほとんどのサイトは「https」に対応しているので、問題はないということになります。
VPNは何に使うの?
httpsですでに暗号化されているのであれば、VPNは何のために使用するのかと言うと、代表的な目的は次の5つです。
- リモートワーク
- 地域制限の回避
- 検閲の回避
- 匿名性の向上
- 公衆Wi-Fiでの安全性の確保
詳しくは下記の記事をご参照ください。
VPN接続で、できること・できないことのまとめ
2024/8/19
公衆Wi-Fiに接続するならばVPNが必須とはよく言われますが、具体的にVPNは何をしてくれるのかを理解しておくことは大切です。VPNは他のセキュリティソフトと一緒に提供されることが多いので、保護の対 ...
広告ブロック?
VPNは広告ブロックアプリではありません。
「AdGuard」は有名な広告ブロックアプリです。
「AdGuard VPN」はVPNアプリで、別物です。
スマホショップでVPNアプリをオプション契約してしまったという方は、広告ブロックアプリも契約している可能性があるので、ご確認ください。
アンチウイルス?
VPNはアンチウイルスアプリではありません。
VPNは通信内容を暗号化しますが、コンピューターウイルスのダウンロードや実行を防ぐ機能はありません。
別途、アンチウイルス(アンチマルウェア)アプリが必要となります。
こちらも、スマホショップで契約されている可能性があるので、ご確認ください。
AdGuard VPNに危険性はないが、必要性は疑問
AdGuard VPNの料金、評判、必要性について解説します。
AdGuard VPNの料金
AdGuard VPNは、基本的には有料プランですが、無料プランも用意されています。
料金はOSによって微妙に異なる他、ショップ経由で契約した場合も異なっている可能性がありますので、ご注意ください。
有料プラン
Windows版の料金は、以下のとおりです。
- 1ヶ月:1,800円/月
- 1年間:594円/月
- 2年間:450円/月
VPNサービスの料金としては、標準的かと思います。
有料プランのお試し期間、返金保証期間
有料プランには、1週間の無料お試し期間、または30日間の返金保証期間がついています。(OSによって異なります)
この期間内であれば、有料プランの全ての機能を利用することができます。
無料プラン
それとは別に、期間無制限の無料版もあります。
こちらは、毎月の通信容量が3GBまでで、速度制限もあります。
また接続サーバーも、以下の7ヵ国に限られます。
- ドイツ
- フィンランド
- フランス
- オランダ
- イタリア
- ポーランド
- イギリス
- アメリカ
あえて分かりにくくしていると思うのですが、アプリのインストール時によく確認しないと、有料プランのお試し期間の方に進むのでご注意ください。
プラン選択の画面を閉じれば、無料のまま使えます。
これはAndroidの画面ですが、iOSも同じような感じです。
永久ライセンス?
広告ブロックの「AdGuard」には、買い切りの永久ライセンスがありますが、「AdGuard VPN」の方は月払い、1年払い、2年払いのみです。
定期的に支払いが発生するのでご注意ください。
(ショップ経由の契約は別の可能性もあります)
AdGuard VPNの評判
AdGuard VPNの評判をご紹介します。
長所
使いやすい
シンプルなユーザーインターフェースで、使いやすいと好評です。
親しみやすく、かつ奇をてらったものでもなく、初心者から上級者まで、分かりやすい画面となっています。
ノーログポリシー
厳格なノーログポリシーを採用しており、ユーザーのプライバシーを保護しています。
意外と高機能
キルスイッチ、DNS設定、IPアドレストンネリングなど、親しみやすい見た目とは裏腹に、上級者向けの機能が搭載されています。
VPNキルスイッチの必要性と使い方
2024/8/25 匿名
VPN接続すると、ユーザーのセキュリティやプライバシー保護を強化しますが、VPN接続が切れた瞬間に情報が漏洩してしまう可能性があります。注意をしていれば防げるというものではないので、システムで保護する ...
短所
第三者監査を受けていない
ノーログポリシーを宣言していますが、第三者機関による監査を受けていないので、それを証明することはできません。
VPNのノーログポリシーとは? 警察に特定される?
2024/8/2 匿名
VPNはユーザーのプライバシーを保護するとされていますが、それはVPNの機能というよりも、VPNサービスを提供する会社がログをどう扱うかという運用の問題です。多くのVPNサービスが、ログを全て破棄する ...
サーバーが少ない
AdGuard VPNが保有しているサーバーは100台程度とされています。
大手のVPNサービスは、数千台保持していることが普通なので、それと比べると圧倒的に少ないです。
そのためかどうかは分かりませんが、接続が不安定で、特にストリーミングやゲームには向いていないという声があります。
サポートがメールしかない
AdGuard VPNのサポート窓口はメールのみです。
他のVPNサービスは、24時間のチャットサポートや、電話サポートを用意していることが多いので、それと比べると、トラブル時の対応に不安があります。
まとめ
総合評価としては、5点満点で3点くらいです。普通です。
悪いわけではないのですが、世の中には4点、5点のVPNサービスがたくさんあるので、あえて選ぶ理由がないというところです。
AdGuard VPNは必要?
以上を踏まえると、AdGuard VPNが必要となる状況は、ほぼないというのが、正直な意見です。
もう一度整理してみましょう。
そもそもVPNが不要
インターネット上のほとんどのサイトは「https」で暗号化されているので、あえてVPNで暗号化しなくても、保護されています。
匿名性の向上、地域制限の回避、検閲の回避などの目的がなければ、VPNを使用する必要性はそこまで高くありません。
むしろVPNを利用することで、通信が遅くなったり、ブロックされたりしますので、デメリットの方が大きくなります。
VPNが必要なら別のサービスを使ったほうがいい
VPNを利用する必要があるのであれば、同じような料金でもっといいサービスはありますので、そちらを利用することをおすすめします。
このサイトでは、多数のVPNサービスを比較した結果、NordVPNを推奨しています。
無料プランも微妙
有料版ではなく無料版なら……と言っても、月3GBだと、あまり使い道がないなぁというところです。
無料でも、通信量無制限のサービスはあります。